青の王国

ウツ。

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第4章 国の発展

想い

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その日の夜、ロゼは日記を書きながら今日のことを思い返していた。
ケイ君一家、すごく嬉しそうだったな…。他の国民の人たちも今回の政策で幸せになっただろうか。
そしてこれからのことを考える。
この国で行われるお祭り、いつになるんだろう。ケイ君たちも呼ぶみたいだし、今から楽しみだな…。

そんなことを考えているうちに気づけばペンは止まっていた。何気なく窓から言える海を眺め、ロゼは机に置いていたロケットを手に取った。
中に入っている家族写真を眺め、ロゼはそっと微笑んだ。

お父さん、お母さん、私は今すごく幸せだよ。こうして住む場所を与えてもらって、仲間も沢山いて。仕事は大変だけどすごくやりがいを感じるし、それに…。

ロゼはアルの姿を思い浮かべた。

大切な人もできたんだ。

その時、ロゼの部屋の扉がノックされた。
「はい」
この時間にロゼの部屋を訪れてくるのは大体アルかイザベラだ。最近は例外的にギルが本を手に現れることもあるが、多分前者のどちらかだろう。
ロゼはそっと扉を開けた。
「ロゼ、今大丈夫か?」
「大丈夫だよ。ちょうど日記を書き終わったとこ」
そう言ってロゼは扉の前に立っていたアルを部屋の中に招き入れた。そして二人は話をするためにベッドへ腰掛ける。最初に会った時から変わっていない、海が一番綺麗に見える定位置だった。
「こうしてここで話すのは久しぶりだな」
「そうだね。そもそも一国の王子様がメイドの部屋に行き来してるの見られたら不思議に思われるでしょ」
ロゼは冗談めかして言った。
「な、別にいいだろ!俺が会いたい人のところに行、って…も…」
アルはそう言って自分の発言に気づいたのか、顔を真っ赤にした。ロゼはそんなアルを見て思わず笑った。
「ありがとうアル。私もアルに会いたいと思っていたよ」
「ロゼはそういうこと意外とさらっと言うよな…」
アルもそう言って照れくさそうに、そして嬉しそうに微笑んだ。

「今日はロゼに渡したいものがあってきたんだ」
アルはそう言ってロゼの前に一つの箱を取り出した。
「私に?」
「ああ。今日の視察の時に見つけたんだ」
ロゼは箱を受け取るとそっと蓋を開いた。
「こ、これ…!」
そこに入っていたのはロゼがいつも身につけているロケットだった。しかしロゼの持っている素朴なデザインのものとは違い、花柄が刻まれたお洒落なものだった。
「いつもつけてるロケット、火事の時の煤とか傷がついていただろ?見ててもあんまりいい思いしだろうし、よかったらこれ使ってよ」
ロゼは驚いた。そんな煤や傷などよく見なければわからなかった程度のものだ。
「よく気づいたね。あんまり目立つものじゃないのに」
「あの現場でロゼが握りしめてた時に気づいてた。本当はもっと早く新しいものをあげたかったんだけど、何せロケットとかどこに売ってるかもわからなかったしな」
ロゼはロケットを箱から出して眺めた。開けてみるとしっかり中には写真が入れられるようになっている。
「そのロケット、写真が入れられるだけじゃないんだ」
アルはそう言ってロケットの写真を入れる部分を開けて見せた。
「ここに小さい小物入れが付いてる」
ロゼはそれを見て思わず「あ!」と声を上げる。
「これ、私の持ってるロケットと同じ仕組み…」
「え?!そうだったのか?!俺すごいもの見つけたってちょっとテンション上がってたんだけど」
「すごい。この仕組みのロケットあんまり売ってないってお父さん言ってたの」
ロゼはその奇跡的な偶然に思わず感情が込み上げた。
「アル!あのね…!」
アルに言葉を出そうとしたロゼの口をアルは手で優しく押さえた。
「俺から言わせて」
顔を真っ赤にしているロゼを見つめ、アルはその手をとって告げた。

「ロゼのこと、会った時からずっと見守っていきたいと思っていた。大切な人だと思っていた。前向きに頑張るところも、素直に気持ちを伝えてくれるところも全部好きだ」

「これから先もずっと俺の隣にいてほしい」

波の音が遠く聞こえた気がした。

「わ、私もアルのことが好きです!初めて会った時からすごく優しくて、この人の側にいられたらどんなに幸せだろうって思ってました。でもアルが王子だって知って、私なんかが恋しちゃいけないんだって思って…」

アルは目にうっすらと涙を浮かべたロゼをそっと抱きしめた。
「…っ。ありがとうアル。私もアルの隣にいたいと願うよ」

そんな二人を月の浮かぶ青の世界は祝福するように見つめていた。
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