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第4章 国の発展
大切な人
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「部屋の方に行ったらいなかったからさ。衛兵に聞いたら本を沢山持って出て行ったっていうからここに来てみたんだ。正解だったな」
「ごめんねアル。今日はもう会えないのかと思ってて…」
慌てるロゼにアルは「気にしなくていいよ」と言ってそっと歩み寄った。
「ギル、今朝の挨拶以来だね。こんなに早くまた会うことになるとは思わなかったよ。君も本を読むのか?」
「こんばんは!お疲れさまですアル王子。私実は本が大好きで」
ギルは敬礼をすると少し照れくさそうにそう語った。
「今ね、ローカル・メイデンさんの小説の感想を語り合ってたところなの」
ロゼは本棚から手に取っていた孤島のシンデレラを見せた。
「あー。ローカル・メイデンか。俺も何度か劇で見たことがあるよ。フィーレン国の天才脚本家だよな。でも小説があるのは知らなかったな」
アルはロゼから孤島のシンデレラの本を受け取るとパラパラとページをめくった。
「二人はこの作家が好きなのか?」
「はい!」
「うん!私は前隣国に行った時に初めて知った人だからギルさんよりは知らないけど」
そういう二人を見てアルは微笑んだ。
「じゃあ俺も時間ができたら読んでみようかな」
「ぜひ読んでみてください!有名な孤島のシンデレラもいいですが、ちょっとマイナーな泡のひとしずくという作品も個人的にはオススメです!」
ギルは好きなことを話せてよっぽど嬉しいのかテンションが上がりっぱなしだ。そんなギルを見ながらロゼは思わず微笑んだ。
アルはおすすめされた2冊を手に取ると「少し話そう」と言って室内の読書スペースのテーブルへ着いた。二人も続いて静かにテーブルに着いた。
「あ、あの…」
「ん?なんだ?」
席について早々口火を切ったのは先ほどまでテンションが上がっていたギルだった。しかし先ほどのテンションとは打って変わり、控えめに手を挙げている。
「聞いていいのか迷ったんですけど、その…ロゼさんとはどういう関係で?王子が自ら会いに来るなんて。それにロゼさんも敬称をつかっていませんし…」
ロゼは思わずいつも通りに話してしまっていることに気づいた。確かに一国の王子に対し敬称を使わないのは成り行きを知らない人から見れば異様だろう。これから他の人がいる場でアルと話すときは気をつけようとロゼは心に決める。
「それはな…ロゼ、話してもいいか?」
「うん」
アルはロゼに変わってこれまでの成り行きを簡単に説明した。
「なるほど。てっきりロゼさんも私と同じように貴族の出でメイドになったのかと思ってました。それでアル王子とは恋仲か何かかと…」
「こ、恋仲?!」
ロゼはエリスの時と同様の言葉に思わず顔を赤らめた。自分たちの関係は端から見ればそのように映ってしまっているのだろうか。この先、誤解されないように行動した方が良さそうだとロゼは自分に言い聞かせる。相手は一国の王子。いくら自分が地位に興味がないからといっても一般市民の出のメイドの自分が王子と恋仲など無礼にもほどがある。
「はははっ!恋仲ではないよ」
アルはそう言って冗談のようにその言葉を否定した。それを聞いてなぜだかロゼの胸はチクリと痛んだ。
「まぁでも…」
アルは顔をそらすように窓の方を見つめると小さくこう呟いた。
「大切な人っていうのに変わりはないかな」
「!」
ロゼは一気に顔が熱くなるのを感じた。それを隠すように思わず顔を伏せる。
「…なるほど。二人がいい関係をお持ちなのはわかりました」
ギルは分かりやすい二人を見て思わず微笑んだ。
「う、うん。わかってくれたならいい」
アルはわかりやすく咳払いをすると再び二人に向き直った。しかしロゼは顔の熱が治まらず未だ顔を伏せている。
「…」
その様子を見てアルの頬も少しだけ赤く染まる。
その二人の様子を微笑ましく見つめるギルであった。
「ごめんねアル。今日はもう会えないのかと思ってて…」
慌てるロゼにアルは「気にしなくていいよ」と言ってそっと歩み寄った。
「ギル、今朝の挨拶以来だね。こんなに早くまた会うことになるとは思わなかったよ。君も本を読むのか?」
「こんばんは!お疲れさまですアル王子。私実は本が大好きで」
ギルは敬礼をすると少し照れくさそうにそう語った。
「今ね、ローカル・メイデンさんの小説の感想を語り合ってたところなの」
ロゼは本棚から手に取っていた孤島のシンデレラを見せた。
「あー。ローカル・メイデンか。俺も何度か劇で見たことがあるよ。フィーレン国の天才脚本家だよな。でも小説があるのは知らなかったな」
アルはロゼから孤島のシンデレラの本を受け取るとパラパラとページをめくった。
「二人はこの作家が好きなのか?」
「はい!」
「うん!私は前隣国に行った時に初めて知った人だからギルさんよりは知らないけど」
そういう二人を見てアルは微笑んだ。
「じゃあ俺も時間ができたら読んでみようかな」
「ぜひ読んでみてください!有名な孤島のシンデレラもいいですが、ちょっとマイナーな泡のひとしずくという作品も個人的にはオススメです!」
ギルは好きなことを話せてよっぽど嬉しいのかテンションが上がりっぱなしだ。そんなギルを見ながらロゼは思わず微笑んだ。
アルはおすすめされた2冊を手に取ると「少し話そう」と言って室内の読書スペースのテーブルへ着いた。二人も続いて静かにテーブルに着いた。
「あ、あの…」
「ん?なんだ?」
席について早々口火を切ったのは先ほどまでテンションが上がっていたギルだった。しかし先ほどのテンションとは打って変わり、控えめに手を挙げている。
「聞いていいのか迷ったんですけど、その…ロゼさんとはどういう関係で?王子が自ら会いに来るなんて。それにロゼさんも敬称をつかっていませんし…」
ロゼは思わずいつも通りに話してしまっていることに気づいた。確かに一国の王子に対し敬称を使わないのは成り行きを知らない人から見れば異様だろう。これから他の人がいる場でアルと話すときは気をつけようとロゼは心に決める。
「それはな…ロゼ、話してもいいか?」
「うん」
アルはロゼに変わってこれまでの成り行きを簡単に説明した。
「なるほど。てっきりロゼさんも私と同じように貴族の出でメイドになったのかと思ってました。それでアル王子とは恋仲か何かかと…」
「こ、恋仲?!」
ロゼはエリスの時と同様の言葉に思わず顔を赤らめた。自分たちの関係は端から見ればそのように映ってしまっているのだろうか。この先、誤解されないように行動した方が良さそうだとロゼは自分に言い聞かせる。相手は一国の王子。いくら自分が地位に興味がないからといっても一般市民の出のメイドの自分が王子と恋仲など無礼にもほどがある。
「はははっ!恋仲ではないよ」
アルはそう言って冗談のようにその言葉を否定した。それを聞いてなぜだかロゼの胸はチクリと痛んだ。
「まぁでも…」
アルは顔をそらすように窓の方を見つめると小さくこう呟いた。
「大切な人っていうのに変わりはないかな」
「!」
ロゼは一気に顔が熱くなるのを感じた。それを隠すように思わず顔を伏せる。
「…なるほど。二人がいい関係をお持ちなのはわかりました」
ギルは分かりやすい二人を見て思わず微笑んだ。
「う、うん。わかってくれたならいい」
アルはわかりやすく咳払いをすると再び二人に向き直った。しかしロゼは顔の熱が治まらず未だ顔を伏せている。
「…」
その様子を見てアルの頬も少しだけ赤く染まる。
その二人の様子を微笑ましく見つめるギルであった。
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