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第1章 出会い
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「ここがお城…」
ロゼは今城門の前に立っていた。大きくそびえ立つ門に思わず緊張してしまう。
「そんなに緊張しなくていいって。お城で働いてる人たちはみんな優しい人ばかりだよ」
アルにそう言われるが自分より地位がある人たちだと思うと気を緩める隙もない。
「アル様!今お帰りですか!お待ちしておりました!」
「お帰りなさいませアル様」
門をくぐるなり衛兵やメイドたちが口々にアルの名を呼ぶ。
「アルって相当な腕の剣士なんだね。尊敬の意が見て取れるよ」
ロゼの言葉に女性と青年はくすっと笑った。
****************
「まずは着替えだな。風邪をひいたらまずいからな。イザベラ、ロゼに着替えを」
「はい」
アルの後ろについていた女性が返事をした。名はイザベラというらしい。
「ロゼ、更衣室へ行くわよ。服もちゃんと貸してあげるから安心して」
イザベラは優しく微笑むとロゼを別室へ促した。
「じゃあ着替えが済んだらまたここで」
「了解」
アルの声にイザベラは短く返事をした。
アルと青年はロゼたちとは反対の方へと歩いて行った。
****************
「これ、客人に貸すような簡素なものだけど…」
そう言ってイザベラに渡されたのは白いシンプルなドレスだった。
「ありがとうございます」
「着替えが終わったらそこで待っていて」
「はい!」
ロゼはドレスを受け取ると更衣室の一つへ入った。イザベラは着替えを取りに行くのか、足音は遠ざかっていった。
「待たせたわね」
着替えを済ませ、更衣室の部屋で待っていたロゼにイザベラは声をかけた。
「全然大丈夫です!わぁ!イザベラさんさっきとは印象が違いますね!素敵です!」
現れたイザベラは先ほどまで来ていた動きやすそうなシンプルな服とは違い、いかにも王族のような紺を基調とした服へと着替えていた。長いズボンを履いていた先ほどのかっこいい印象とは打って変わり、スカート姿になったイザベラには不思議な風格を感じた。
「ありがとう。じゃあさっきの応接間に戻りましょうか。アルたちが待っているわ」
イザベラに案内され、ロゼは応接間へ向かった。
「お、きたきた。ロゼそのドレス似合ってるな。髪色も映えてて綺麗だよ」
「あ、ありがとう」
ロゼはアルの言葉に照れたように顔を伏せた。
「そういうアルもなんだか王子様みたい」
アルの服装も先ほどまでとは違い、マントを付けた凛々しい姿になっていた。共にいる青年はイザベラと似たデザインの服装になっている。
「王子様…か。じゃあ改めて自己紹介といこうか」
アルがそういうとイザベラは青年と反対のアルの横に立った。
「俺の名前はアル・スハイル・ゼルファジア。この国の第一王子です。で、こっちが側近のイザベラとエド。よろしく」
「な、ななな…?!」
ロゼはわかりやすく戸惑った。アルが第一王子?!確かにアルの名前の最後は国の名前だ。イザベラとあの青年エドは側近?!
地位のある剣士だと思っていたロゼは突然のカミングアウトに思考がまとまらなくなった。
「け、剣士って…。でも、あれ…アルは王子で…じゃない!アル様!」
「アルでいいよ」
アルはその状況が面白いようで、楽しそうに笑っている。横に立つ二人も呆れたように笑った。
しばらくして状況を理解したロゼは真っ直ぐにアルを見つめた。
「剣士っていうのは嘘だったの?」
「嘘じゃないよ。剣もちゃんと学んでる。ここの二人もな」
「はぁ…。なんか勘違いしてたってわかると今までの発言を取り消したくなるよ…」
ロゼは頭を抱えてため息をついた。
「面白かったぜ。アルって相当な腕の剣士なんだね、だっけ」
「わああああ!やめてぇ!恥ずかしいから!」
全員で笑いあった後、アルはロゼに告げた。
「王子からの言葉だと思って受け取ってくれ。ロゼ、君を城に住人として迎える。意見はないな?」
「はい。ありがとうございます」
ロゼは深々とお辞儀をした。その姿はどこかの国のお姫様のようだった。
「じゃあ俺は今日の事件の書類をまとめなきゃいけないから、イザベラ、ロゼのことを頼む」
「はい」
イザベラは軽く頭を下げるとロゼに「こっちよ」と言って応接間の出口へ向かった。
「また後でな、ロゼ」
「うん」
ロゼは微笑むアルに手を振り、応接間を後にした。
ロゼは今城門の前に立っていた。大きくそびえ立つ門に思わず緊張してしまう。
「そんなに緊張しなくていいって。お城で働いてる人たちはみんな優しい人ばかりだよ」
アルにそう言われるが自分より地位がある人たちだと思うと気を緩める隙もない。
「アル様!今お帰りですか!お待ちしておりました!」
「お帰りなさいませアル様」
門をくぐるなり衛兵やメイドたちが口々にアルの名を呼ぶ。
「アルって相当な腕の剣士なんだね。尊敬の意が見て取れるよ」
ロゼの言葉に女性と青年はくすっと笑った。
****************
「まずは着替えだな。風邪をひいたらまずいからな。イザベラ、ロゼに着替えを」
「はい」
アルの後ろについていた女性が返事をした。名はイザベラというらしい。
「ロゼ、更衣室へ行くわよ。服もちゃんと貸してあげるから安心して」
イザベラは優しく微笑むとロゼを別室へ促した。
「じゃあ着替えが済んだらまたここで」
「了解」
アルの声にイザベラは短く返事をした。
アルと青年はロゼたちとは反対の方へと歩いて行った。
****************
「これ、客人に貸すような簡素なものだけど…」
そう言ってイザベラに渡されたのは白いシンプルなドレスだった。
「ありがとうございます」
「着替えが終わったらそこで待っていて」
「はい!」
ロゼはドレスを受け取ると更衣室の一つへ入った。イザベラは着替えを取りに行くのか、足音は遠ざかっていった。
「待たせたわね」
着替えを済ませ、更衣室の部屋で待っていたロゼにイザベラは声をかけた。
「全然大丈夫です!わぁ!イザベラさんさっきとは印象が違いますね!素敵です!」
現れたイザベラは先ほどまで来ていた動きやすそうなシンプルな服とは違い、いかにも王族のような紺を基調とした服へと着替えていた。長いズボンを履いていた先ほどのかっこいい印象とは打って変わり、スカート姿になったイザベラには不思議な風格を感じた。
「ありがとう。じゃあさっきの応接間に戻りましょうか。アルたちが待っているわ」
イザベラに案内され、ロゼは応接間へ向かった。
「お、きたきた。ロゼそのドレス似合ってるな。髪色も映えてて綺麗だよ」
「あ、ありがとう」
ロゼはアルの言葉に照れたように顔を伏せた。
「そういうアルもなんだか王子様みたい」
アルの服装も先ほどまでとは違い、マントを付けた凛々しい姿になっていた。共にいる青年はイザベラと似たデザインの服装になっている。
「王子様…か。じゃあ改めて自己紹介といこうか」
アルがそういうとイザベラは青年と反対のアルの横に立った。
「俺の名前はアル・スハイル・ゼルファジア。この国の第一王子です。で、こっちが側近のイザベラとエド。よろしく」
「な、ななな…?!」
ロゼはわかりやすく戸惑った。アルが第一王子?!確かにアルの名前の最後は国の名前だ。イザベラとあの青年エドは側近?!
地位のある剣士だと思っていたロゼは突然のカミングアウトに思考がまとまらなくなった。
「け、剣士って…。でも、あれ…アルは王子で…じゃない!アル様!」
「アルでいいよ」
アルはその状況が面白いようで、楽しそうに笑っている。横に立つ二人も呆れたように笑った。
しばらくして状況を理解したロゼは真っ直ぐにアルを見つめた。
「剣士っていうのは嘘だったの?」
「嘘じゃないよ。剣もちゃんと学んでる。ここの二人もな」
「はぁ…。なんか勘違いしてたってわかると今までの発言を取り消したくなるよ…」
ロゼは頭を抱えてため息をついた。
「面白かったぜ。アルって相当な腕の剣士なんだね、だっけ」
「わああああ!やめてぇ!恥ずかしいから!」
全員で笑いあった後、アルはロゼに告げた。
「王子からの言葉だと思って受け取ってくれ。ロゼ、君を城に住人として迎える。意見はないな?」
「はい。ありがとうございます」
ロゼは深々とお辞儀をした。その姿はどこかの国のお姫様のようだった。
「じゃあ俺は今日の事件の書類をまとめなきゃいけないから、イザベラ、ロゼのことを頼む」
「はい」
イザベラは軽く頭を下げるとロゼに「こっちよ」と言って応接間の出口へ向かった。
「また後でな、ロゼ」
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