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旅立ちの朝に
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「じゃあ、行こうか」
「えっ?何でリーダーが仕切るの?」
「そうよ!太郎如きが仕切らないで!」
やはりいつもの様に始まったやりとりであったがいつもと違って居たのは、町の住人の半数が太郎達パーティの見送りに来ていた事であり、ちょっとした祭り状態になっていた。
「って!皆さん何でリュックサック背負っているか」
三人とも旅行気分であった。とても冒険者には見えず、ウキウキ気分で始まった。賑わいを見せる町の雰囲気にうしろ髪ひかれながらも、三人は町の外へと向かう。
「行くのか?三人が無事に戻って来られる様にこの町から祈ってるよ」
野次馬の中からシスターリリィが現れたかと思うと三人にそう告げた。見送りには教会の子ども達もやって来ており、手を振りながら返した。
シスターリリィにも太郎達はパーティに参加してもらうか話し合ったが、結局は子ども達の事もあり誘うことは出来なかった。
「ありがとう、また戻ってきたら手伝いにいくよ」
ニコがそう答え、手を振って先へと進んだ。町の出口付近までやってくると、ようやく静かになりひと気がなくなって行った。
町から少し離れた場所で、振り返れば辛うじてまだ街が見えるくらいの距離で、聞き覚えのある声に呼び止められた。
「皆、渡したい物があるの」
森の中からアニスがやって来た。今日は一人だった為、また城を抜け出して来た様だったが、いつもと違い何かを抱き抱えていた。
「この剣は王家の宝物庫にあった物です。かつて異世界を航行していた勇者と呼ばれる存在から譲り受けたものです。必ずや太郎様のお役にたつでしょう」
アニスの手には刃渡り九十センチほどのロングソードが握られて居た。特別絢爛豪華な装飾がある訳でもなく、どこの武器屋にでも売ってそうな代物であった。
「でも良いのか?宝物庫にあったってこっとは国の宝なんだろ」
「大丈夫。これは異世界を目指す者が現れた時に渡す様に伝承がありますので」
全ては決まり事の範疇であり、そうする事が最善手であるのだと、運命付けられたものらしい。全ては理の中の出来事なのだと。
「だったら有り難く貰うよ。返せって言っても、もう返さないからな」
ニコとブートンには防具の贈り物があった。ニコには魔導具のグローブ、そしてブートンには異世界で被られていると言うコック帽が送られた。
「それでは、本当にお別れなんですね。生きて帰って下さい」
「当たり前だろ、お土産でも買って戻ってくるよ」
ちょっとコンビニにでも出かけるかの様な気軽さで、太郎達はアニスと別れた。とりあえずの目的地さえ決めて居なかった三人は歩きながら次なる目的地を決める事にした。
「やっぱり元手は必要でしょう?ならカジノのある町にしましょうよ」
「あのなぁ、まず元手を増やすための元手もないのに、どうやって増やすんだよ」
「リーダーが決めれば良いんじゃない?僕は美味しい料理がある町なら何処でも」
「そうだなぁ、異世界の関係してそうな町。って無いよな」
「だったら、賢者の町エリクサーを目指そうみょん」
、、、、、、、、みょん?
一瞬、誰が喋ったのかと辺りを見回した一同であったが、何処にもその姿を捉える事ができず、三人がキョロキョロと警戒していると。
「どこ見てるみょん。こっちこっち」
声のする方に三人は集まると、輪になったまま三人は下を覗いた。そこには羽根の生えた小人、いわゆる妖精と呼ばれるものがそこにあった。
「アタシは剣の妖精、アスカみょん」
一同は固まると同時に驚くと、太郎のロングソードと銀色の髪に緑の瞳の妖精のアスカを交互に見合っていると、アスカが言ってきた。
「とっとと、行くみょんウスノロ共。行き先は地獄の四丁目!!」
「「口悪っっ!!?」」
新たな仲間と共に異世界へと渡る為の手掛かりを探す旅が始まった。が、本当に有るのかはまだ誰も知らない。
「えっ?何でリーダーが仕切るの?」
「そうよ!太郎如きが仕切らないで!」
やはりいつもの様に始まったやりとりであったがいつもと違って居たのは、町の住人の半数が太郎達パーティの見送りに来ていた事であり、ちょっとした祭り状態になっていた。
「って!皆さん何でリュックサック背負っているか」
三人とも旅行気分であった。とても冒険者には見えず、ウキウキ気分で始まった。賑わいを見せる町の雰囲気にうしろ髪ひかれながらも、三人は町の外へと向かう。
「行くのか?三人が無事に戻って来られる様にこの町から祈ってるよ」
野次馬の中からシスターリリィが現れたかと思うと三人にそう告げた。見送りには教会の子ども達もやって来ており、手を振りながら返した。
シスターリリィにも太郎達はパーティに参加してもらうか話し合ったが、結局は子ども達の事もあり誘うことは出来なかった。
「ありがとう、また戻ってきたら手伝いにいくよ」
ニコがそう答え、手を振って先へと進んだ。町の出口付近までやってくると、ようやく静かになりひと気がなくなって行った。
町から少し離れた場所で、振り返れば辛うじてまだ街が見えるくらいの距離で、聞き覚えのある声に呼び止められた。
「皆、渡したい物があるの」
森の中からアニスがやって来た。今日は一人だった為、また城を抜け出して来た様だったが、いつもと違い何かを抱き抱えていた。
「この剣は王家の宝物庫にあった物です。かつて異世界を航行していた勇者と呼ばれる存在から譲り受けたものです。必ずや太郎様のお役にたつでしょう」
アニスの手には刃渡り九十センチほどのロングソードが握られて居た。特別絢爛豪華な装飾がある訳でもなく、どこの武器屋にでも売ってそうな代物であった。
「でも良いのか?宝物庫にあったってこっとは国の宝なんだろ」
「大丈夫。これは異世界を目指す者が現れた時に渡す様に伝承がありますので」
全ては決まり事の範疇であり、そうする事が最善手であるのだと、運命付けられたものらしい。全ては理の中の出来事なのだと。
「だったら有り難く貰うよ。返せって言っても、もう返さないからな」
ニコとブートンには防具の贈り物があった。ニコには魔導具のグローブ、そしてブートンには異世界で被られていると言うコック帽が送られた。
「それでは、本当にお別れなんですね。生きて帰って下さい」
「当たり前だろ、お土産でも買って戻ってくるよ」
ちょっとコンビニにでも出かけるかの様な気軽さで、太郎達はアニスと別れた。とりあえずの目的地さえ決めて居なかった三人は歩きながら次なる目的地を決める事にした。
「やっぱり元手は必要でしょう?ならカジノのある町にしましょうよ」
「あのなぁ、まず元手を増やすための元手もないのに、どうやって増やすんだよ」
「リーダーが決めれば良いんじゃない?僕は美味しい料理がある町なら何処でも」
「そうだなぁ、異世界の関係してそうな町。って無いよな」
「だったら、賢者の町エリクサーを目指そうみょん」
、、、、、、、、みょん?
一瞬、誰が喋ったのかと辺りを見回した一同であったが、何処にもその姿を捉える事ができず、三人がキョロキョロと警戒していると。
「どこ見てるみょん。こっちこっち」
声のする方に三人は集まると、輪になったまま三人は下を覗いた。そこには羽根の生えた小人、いわゆる妖精と呼ばれるものがそこにあった。
「アタシは剣の妖精、アスカみょん」
一同は固まると同時に驚くと、太郎のロングソードと銀色の髪に緑の瞳の妖精のアスカを交互に見合っていると、アスカが言ってきた。
「とっとと、行くみょんウスノロ共。行き先は地獄の四丁目!!」
「「口悪っっ!!?」」
新たな仲間と共に異世界へと渡る為の手掛かりを探す旅が始まった。が、本当に有るのかはまだ誰も知らない。
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