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アースナルへの道3
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一週間後。ようやくユルリとアオに加えキィとアカと呼ばれる飛竜の回復と共にアースナルに向かう準備が整った。
その間、あの屋敷の話を色々と聞く事が出来た。元々、年配の女性が一人住んでいるだけの屋敷だったらしく、それをいい事にあの山羊男が利用したのだろうとアオは語った。
屋敷からは女性の遺体以外にも何人もの骨が残っていた。旅人ばかりを狙っていたらしく、町の住人も気が付かなかったらしい。
「しかし、とんでもない町に来ちゃいましたね」
「ゴメンね。トミー助けられなくて」
ずっと気掛かりだった事をようやくユルリは言う事が出来た。主人であるトミーを失い、さぞや悲しんでいると思っていたので言うに言えなかった。
「えっ?良いんですよ。だって何かセクハラ紛いの人だったんで、人に変身出来る事も教えませんでしたし」
飛竜の死生観軽いなぁ。と言うよりめちゃくちゃ信頼関係の無い間柄だったとは思ってもいなかった為ユルリが驚いていると、結局は衣食住の関係が全てなのだと話してくれた。
人に変身出来るのはアオだけだった為キィとアカに、それぞれ乗りこむとアースナル目指して再び飛び出したのだった。
空の長旅は一週間にも及んだ。飛竜達の怪我の治り具合も考慮して、緩やかかつ天候の良い日を選んで飛行した事もありかなりの時間をかけていた。
何よりスパークが仮にアースナルに向かっていると仮定しても、飛竜の速度に追いつけるはずもない。道すがら誰か行き倒れていないか探しながらの飛行であった事も遅くなった原因でもある。
「そんなの放っておきましょう。だってまた重いの乗せるの嫌ですし」
などと、飛竜が言っていた事は聞かなかった事にし、とにかく異世界一のの案内人であるスパーク探しをしながら飛び続けていた。
「って、誰か倒れてますね。女なのでスパークさんじゃ無いから次行きましょう」
「ちょ、待ちなさいよ!放って置けっていうの?アタシには出来ない」
「はぁ。急ぐ旅なんだけどな」
アオとユルリは意見が合わなかったが、アオはとりあえずユルリには合わせてくれていた。何故なら、この先人間が居なければ大好物の調達が難しくなる為である。
「って、砂糖玉二つでどう?」
「かしこまりました。お嬢様」
アオの好物は砂糖らしい。甘味スイーツが本当は食べたいそうだが、あまりにも食べられる量が足りない為、原材料そのまま食べる様になったそうだ。
渋々ではあったが、倒れていた女性の元へ降り立つ。辺りは森林と森林の間にある荒野であった。近場には危険そうな魔物もおらず何か危ない様なものも見当たらなかった。
「あの!大丈夫ですか?何があったんですか!」
「、、、、、、、、め」
「め?」
「メシ、、、、、、、、」
どうやら唯の空腹らしい。手持ちの食料を差し出すと、よほど限界だったのかあっという間に食料を平らげた。
長く黄色い髪は腰まで伸び、荒野には似つかない派手な桃色のワンピースを着た女性は、ユルリが今までであったどの女性よりも整った容姿をしていた。
「あの、、、、、、おかわり」
「ありませんっっっ!!」
容姿とは不釣り合いの、とんだ腹ペコガールであった。話しを聞けば旅の途中で盗賊に襲われそうになった為、荷物も捨てて逃げてきたらしい。
森に暫く身を潜めながら、水と食料を集めながら少しずつ町を目指していたそうである。しかし、思っていた以上に荒野が長かった様で次の森まで辿り着けなかったとの事である。
「なら、次の町までお送りしましょうか?どのみち通りますので」
「よろしいのですか!助かります」
「ちょっと待ったぁ!乗せるの私達なんですけど」
ユルリの提案に苦言を呈したのはアオであった。しかし、すでにアオ以外のキィとアカは砂糖玉で買収が完了していた。
「アオが乗せるんじゃないんだから良いじゃない。じゃアタシと一緒に乗りましょうか、、、、、ええっと」
「あ、私の名前はナナと申します」
旅は道連れと、乗り込んだ三人と二頭。次に一番近い町までは約二日の旅であった。旅は順調に進んでいったが、食料の心配は増すばかりの旅でもあった。
「そもそも、何処に向かうつもりだったの?」
ナナが盗賊に襲われる前の話である。どうして旅をしていたのかを尋ねると、不思議
そうに答えは返ってきた。
「何処?とは目的地の場所なら一応ありますが、そこも旅の途中でしかありませんよ。アースナルって言う場所なんですが」
「嘘!アタシと目的地一瞬なの?だったら旅は道連れだね」
奇遇にも目的地は二人同じアースナルであった。嫌がるアオをよそに段々と図々しくなっていくユルリが逞しいのか、それともそうさせる異世界が厳しいのかは謎である。
その話しを納得出来なかったアオは共通言語の応用であり、竜として初めに使った念話を使って抗議する。
〝絶対怪しいですよお嬢さま!目的地が同じとかあり得ませんよ〝
〝でも仕方ないでしょう。それにさっきも言ったけど、困った人を放っていけないから〝
「それにしても、貴方はどうしてアースナルに向かうんですか?」
念話の最中、ナナが話しかけてきた。ユルリとナナ、アオがそれぞれ乗り込むとゆっくりとアースナルの方向に向かい出した。
「アタシはアースナルに知り合いを探しに、なかなか遠回りして上手くいかないですが
」
「お知り合いに会いにですか、そう言えばあの辺り闇柱が出来たとか聞いていたので、心細かったので嬉しいです」
さらに、近くの町に寄って冒険者を雇ってからアースナルに向かうつもりなのだとナナは話した。
確かにアースナルに近づくにつれ、そう言った準備が必要になるのかもとユルリは納得していた。しかし、ユルリの考えを諭す様にアオは念話で話しかけてきた。
〝ユルリ様にはこの私。アオがついてますので安心ですよ〝
そう言えば、飛竜はあの山羊頭を追い払った実績があった。しかも今はキィとアカの二頭も飛竜がいる為、戦闘や護衛は心強かった。
長旅とまでも行かない旅は二人と三頭を引き連れて闇柱手前の町、クチカの町にやって来た。静けさが広がる街並みは、活気が無いだけではなく不気味ささえ漂っていた。
「やっと着いた!久しぶりの町なのになんか静かよね」
「それは仕方ないと思う。闇柱が近いと言う事は魔界に近いのと同じだから」
魔物発生装置の様な闇柱は世界のあちこちに突如として現れる。まるでさも当たり前の様に町に魔物達がやって来ると、たちまちのうちに攻撃や辺りを破壊し始める。
町に残っている者達は足が悪い等の何かしらの理由がある者が多い為、どうしても静かな町が多かった。
「とにかく、此処からは注意が更に必要になる。町の中であっても油断しない様に」
「何かアオ学校の先生みたい、アカとキィも無事に着けば良いけど」
ユルリがそう言いながら歩いてた。少し前までアカとキィはクチカの近くまで着いて来てくれていた。しかし、二頭は変身が出来ないので町には入れなかった。
「アカ、キィごめんね。むた闇柱の向こうのアースナルで会おうね」
〝ゴブウンヲ〝
二頭は飛び立ったのだった。アオの話によると竜のみが使うことのできる道があるらしい。しかし、ユルリとナナが居ると使えない為、同じ様に闇柱の周りを大回りしながらのリスクの高い航行となる。
それを避ける為と、ユルリ達自身の身の安全の為に二手に分かれて行くのが一番と考えた結果でもあった。
「それでは行きましょうか。暗くなる前に」
ユルリがそう言うとクチカの町の宿屋を探す。まるで西部劇の様な木造建築が立ち並び、時折村人らしき人がコチラを見て通り過ぎて行った。
「珍しいのかな旅人が、宿の場所聞きたいんだけどな」
「珍しいでしょうね。今の状況でこの町に泊まるリスクを考えれば、少し離れた町から一気に闇柱を抜ける方がまだリスクは少ないはずですから」
話しを聞けば聞くほど、場違いな場所に来てしまったのだと思っていると、町が突然騒がしくなり進行方向先から人々が走ってやって来た。
「、、、、、、、、何かあったのかも!アオ行こう!」
「えー、ほっときましょうよ」
気怠げなメイドを引き連れたユルリは、ナナに先に宿に行ってもらう様に言うと、二人して騒ぎの中心に向かった。
街中であるにも関わらず爆発音が響き渡り、戦場へと化した町の中心地は家屋が何軒も火災が起こり、火を消す者と爆発の元凶と戦う者達だけが残っていた。
「あれはクリムゾンアーマー」
突然そう言ったアオの表情が曇ると、街中で黒い稲妻を纏った赤い甲冑の魔物が、剣を振るうごとに辺りに稲妻を走らせていた。
「早く、倒さないと!アオお願い」
「駄目です。あれは、、、、、、、、倒せません、あの魔物はゴースト系です」
アオは本体は別に居ると言う。いわばデコイの役割であり、いくら甲冑を倒したところでダメージは無いのだと話した。
「だったら本体見つけて叩けば良いじゃない」
「本体分からない。だっていっぱい居る時は手当たり次第全部壊してたから、、、、、、良いの?」
「ダメに決まってるでしょ!!」
アオの提案にオカンムリのユルリは思考を巡らせる。話によればゴースト系と言っていたが、もしかすると召喚されたデコイであれば本体は魔導師の可能性もあると辺りを見渡した。
しかし、ゴーストらしき魔物も魔導師らしき者も居らず、町の冒険者達とクリムゾンアーマーの攻防を注視しながら何か手がかりが無いかをユルリは探しながらふと気がついた。
「何でゴースト系って解るの?魔導師の可能性とかは?」
「魔導師はないですね。クリムゾンアーマー食べた仲間がバナナ味だって。ゴースト系は果物の味するんですよ」
ユルリは飛竜の食性ってヤバい。と率直な答えを導き出していると、アオはクリムゾンアーマーを食べた仲間が食中毒みたいに苦しんでいたのを思い出したと言い大笑いし始めた。
「そりゃそうでしょ!だってお腹の中で暴れるんですもん。馬鹿ですよね!」
飛竜の思考ってよく分かんないなぁ。などと言っていると、町の冒険者達が窮地に立たされ、もう時間が無いのだと理解するとユルリは叫んだ。
「とにかく!飛竜になってアレどっかに捨てて来て!!」
クリムゾンアーマーを咥えて遠くに捨ててきて欲しいとユルリは頼んだが、捨てに行ってもすぐに召喚され直すだけだと言い張り、アオは拒否したがユルリは説明する。
「召喚するなら、そいつが犯人でしょう。もし此処に居なければ、この辺りの怪しい奴をひっ捕らえれば良いから」
「お嬢様だけで敵と対峙してどうやって戦うんですか!」
何とも乱暴な作戦であったが、今思いつく最善を尽くすにはこれしか無いと信じて実行する他今は無かった。
再び渋々ではあったが、アオは作戦通りにひと気の無い場所で飛竜に戻り、すぐさまクリムゾンアーマーに強襲をかけた。
「何だ!飛竜が仲間割れか」
町人にとっては飛竜もクリムゾンアーマーも魔物に変わり無い。突然、現れた飛竜に戸惑っている間も無く、クリムゾンアーマーを咥えて何処かに行ってしまった。
呆気にとられた町人達を見ながら、おかしな行動をしている者が居ないか集中して観察する。それは簡単に現れたかと思うと隠れるようにして町人達から離れた路地に入り込んだ。
思った通り、犯人らしき人物が再び何かを召喚しようとしている現場を見つけたユルリは、クリムゾンアーマーを召喚されては手も足も出ないと邪魔する為に飛び出した。
「待ちなさい!貴方何してるの!」
ユルリが現れると、いかにも村人といった服装の人物は此方を睨みつける様に此方を睨み返して来たが、その顔には見覚えがあった。
「、、、、、、、、、、、、課長、、、、?」
どう言う訳か、現世での課長の顔に瓜二つであった。まさかと思いつつ、走って逃げようとする課長似の人物を追って走り出す。
頭が変になりそうであった。異世界にやって来ても物怖じすらしなかったユルリが、此処に来て違和感でなく不気味さを一番に感じた瞬間でもあった。
「待って!どうして此処に課長が」
追いかけながらそう叫んだが、返事が返って来ることはなかった。町の外まで追いかけたユルリは戻ろうとしたその時だった。
〝こっち。早く〝
聞いた事はあるが誰だったか思い出せない声は、町とは反対側の森の中から聞こえて来た。しかし、一人で森に入るなど出来るはずもなく、一度町に戻りアオを待つことにした。
町に戻ると、クリムゾンアーマーの被害の修復手順を指揮する大工らしき人物が声を荒げていた。どうやら、瓦礫の下敷きになった町人達を救出しているのが見えた。
「お待たせ致しました。海に捨てて上から岩落としたので消滅するまでは再召喚出来ないはずです」
「アオ、、、、、、偉い子!」
思わずアオに抱きついたユルリだったが、突然の出来事にアオの顔が見る見るうちにトマト色に染まり湯だってしまった。
そのまま、ユルリはさっきの出来事だけを簡単に説明すると、明日また行ってみようとだけ決め、町の復興と救出の手伝いを始めた二人だった。
夜になると住人達が〝夜は魔物も出やすいから宿屋に帰るように〝と言う為、ユルリとアオは復興作業は中断して宿に泊まり一夜を過ごした。
「って、何でアオが此処にいる訳?」
「お嬢様の身の安全は私が保証します!」
「いや、身の危険感じるんだけど。むしろアナタに」
朝起きると、当たり前のように布団の中にアオが潜んでいた。ただ入って居るだけならばまだ良かったが、アオは何故か裸だった。
「服着なさいよ!大体メイド服は何処いったのよ!」
「服はいつも着てませんよ?服っぽいウロコ生やしてるだけですから」
じゃあ何故ウロコを脱いだんだこいつは。等と考えているうちに、アオは布団から出ると〝ズバッ〝という音と共に、いつものメイド服が生えた。竜の生態は未知である。
次の日。行方不明だった町人が全て見つかり、死人が居なかった事を確認すると昼過ぎになっていた。昼食をとってからようやく昨日の声が聞こえてきた場所に戻ってきた。
「あそこの森ですよね。魔物の気配はチラホラしますが、とくに怪しい感じはありませんね」
「そう、なら早く行ってみましょう」
出来れば日が落ちるまでに戻りたい為、急いで二人は森の中に入った。森の中は背の高い木々が立ち並び木漏れ日が溢れていたが、裏を返せば夜はそれだけ闇へと変わってしまう。
声のした方向に真っ直ぐ進み続けると、課長と同じ顔をした何者かの衣服が破れたまま捨てられているのを見つけた時、再び声が聞こえてきた。
〝滝へ〝
ユルリは再びその声を聞くと、アオに誰だったか尋ねてみた。しかし、アオには声が聞こえてなかったのか、しかめっ面のまま固まっていた。
滝を目指す。闇雲に捜す事に変わりが無かったが、目的地が定まるだけでいくらか進みやすくはなった。
滝を目指すなら、水辺や川をまず探そうと辺りを見回す。しかし、都合よく現れる訳も無かった為、歩きながら捜す事にした。
同じような景色が続くなか、突然先程とは違う音に聞き耳を立てる。何処からそれが聞こえて来るのか、集中して聞いていると急にユルリは走り出した。
止まった先、確かにそれはあった。足首ほどの浅い小川だったが、それを辿りながら上っていく。
川を上るにつれ、深さも増し幅も広くなっていく。一目みれば川だと解るようになるまで時間はかからなかった。
「あの、川沿いに少し飛びましょうか?此処からなら見つけられるかもしれないので」
アオが聞いてみる。一度は見てみたものの、森に隠れて川どころか滝っぽいモノさえ見えず、森を焼き払おうとした為ユルリに止められた為、今回は聞いてから飛ぶ事にしたのだった。
「でも、木々を薙ぎ倒す事になるんでしょう?だったら、行けるところまで行って駄目だった時にお願いするね」
「木なんて勝手に生えるのに、まぁそうおっしゃるのなら」
竜からすれば、木の成長なんて草が生える程度なのかもしれない。しかし、人にとってその再生は長い年月を要する為、簡単に折ったりなどしたくは無いと思うのもまた然りであった。
森を川沿いに進む。真っ直ぐな川などあるはずもなく、大回りを何度も繰り返しながら体力の続く限り歩き続けた。
「あ、、、、、、、有った」
滝。というには些か小ぶりでは有ったが、五メートル程の高さの滝らしきものが目の前にそびえ立っていた。
「これは飛んでも見つけられなかったね」
低い滝は想定していなかった為、まさか見つけられ無いようなサイズだとは思わなかった。歩いて来たのはたまたまであったが、運良く見つけられた滝に近づくと、おかしな現象が起こった。
「お嬢さま、下がって下さい。何かぶ、、、、、、、」
世界が止まる。目の前のアオが固まると滝が止まり鳥が止まり木々のせせらぎが止まると無音が広がった。
しかし、無音の世界に取り残されたはずのユルリは、まるで耳の中で黒板を引っ掻いたような甲高い歪音が響いた。
「あ、、、、、が、ぐぎぃぃぁあ」
耳を押さえ、屈み込んだユルリは口を開けながら涙目になり悶絶を堪える事で精一杯となる。静止した世界の中一人苦しんでいると、石を叩くような足音が近づいてきた。
顔を上げると見たことも無い西洋の甲冑を着こんだ何者かが目の前で立ち止まる。逃げる事も出来ぬまま悶えていると、ふいに声を掛けられる。
「聞け。藤吉ユルリ」
聞いたことのある、誰だか分からぬ者の歪んだ声は語る。この世界は壊れている、そして藤吉ユルリはもうこの世界からは消滅するのだと。
「何故、、、、、、そんな事を」
ようやく出た言葉がそれだった。抵抗と言う名の無謀をも振り絞らなければ、今この場所にいる事すら出来ないような感覚に襲われていた。
「お前は弱い。弱い者が生きているだけでは、この世界は他人をも殺す。そうなれば自ずと自らをも許す事など出来はしない」
まるでユルリの事を知っているかのような口ぶりで、今の状況では度の道生き残れないのだと諭している様にも聞こえた。
「元の世界など戻れはしない。絶望を奉授し続ける日々に成り代わる前に、自らの人生を終わらせるがいい。どうせお前が最後の藤吉ユルリに変わりなど無いのだからな」
この目の前の何者かは何故かは分からないが、ユルリの知らない事を知っているらしい。何より言葉の最後に言った〝最後の藤吉ユルリ〝という言葉が引っかかった。
「最後、、、、、って、、、、、何」
「どのみち授けるだけだ。全てをな」
説明は不用だと甲冑はユルリを抱き起こすと甲冑の兜を取る。もしかするとという疑念はあったが、そこには見知った顔があった。
「、、、、あ、、、、。わ、、、、たし」
ーーーーーーー甲冑の下には自分の顔がそこに有った。
その間、あの屋敷の話を色々と聞く事が出来た。元々、年配の女性が一人住んでいるだけの屋敷だったらしく、それをいい事にあの山羊男が利用したのだろうとアオは語った。
屋敷からは女性の遺体以外にも何人もの骨が残っていた。旅人ばかりを狙っていたらしく、町の住人も気が付かなかったらしい。
「しかし、とんでもない町に来ちゃいましたね」
「ゴメンね。トミー助けられなくて」
ずっと気掛かりだった事をようやくユルリは言う事が出来た。主人であるトミーを失い、さぞや悲しんでいると思っていたので言うに言えなかった。
「えっ?良いんですよ。だって何かセクハラ紛いの人だったんで、人に変身出来る事も教えませんでしたし」
飛竜の死生観軽いなぁ。と言うよりめちゃくちゃ信頼関係の無い間柄だったとは思ってもいなかった為ユルリが驚いていると、結局は衣食住の関係が全てなのだと話してくれた。
人に変身出来るのはアオだけだった為キィとアカに、それぞれ乗りこむとアースナル目指して再び飛び出したのだった。
空の長旅は一週間にも及んだ。飛竜達の怪我の治り具合も考慮して、緩やかかつ天候の良い日を選んで飛行した事もありかなりの時間をかけていた。
何よりスパークが仮にアースナルに向かっていると仮定しても、飛竜の速度に追いつけるはずもない。道すがら誰か行き倒れていないか探しながらの飛行であった事も遅くなった原因でもある。
「そんなの放っておきましょう。だってまた重いの乗せるの嫌ですし」
などと、飛竜が言っていた事は聞かなかった事にし、とにかく異世界一のの案内人であるスパーク探しをしながら飛び続けていた。
「って、誰か倒れてますね。女なのでスパークさんじゃ無いから次行きましょう」
「ちょ、待ちなさいよ!放って置けっていうの?アタシには出来ない」
「はぁ。急ぐ旅なんだけどな」
アオとユルリは意見が合わなかったが、アオはとりあえずユルリには合わせてくれていた。何故なら、この先人間が居なければ大好物の調達が難しくなる為である。
「って、砂糖玉二つでどう?」
「かしこまりました。お嬢様」
アオの好物は砂糖らしい。甘味スイーツが本当は食べたいそうだが、あまりにも食べられる量が足りない為、原材料そのまま食べる様になったそうだ。
渋々ではあったが、倒れていた女性の元へ降り立つ。辺りは森林と森林の間にある荒野であった。近場には危険そうな魔物もおらず何か危ない様なものも見当たらなかった。
「あの!大丈夫ですか?何があったんですか!」
「、、、、、、、、め」
「め?」
「メシ、、、、、、、、」
どうやら唯の空腹らしい。手持ちの食料を差し出すと、よほど限界だったのかあっという間に食料を平らげた。
長く黄色い髪は腰まで伸び、荒野には似つかない派手な桃色のワンピースを着た女性は、ユルリが今までであったどの女性よりも整った容姿をしていた。
「あの、、、、、、おかわり」
「ありませんっっっ!!」
容姿とは不釣り合いの、とんだ腹ペコガールであった。話しを聞けば旅の途中で盗賊に襲われそうになった為、荷物も捨てて逃げてきたらしい。
森に暫く身を潜めながら、水と食料を集めながら少しずつ町を目指していたそうである。しかし、思っていた以上に荒野が長かった様で次の森まで辿り着けなかったとの事である。
「なら、次の町までお送りしましょうか?どのみち通りますので」
「よろしいのですか!助かります」
「ちょっと待ったぁ!乗せるの私達なんですけど」
ユルリの提案に苦言を呈したのはアオであった。しかし、すでにアオ以外のキィとアカは砂糖玉で買収が完了していた。
「アオが乗せるんじゃないんだから良いじゃない。じゃアタシと一緒に乗りましょうか、、、、、ええっと」
「あ、私の名前はナナと申します」
旅は道連れと、乗り込んだ三人と二頭。次に一番近い町までは約二日の旅であった。旅は順調に進んでいったが、食料の心配は増すばかりの旅でもあった。
「そもそも、何処に向かうつもりだったの?」
ナナが盗賊に襲われる前の話である。どうして旅をしていたのかを尋ねると、不思議
そうに答えは返ってきた。
「何処?とは目的地の場所なら一応ありますが、そこも旅の途中でしかありませんよ。アースナルって言う場所なんですが」
「嘘!アタシと目的地一瞬なの?だったら旅は道連れだね」
奇遇にも目的地は二人同じアースナルであった。嫌がるアオをよそに段々と図々しくなっていくユルリが逞しいのか、それともそうさせる異世界が厳しいのかは謎である。
その話しを納得出来なかったアオは共通言語の応用であり、竜として初めに使った念話を使って抗議する。
〝絶対怪しいですよお嬢さま!目的地が同じとかあり得ませんよ〝
〝でも仕方ないでしょう。それにさっきも言ったけど、困った人を放っていけないから〝
「それにしても、貴方はどうしてアースナルに向かうんですか?」
念話の最中、ナナが話しかけてきた。ユルリとナナ、アオがそれぞれ乗り込むとゆっくりとアースナルの方向に向かい出した。
「アタシはアースナルに知り合いを探しに、なかなか遠回りして上手くいかないですが
」
「お知り合いに会いにですか、そう言えばあの辺り闇柱が出来たとか聞いていたので、心細かったので嬉しいです」
さらに、近くの町に寄って冒険者を雇ってからアースナルに向かうつもりなのだとナナは話した。
確かにアースナルに近づくにつれ、そう言った準備が必要になるのかもとユルリは納得していた。しかし、ユルリの考えを諭す様にアオは念話で話しかけてきた。
〝ユルリ様にはこの私。アオがついてますので安心ですよ〝
そう言えば、飛竜はあの山羊頭を追い払った実績があった。しかも今はキィとアカの二頭も飛竜がいる為、戦闘や護衛は心強かった。
長旅とまでも行かない旅は二人と三頭を引き連れて闇柱手前の町、クチカの町にやって来た。静けさが広がる街並みは、活気が無いだけではなく不気味ささえ漂っていた。
「やっと着いた!久しぶりの町なのになんか静かよね」
「それは仕方ないと思う。闇柱が近いと言う事は魔界に近いのと同じだから」
魔物発生装置の様な闇柱は世界のあちこちに突如として現れる。まるでさも当たり前の様に町に魔物達がやって来ると、たちまちのうちに攻撃や辺りを破壊し始める。
町に残っている者達は足が悪い等の何かしらの理由がある者が多い為、どうしても静かな町が多かった。
「とにかく、此処からは注意が更に必要になる。町の中であっても油断しない様に」
「何かアオ学校の先生みたい、アカとキィも無事に着けば良いけど」
ユルリがそう言いながら歩いてた。少し前までアカとキィはクチカの近くまで着いて来てくれていた。しかし、二頭は変身が出来ないので町には入れなかった。
「アカ、キィごめんね。むた闇柱の向こうのアースナルで会おうね」
〝ゴブウンヲ〝
二頭は飛び立ったのだった。アオの話によると竜のみが使うことのできる道があるらしい。しかし、ユルリとナナが居ると使えない為、同じ様に闇柱の周りを大回りしながらのリスクの高い航行となる。
それを避ける為と、ユルリ達自身の身の安全の為に二手に分かれて行くのが一番と考えた結果でもあった。
「それでは行きましょうか。暗くなる前に」
ユルリがそう言うとクチカの町の宿屋を探す。まるで西部劇の様な木造建築が立ち並び、時折村人らしき人がコチラを見て通り過ぎて行った。
「珍しいのかな旅人が、宿の場所聞きたいんだけどな」
「珍しいでしょうね。今の状況でこの町に泊まるリスクを考えれば、少し離れた町から一気に闇柱を抜ける方がまだリスクは少ないはずですから」
話しを聞けば聞くほど、場違いな場所に来てしまったのだと思っていると、町が突然騒がしくなり進行方向先から人々が走ってやって来た。
「、、、、、、、、何かあったのかも!アオ行こう!」
「えー、ほっときましょうよ」
気怠げなメイドを引き連れたユルリは、ナナに先に宿に行ってもらう様に言うと、二人して騒ぎの中心に向かった。
街中であるにも関わらず爆発音が響き渡り、戦場へと化した町の中心地は家屋が何軒も火災が起こり、火を消す者と爆発の元凶と戦う者達だけが残っていた。
「あれはクリムゾンアーマー」
突然そう言ったアオの表情が曇ると、街中で黒い稲妻を纏った赤い甲冑の魔物が、剣を振るうごとに辺りに稲妻を走らせていた。
「早く、倒さないと!アオお願い」
「駄目です。あれは、、、、、、、、倒せません、あの魔物はゴースト系です」
アオは本体は別に居ると言う。いわばデコイの役割であり、いくら甲冑を倒したところでダメージは無いのだと話した。
「だったら本体見つけて叩けば良いじゃない」
「本体分からない。だっていっぱい居る時は手当たり次第全部壊してたから、、、、、、良いの?」
「ダメに決まってるでしょ!!」
アオの提案にオカンムリのユルリは思考を巡らせる。話によればゴースト系と言っていたが、もしかすると召喚されたデコイであれば本体は魔導師の可能性もあると辺りを見渡した。
しかし、ゴーストらしき魔物も魔導師らしき者も居らず、町の冒険者達とクリムゾンアーマーの攻防を注視しながら何か手がかりが無いかをユルリは探しながらふと気がついた。
「何でゴースト系って解るの?魔導師の可能性とかは?」
「魔導師はないですね。クリムゾンアーマー食べた仲間がバナナ味だって。ゴースト系は果物の味するんですよ」
ユルリは飛竜の食性ってヤバい。と率直な答えを導き出していると、アオはクリムゾンアーマーを食べた仲間が食中毒みたいに苦しんでいたのを思い出したと言い大笑いし始めた。
「そりゃそうでしょ!だってお腹の中で暴れるんですもん。馬鹿ですよね!」
飛竜の思考ってよく分かんないなぁ。などと言っていると、町の冒険者達が窮地に立たされ、もう時間が無いのだと理解するとユルリは叫んだ。
「とにかく!飛竜になってアレどっかに捨てて来て!!」
クリムゾンアーマーを咥えて遠くに捨ててきて欲しいとユルリは頼んだが、捨てに行ってもすぐに召喚され直すだけだと言い張り、アオは拒否したがユルリは説明する。
「召喚するなら、そいつが犯人でしょう。もし此処に居なければ、この辺りの怪しい奴をひっ捕らえれば良いから」
「お嬢様だけで敵と対峙してどうやって戦うんですか!」
何とも乱暴な作戦であったが、今思いつく最善を尽くすにはこれしか無いと信じて実行する他今は無かった。
再び渋々ではあったが、アオは作戦通りにひと気の無い場所で飛竜に戻り、すぐさまクリムゾンアーマーに強襲をかけた。
「何だ!飛竜が仲間割れか」
町人にとっては飛竜もクリムゾンアーマーも魔物に変わり無い。突然、現れた飛竜に戸惑っている間も無く、クリムゾンアーマーを咥えて何処かに行ってしまった。
呆気にとられた町人達を見ながら、おかしな行動をしている者が居ないか集中して観察する。それは簡単に現れたかと思うと隠れるようにして町人達から離れた路地に入り込んだ。
思った通り、犯人らしき人物が再び何かを召喚しようとしている現場を見つけたユルリは、クリムゾンアーマーを召喚されては手も足も出ないと邪魔する為に飛び出した。
「待ちなさい!貴方何してるの!」
ユルリが現れると、いかにも村人といった服装の人物は此方を睨みつける様に此方を睨み返して来たが、その顔には見覚えがあった。
「、、、、、、、、、、、、課長、、、、?」
どう言う訳か、現世での課長の顔に瓜二つであった。まさかと思いつつ、走って逃げようとする課長似の人物を追って走り出す。
頭が変になりそうであった。異世界にやって来ても物怖じすらしなかったユルリが、此処に来て違和感でなく不気味さを一番に感じた瞬間でもあった。
「待って!どうして此処に課長が」
追いかけながらそう叫んだが、返事が返って来ることはなかった。町の外まで追いかけたユルリは戻ろうとしたその時だった。
〝こっち。早く〝
聞いた事はあるが誰だったか思い出せない声は、町とは反対側の森の中から聞こえて来た。しかし、一人で森に入るなど出来るはずもなく、一度町に戻りアオを待つことにした。
町に戻ると、クリムゾンアーマーの被害の修復手順を指揮する大工らしき人物が声を荒げていた。どうやら、瓦礫の下敷きになった町人達を救出しているのが見えた。
「お待たせ致しました。海に捨てて上から岩落としたので消滅するまでは再召喚出来ないはずです」
「アオ、、、、、、偉い子!」
思わずアオに抱きついたユルリだったが、突然の出来事にアオの顔が見る見るうちにトマト色に染まり湯だってしまった。
そのまま、ユルリはさっきの出来事だけを簡単に説明すると、明日また行ってみようとだけ決め、町の復興と救出の手伝いを始めた二人だった。
夜になると住人達が〝夜は魔物も出やすいから宿屋に帰るように〝と言う為、ユルリとアオは復興作業は中断して宿に泊まり一夜を過ごした。
「って、何でアオが此処にいる訳?」
「お嬢様の身の安全は私が保証します!」
「いや、身の危険感じるんだけど。むしろアナタに」
朝起きると、当たり前のように布団の中にアオが潜んでいた。ただ入って居るだけならばまだ良かったが、アオは何故か裸だった。
「服着なさいよ!大体メイド服は何処いったのよ!」
「服はいつも着てませんよ?服っぽいウロコ生やしてるだけですから」
じゃあ何故ウロコを脱いだんだこいつは。等と考えているうちに、アオは布団から出ると〝ズバッ〝という音と共に、いつものメイド服が生えた。竜の生態は未知である。
次の日。行方不明だった町人が全て見つかり、死人が居なかった事を確認すると昼過ぎになっていた。昼食をとってからようやく昨日の声が聞こえてきた場所に戻ってきた。
「あそこの森ですよね。魔物の気配はチラホラしますが、とくに怪しい感じはありませんね」
「そう、なら早く行ってみましょう」
出来れば日が落ちるまでに戻りたい為、急いで二人は森の中に入った。森の中は背の高い木々が立ち並び木漏れ日が溢れていたが、裏を返せば夜はそれだけ闇へと変わってしまう。
声のした方向に真っ直ぐ進み続けると、課長と同じ顔をした何者かの衣服が破れたまま捨てられているのを見つけた時、再び声が聞こえてきた。
〝滝へ〝
ユルリは再びその声を聞くと、アオに誰だったか尋ねてみた。しかし、アオには声が聞こえてなかったのか、しかめっ面のまま固まっていた。
滝を目指す。闇雲に捜す事に変わりが無かったが、目的地が定まるだけでいくらか進みやすくはなった。
滝を目指すなら、水辺や川をまず探そうと辺りを見回す。しかし、都合よく現れる訳も無かった為、歩きながら捜す事にした。
同じような景色が続くなか、突然先程とは違う音に聞き耳を立てる。何処からそれが聞こえて来るのか、集中して聞いていると急にユルリは走り出した。
止まった先、確かにそれはあった。足首ほどの浅い小川だったが、それを辿りながら上っていく。
川を上るにつれ、深さも増し幅も広くなっていく。一目みれば川だと解るようになるまで時間はかからなかった。
「あの、川沿いに少し飛びましょうか?此処からなら見つけられるかもしれないので」
アオが聞いてみる。一度は見てみたものの、森に隠れて川どころか滝っぽいモノさえ見えず、森を焼き払おうとした為ユルリに止められた為、今回は聞いてから飛ぶ事にしたのだった。
「でも、木々を薙ぎ倒す事になるんでしょう?だったら、行けるところまで行って駄目だった時にお願いするね」
「木なんて勝手に生えるのに、まぁそうおっしゃるのなら」
竜からすれば、木の成長なんて草が生える程度なのかもしれない。しかし、人にとってその再生は長い年月を要する為、簡単に折ったりなどしたくは無いと思うのもまた然りであった。
森を川沿いに進む。真っ直ぐな川などあるはずもなく、大回りを何度も繰り返しながら体力の続く限り歩き続けた。
「あ、、、、、、、有った」
滝。というには些か小ぶりでは有ったが、五メートル程の高さの滝らしきものが目の前にそびえ立っていた。
「これは飛んでも見つけられなかったね」
低い滝は想定していなかった為、まさか見つけられ無いようなサイズだとは思わなかった。歩いて来たのはたまたまであったが、運良く見つけられた滝に近づくと、おかしな現象が起こった。
「お嬢さま、下がって下さい。何かぶ、、、、、、、」
世界が止まる。目の前のアオが固まると滝が止まり鳥が止まり木々のせせらぎが止まると無音が広がった。
しかし、無音の世界に取り残されたはずのユルリは、まるで耳の中で黒板を引っ掻いたような甲高い歪音が響いた。
「あ、、、、、が、ぐぎぃぃぁあ」
耳を押さえ、屈み込んだユルリは口を開けながら涙目になり悶絶を堪える事で精一杯となる。静止した世界の中一人苦しんでいると、石を叩くような足音が近づいてきた。
顔を上げると見たことも無い西洋の甲冑を着こんだ何者かが目の前で立ち止まる。逃げる事も出来ぬまま悶えていると、ふいに声を掛けられる。
「聞け。藤吉ユルリ」
聞いたことのある、誰だか分からぬ者の歪んだ声は語る。この世界は壊れている、そして藤吉ユルリはもうこの世界からは消滅するのだと。
「何故、、、、、、そんな事を」
ようやく出た言葉がそれだった。抵抗と言う名の無謀をも振り絞らなければ、今この場所にいる事すら出来ないような感覚に襲われていた。
「お前は弱い。弱い者が生きているだけでは、この世界は他人をも殺す。そうなれば自ずと自らをも許す事など出来はしない」
まるでユルリの事を知っているかのような口ぶりで、今の状況では度の道生き残れないのだと諭している様にも聞こえた。
「元の世界など戻れはしない。絶望を奉授し続ける日々に成り代わる前に、自らの人生を終わらせるがいい。どうせお前が最後の藤吉ユルリに変わりなど無いのだからな」
この目の前の何者かは何故かは分からないが、ユルリの知らない事を知っているらしい。何より言葉の最後に言った〝最後の藤吉ユルリ〝という言葉が引っかかった。
「最後、、、、、って、、、、、何」
「どのみち授けるだけだ。全てをな」
説明は不用だと甲冑はユルリを抱き起こすと甲冑の兜を取る。もしかするとという疑念はあったが、そこには見知った顔があった。
「、、、、あ、、、、。わ、、、、たし」
ーーーーーーー甲冑の下には自分の顔がそこに有った。
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