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アースナルへの道2
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シオの町に着くと、すぐさま二人を町の医師に見せに向かう。マスクスとトミーが付き添うと、ユルリは二人の食料を買う為に一度別れた。
ちなみに飛竜達も今は人目を避けるためと、傷を癒すためナオリ草の生えている場所で休んでいる。
「買い物かって出たは良いけど、そもそも相場も分からないし何が美味しくて食べられるのか分かんないな」
異世界の食べ物を食べる機会は多々あったが、正直なところ美味しかったわけではなく、かも無く不可もない様な物が多かった為、何を使ったのかも想像出来なかった。
「うむ、聞いてから買おう。あと勘」
買い物にも性格的なものが出ていた。石造りの道や建物はヨーロッパや欧州の様な雰囲気もあったが、看板の文字や謎の飾りや花はやはり異世界を思わせた。
「お嬢さん。何かお困りですか?」
「え?もう詐欺ですか」
人の親切を素直に受け入れられないタイプのユルリは、思った事をすぐさま口に出してしまう素直さは持ち合わせていた。
そして、声をかけて来た男性も鈍いのか〝面白いことを言いますね〝等と笑顔で返して来た強者でもあった。ちなみに例に漏れず赤髪の緑の目をした、シャープな顔立ちのイケメンである。
しかし、異世界には美男美女率が高い。勿論、ユルリの様な普通の何処にでもいる様な顔の者もいるが、むしろ少ない部類であるには違い無かった。
「あ、スミマセン。此処の町初めてで、以前の町は治安が悪かったもので」
「それは大変でしたね。此処は田舎なのでのどかではありますが、少し若い女性には退屈かも知れませんね」
若い女性。もし此処が異世界でなければ嫌味に聴こえていたのかも知れなかったが、基本的に年齢のよく分からない世界である。実際悪い気はしなかった。
「そんな事ありませんよ、それより食事の用意の買い物がありますので失礼しますね」
ユルリが離れようとした時、赤髪の男はまだ話があると歩く速度を合わせながらついて来た。流石に気味悪さを感じ離れようとした。
「って、だから話あるんだけど。貴方の事を知りたがってる人が居るんですよ、食事だけでも付き合って貰えませんか?」
いよいよ胡散臭くなって来た為、ユルリは走り出そうかとしたが、全身の力が入らなくなり動けないまま意識まで刈り取られた。
ーーーーーーーー身体が重い。
目覚めると巨大なテーブルに顔だけ突っ伏し椅子に座らされ、足枷をつけられて捉えられていた。その広さからかなりの大きさの屋敷である事は間違い無かったが、所々蜘蛛の巣が張っており、手入れが行き届いてはいなかった。
「お目覚めですか?お嬢さん」
もはやお嬢さんと呼ばれても悪寒しか走らない状態のまま、ジャラリと音を立てた足枷の鎖がやけに冷たく感じていた。
「話なんてありません。早く開放して下さい」
「それは困ります。母が貴方にどうしても会いたいと言いまして、何ぶん足が不自由で仕方なく貴方に来ていただいた次第です」
ストレッチャーの様な物に乗った白髪の女性は、寝そべったままテーブルの向かいに座っていた。しかし、この場所からでは会話するにも叫ばなければ聴こえない距離である。
「話なら今すぐ聞きますので、とにかく早く開放してください」
「スミマセン。母はシャイですので、とりあえず食事をご一緒したいとの事です」
隣に居た赤髪の男はそう言うと、自分の隣に用意していた料理を運ぶカートから次々に食事を並べていった。暫くすると向かいにいた女性の元に駆け寄り、すぐさまストレッチャーの様な乗り物を押して部屋を出てしまった。
気分でも悪くなったのか、料理に手をつける事もなく外に出ていった。食べるかどうか迷いながら、とりあえず足枷は外れそうも無く、何が盛られているかも分からなかった為迷っていると鳥が入り込んできていた。
スプーンで一匙料理を乗せると床に撒いた。鳥が食べているのを確認出来たものだけを口に運び、赤髪の男が帰って来ると鳥は逃げてしまった為、料理の半分を残した。
部屋には女性と同じストレッチャーの様な物で運ばれ、部屋に着くと足枷は外されたが部屋からは出られそうも無く外側から鍵をかけられた。
一人なら広いくらいの部屋は、思った以上に綺麗に手入れされていたが、どうにも誰かが住んでいた様な形跡が多々伺えた。
「それにしても、これが無かったらヤバかった」
背中に隠しておいた冒険の書を取り出す。人に出来るだけ見せないようにスパークに言われた為、服の下に隠し持つようにしていた。
部屋に鳥が入ってきたのは、偶然では無く鳥達が餌を探しているのを聞いた為である。他の生き物の声が聞けなければ、食事は早々に諦めていただろう。
窓の外は格子状の柵が設けられていたが、換気が出来たので窓を開けて外の景色を確認する。この場所は屋敷の三階で町は少し離れた場所に見え、町外れの森の中である事が伺えたが、それ以上の情報は得られそうに無かった。
「、、、、、、、、明日になればマスクスさんかトミーが助けに来てくれるはず」
連れ去られて来てから一日が過ぎようとしていた。誰かが助けてくれる、そう信じてその夜は眠りについた。
朝起きると頭がようやく冴えたのか、自分の置かれている状況も何とかなるのではないかと思いはじめ、じっと冒険の書を見つめながら暫く固まっていたが、突然何かを思い出したかのように窓を開けた。
暫くすると扉が叩かれ、やはり昨日の赤髪の男が現れると昨日と同じように足枷をつけると、ユルリを食堂まで運んで行った。
昨日の違いがあるとすれば女性が向かいに座って居なかった事と、料理が違うことくらいである。しかし、ユルリにはまだ聞かないといけない事があった。
「あの、結局何がしたかったんですか?」
答えが返るとは思わない。しかし、聞かなければ何も分からないと赤髪に尋ねるがやはり返事は無かった。しかし。
「意味は今に分かる。今は最後の晩餐を噛み締めると良い」
赤髪の男は今までとは打って変わって自分の本心を隠そうともしなくなった。それは状況が変わったのか、ユルリにはすでに時間が残されていないかの何方かである。
「地獄に落ちる用意なんてしていません、特に貴方の様な人の言いなりになるのは嫌です」
食事を終えると昨日とは違い足枷も外され、屋敷の地下のような場所に連れて行かれた。薄暗く何に使われていたのか分からなかったが、深く長い地下への石造りの階段を降りた。
「着いた、では行きましょうか。お嬢さん」
最深部の扉を開くと、中は大広間の様になっていた。壁には不気味に飾られていたデーモンのキャンドルが並び、中央には玉座の様なものが佇んでいた。
「本当はすぐにでも此方に連れて来たかったが、今夜は運良く二重月。二つの月の重なる魔力の高まる日ですからね」
「五月蝿いわね!関係ないのよ、アンタなんか仲間がやって来てすぐにやっつけられるんだから!!」
ユルリの精一杯の叫声だった。しかし、微かな希望はゴトリと音を立てて絶望へと変わる。
「昨晩。来訪者があったが君の知り合いだろうか?なかなかの手練れだったが二人とも、実戦経験が足りなかったな」
地面に転がった二人分の頭がそこにあった。真の恐怖とは絶叫ではなく絶句として現れ、時間が経つと絶望へと変わっていく。
「アンタなんか、、、、、人間じゃない」
「そうだ。俺ハ人間じゃナい、だかラ新しい人間ガ必要になルのさ」
赤髪の男だったものは、裂けるように真なる姿を表す。内から黒く全身を覆う毛が現れると異形の姿を表した。
山羊の頭に人間の体。全身は真っ黒な毛で覆われており、翼を持つ生き物はまるで全てを計算ずくの様な物言いで、ユルリに告げて来た。
「我は悪魔ト呼ばわれシもの。人ヲ審判スるもノだ」
山羊になった男から後退る。人を審判すると言う事は、こちら側はあくまで下にしか見られていないと言う事でもある。管理される側には決定権などあるはずない為、何が何でも安全の確保が急務であった。
強襲が始まる。山羊男の周りには六つの火球が生成されバレーボール程の大きさになると火球は順番にユルリを襲い始めた。
「ちょ、火傷しちゃうじゃない!貴方女性の扱い悪いんじゃないの!」
「マダ、ヨユウガアルナ」
一つ目と二つ目の火球は走って避け、三つ目の火球がユルリに迫ると、避ける余裕など既に失いなす術なく、火球の餌食になると思われたがユルリは火球に向かって走り出した。
「オロカナ、ショウキヲウシナッタカ」
しかし、次の瞬間それがユルリの狙いである事がわかった。火球の爆破と共にユルリの命も潰えたかと思われたが、ユルリは確かに生きてその場に立っていた。
「まだ、、、、、、、死んでないわよ。何発、、、、、、耐えられるか解らないけど」
ユルリの拳には布が巻かれていた。服の袖を破り拳に巻き付けていた布は、煙を上げ焦げてはいたが腕以外にダメージは無かった。
火球に飛び込みながら、火傷に拳を叩きつける事で腕以外の全身を守ったのだったが、スパークの様に筋肉がある訳ではない為、腕だけはボロボロになっていた。
ボロ布を反対の拳に顔を歪めながら付け替える。もしもう一度来ても同じ手で防ぐ事はできるが、恐らくその次はない。
「バカメ、マダハンブンダ!!」
一瞬、面くらいはしたが攻撃が全て終わった訳ではない。残りの三つの火球は止めだと言わんばかりにユルリに迫って来た。
「ヤハリオロカナ。オナジテトハ」
再びユルリは火球に向かって走って来た。拳を構えると火球が一列に並び、眼前に迫るとユルリはしめたとばかりに横っ飛びに転がった。
ギリギリまで引き付け、一列に誘導する事で火球を避けやすくしたのである。しかし、攻撃がこれで終わる訳はなく山羊男は今度は魔弾である光球を生成し、ユルリに告げた。
「コレデオワリダ。モウヨケラレマイ」
魔弾を観察して予測する。ユルリはどのみちこのままやられるのであれば、一矢報いてやりたいと考えていた。
異世界に半強制的に連れて来られ、意味も分からないまま追われる様に逃げた先、薄暗い地下が自分の墓場なのだと考えていた。
ーーーーーーー納得出来るか!!
だからこそ一矢報いたいと窮地の中で考えられるようになっていた。気持ちが決まれば後はどう動くだけである。絶対絶命の中、思考は思った以上に冷静であった。
魔弾が弾ける様に発射される。速度がさっきの火球に比べれば大した事なさそうに見え、すかさず魔弾の軌道上から離れた。
しかし、魔弾を交わしたはずが何故か再び魔弾の軌道上にいる事に気づき、ユルリは山羊男を旋回する様に回り込むと、魔弾が追跡弾である事が見てとれた。
「、、、、、、、、ついて来る。足を止めらない」
旋回しながら次の手を考える。勿論、相手に勝てればそれに越した事はなかったが、現実的ではなく今は逃げの一手に他ならないでいた。
「って、避けきれ、、、、、、いやぁぁぁ!?」
走って旋回しているとはいえ、魔弾の速度が特別遅いという訳ではない。全力で逃げれば何とか追いつかないだけで、距離をジリジリと縮められながら何とか凌いだ。
心音が耳にまで響くほど鳴り響き、人生で初めてかもしれない位に全力で走り続けていた。速度を落とせば命を落とすデスゲーム。
クリア方法はまだわからないまま、自分の足の痙攣を感じながら人生をかけたダッシュは続き、これ以上はと思っていたが突然苦しみで狭まった視界をこじ開ける。
ーーーーーーーもう一か八か賭けるしかない!!!
視界に入って来たのは山羊男の側頭部である。逃げ回っているうちに山羊男の隣まで回り込んでおり、このまま走れば背後を取れるかも知れない。
勿論、ユルリには背後を取ったところで攻撃する術もない。しかしそれは、いまの今まではの話である。
「抜けろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
恐怖の払拭と自らの鼓舞の為、叫びを上げたユルリは溜まり切った全身の乳酸を振り切る様に全力で山羊男に駆け寄った。
追尾する魔弾はユルリに迫ると同時に、出発点に目掛けて加速を続けると、山羊男にユルリがギリギリまで近づき、山羊男の足下を滑る様にして股を抜けると、そのまま走り抜けた。
出来る限りの力。限界はとうの昔に超えていた。しかし、ユルリは逃げる脚も戦う拳もいまはないまま、ただ滑り終えると壁に向かって全身が叩きつけられた。
倒れ崩れ落ちる最中、山羊男が此方に視線を向けたと同時に断末魔が響き渡る。自ら放った魔弾が背中に突き刺さると、まるで感電したかの様に痙攣しながら煙を上げ焼け焦げた。
霞む視界。呼吸が整う事もなく、息を荒げながらも意識だけを何とか保つ事で精一杯だったが、とにかく此処を抜け出さないといけない為、やって来た入り口から階段を戻る事にした。
壁伝いに何とか上り詰めると、屋敷の食堂に戻ってきていた。疲労は回復するまでには至らなかったが、呼吸は整える事が出来た。
「ニゲラレル ト オモッテイルノカ」
地面が割れると同時に山羊男が現れ、再び火球を生成していた。辺りに火をつけるとユルリの逃げ道を塞ぐ様に火球を操った。
「、、、、、、、、間に合わなかった」
ユルリにはまだ奥の手があったが今の状態であれば、どのみち助かる見込みはない。あと数分もすれば一酸化炭素中毒か家屋の屋根に押しつぶされるのが時間の問題であった。
だが、山羊男にこのままやられるだけの終わりなんて納得出来ない。たとえ相打ちまで行かなくとも、無傷で生きながらえらせるつもりはユルリにはなかった。
「逃げるも何も、アンタのせいで何処にも逃げられないのよ。アンタには慈悲って言葉はないの」
「モトヨリ、モチアワセテイナイ」
ユルリにしては一分一秒でも時間を稼ぎたい状況であったが、山羊男にまともな会話など出来るはずもなく会話の引き伸ばしは難しかった。
火球がさらにユルリを襲い、呼吸もままならなくなる程の熱気が纏わり付き、辺りが火の海になると意識まで刈り取られそうになっていた。
「、、、、、、、、駄目だ。もう」
床に突っ伏したまま、呼吸をするだけで精一杯である。立ち上がれば煙と熱気に肺をやられ、一分と持たずにやられてしまう。
最早これまでかと思われたが突然、屋敷全体に何かが衝突したようで、その衝撃の振動で揺れたと同時に爆発音が響き渡った。
「お待たせしました!超絶爆絶空前絶後今世紀最初で最後の魔的魅了竜美少女アイドルのアオです!」
「、、、、、、、来てくれた。って誰?」
衝撃と爆発が瓦解するようにして室内の壁は吹き抜け、火災も瓦解と衝撃により押し潰されるように鎮火していた。
その煙と瓦礫の先。まるで変身ヒーローが現れたかのようはポーズで立ち尽くしていた人物は、ヒラヒラのメイド服と青く長い髪を靡かせながら現れた。
「ジャマダ!燃やし尽くす火炎!!」
山羊男はメイドに対して最大限の怒りの感情を込めて今までとは比較にならない、巨大な砲撃じみた巨大火球を撃ち放った。しかし、メイドはその火球をまるでバレーボールの如く受け止めた。
「竜種に対して火力で挑もうなんて愚かですね。獄炎クラスの魔術も使えないくせに」
「オロカハ、キサマダ」
山羊男は〝ソレ〝を投げると、自身の身の安全可愛さに退避行動をとった。投げられた瞬間ユルリはメイドを連れて逃げようとしたが、鉛の様に重く動かなかった為叫んだ。
「駄目!あれはスクロールよ!」
最悪なシナリオ。高熱の塊に注がれる様にスクロールから溢れたのは水であった。それが罠で水蒸気爆発を起こすのが目的であると分かった瞬間に屋敷はすでに吹き飛んでいた。
大気が震え暴風が吹き荒れ、一瞬の静寂が世界に響き合うと時間まで止まったかの様な錯覚に陥る。しかし、瞬きする間に再び暴風は更なる轟音を轟かせながら地面が抉れ、次の瞬間全てが弾け飛んだ。
辺りを飲み込むかのような衝撃は、屋敷を跡形もなく瓦礫の塊へと変え、辺りの木々すら屋敷を中心に折れ曲がり、その爆発の威力と脅威を知らしめていた。
「、、、、、、、、、、、、生きてる」
瓦礫のから生まれる様に這い出したユルリは、五体満足の体を噛み締める様に地面に突っ伏していると、体の埃を払いながらメイドが近づいてきた。
「参りましたね。ユルリさんに防御壁張るので手一杯で逃げられちゃいました」
まるで、さも当たり前の様にやってきたメイドは、無傷どころかスカートの裾ですら破れる事なくさっきと同じ様に目の前に佇んでいた。
「あの、ありがとう。助けてくれて」
「良いんですよ。仲間も助けて貰えて此方こそ感謝いたします」
「仲間?仲間って。誰かと間違えてるんじゃ、それに何でアタシの名前知ってるの?」
「何言ってるんですか、ユルリさんが教えてくれたんじゃないですか。それにキィとアカを助けてくれたじゃないですか」
キィ、アカ。聞き覚えがなくもなかったが、むしろアオと名乗った時から薄々はそんな気はしていたが、まさかと思いつつ聞いてみた。
「もしかして、竜のアオさん?」
「そうですが。あぁ、人間のフリしてるの忘れてました。そもそも、この姿にならなくてもユルリさんとはお話出来ますから」
どうやら思っていた通りらしい。さすがにユルリも飛竜が助けに来るとは思って居なかった。
屋敷に囚われている際、ユルリの唯一のスキルである共通言語を使い、辺りを飛んでいた鳥たちに、近くにいた療養中の飛竜二頭に助けを呼んで欲しいと頼んだのだった。
山羊男に逃げられたユルリは飛竜の助けにより一命を取り留めた。何もわからぬまま、とにかくアースナルに向かえばスパークには会えるかも知れないと、飛竜達の回復を待ってユルリは出発する事にした。
ちなみに飛竜達も今は人目を避けるためと、傷を癒すためナオリ草の生えている場所で休んでいる。
「買い物かって出たは良いけど、そもそも相場も分からないし何が美味しくて食べられるのか分かんないな」
異世界の食べ物を食べる機会は多々あったが、正直なところ美味しかったわけではなく、かも無く不可もない様な物が多かった為、何を使ったのかも想像出来なかった。
「うむ、聞いてから買おう。あと勘」
買い物にも性格的なものが出ていた。石造りの道や建物はヨーロッパや欧州の様な雰囲気もあったが、看板の文字や謎の飾りや花はやはり異世界を思わせた。
「お嬢さん。何かお困りですか?」
「え?もう詐欺ですか」
人の親切を素直に受け入れられないタイプのユルリは、思った事をすぐさま口に出してしまう素直さは持ち合わせていた。
そして、声をかけて来た男性も鈍いのか〝面白いことを言いますね〝等と笑顔で返して来た強者でもあった。ちなみに例に漏れず赤髪の緑の目をした、シャープな顔立ちのイケメンである。
しかし、異世界には美男美女率が高い。勿論、ユルリの様な普通の何処にでもいる様な顔の者もいるが、むしろ少ない部類であるには違い無かった。
「あ、スミマセン。此処の町初めてで、以前の町は治安が悪かったもので」
「それは大変でしたね。此処は田舎なのでのどかではありますが、少し若い女性には退屈かも知れませんね」
若い女性。もし此処が異世界でなければ嫌味に聴こえていたのかも知れなかったが、基本的に年齢のよく分からない世界である。実際悪い気はしなかった。
「そんな事ありませんよ、それより食事の用意の買い物がありますので失礼しますね」
ユルリが離れようとした時、赤髪の男はまだ話があると歩く速度を合わせながらついて来た。流石に気味悪さを感じ離れようとした。
「って、だから話あるんだけど。貴方の事を知りたがってる人が居るんですよ、食事だけでも付き合って貰えませんか?」
いよいよ胡散臭くなって来た為、ユルリは走り出そうかとしたが、全身の力が入らなくなり動けないまま意識まで刈り取られた。
ーーーーーーーー身体が重い。
目覚めると巨大なテーブルに顔だけ突っ伏し椅子に座らされ、足枷をつけられて捉えられていた。その広さからかなりの大きさの屋敷である事は間違い無かったが、所々蜘蛛の巣が張っており、手入れが行き届いてはいなかった。
「お目覚めですか?お嬢さん」
もはやお嬢さんと呼ばれても悪寒しか走らない状態のまま、ジャラリと音を立てた足枷の鎖がやけに冷たく感じていた。
「話なんてありません。早く開放して下さい」
「それは困ります。母が貴方にどうしても会いたいと言いまして、何ぶん足が不自由で仕方なく貴方に来ていただいた次第です」
ストレッチャーの様な物に乗った白髪の女性は、寝そべったままテーブルの向かいに座っていた。しかし、この場所からでは会話するにも叫ばなければ聴こえない距離である。
「話なら今すぐ聞きますので、とにかく早く開放してください」
「スミマセン。母はシャイですので、とりあえず食事をご一緒したいとの事です」
隣に居た赤髪の男はそう言うと、自分の隣に用意していた料理を運ぶカートから次々に食事を並べていった。暫くすると向かいにいた女性の元に駆け寄り、すぐさまストレッチャーの様な乗り物を押して部屋を出てしまった。
気分でも悪くなったのか、料理に手をつける事もなく外に出ていった。食べるかどうか迷いながら、とりあえず足枷は外れそうも無く、何が盛られているかも分からなかった為迷っていると鳥が入り込んできていた。
スプーンで一匙料理を乗せると床に撒いた。鳥が食べているのを確認出来たものだけを口に運び、赤髪の男が帰って来ると鳥は逃げてしまった為、料理の半分を残した。
部屋には女性と同じストレッチャーの様な物で運ばれ、部屋に着くと足枷は外されたが部屋からは出られそうも無く外側から鍵をかけられた。
一人なら広いくらいの部屋は、思った以上に綺麗に手入れされていたが、どうにも誰かが住んでいた様な形跡が多々伺えた。
「それにしても、これが無かったらヤバかった」
背中に隠しておいた冒険の書を取り出す。人に出来るだけ見せないようにスパークに言われた為、服の下に隠し持つようにしていた。
部屋に鳥が入ってきたのは、偶然では無く鳥達が餌を探しているのを聞いた為である。他の生き物の声が聞けなければ、食事は早々に諦めていただろう。
窓の外は格子状の柵が設けられていたが、換気が出来たので窓を開けて外の景色を確認する。この場所は屋敷の三階で町は少し離れた場所に見え、町外れの森の中である事が伺えたが、それ以上の情報は得られそうに無かった。
「、、、、、、、、明日になればマスクスさんかトミーが助けに来てくれるはず」
連れ去られて来てから一日が過ぎようとしていた。誰かが助けてくれる、そう信じてその夜は眠りについた。
朝起きると頭がようやく冴えたのか、自分の置かれている状況も何とかなるのではないかと思いはじめ、じっと冒険の書を見つめながら暫く固まっていたが、突然何かを思い出したかのように窓を開けた。
暫くすると扉が叩かれ、やはり昨日の赤髪の男が現れると昨日と同じように足枷をつけると、ユルリを食堂まで運んで行った。
昨日の違いがあるとすれば女性が向かいに座って居なかった事と、料理が違うことくらいである。しかし、ユルリにはまだ聞かないといけない事があった。
「あの、結局何がしたかったんですか?」
答えが返るとは思わない。しかし、聞かなければ何も分からないと赤髪に尋ねるがやはり返事は無かった。しかし。
「意味は今に分かる。今は最後の晩餐を噛み締めると良い」
赤髪の男は今までとは打って変わって自分の本心を隠そうともしなくなった。それは状況が変わったのか、ユルリにはすでに時間が残されていないかの何方かである。
「地獄に落ちる用意なんてしていません、特に貴方の様な人の言いなりになるのは嫌です」
食事を終えると昨日とは違い足枷も外され、屋敷の地下のような場所に連れて行かれた。薄暗く何に使われていたのか分からなかったが、深く長い地下への石造りの階段を降りた。
「着いた、では行きましょうか。お嬢さん」
最深部の扉を開くと、中は大広間の様になっていた。壁には不気味に飾られていたデーモンのキャンドルが並び、中央には玉座の様なものが佇んでいた。
「本当はすぐにでも此方に連れて来たかったが、今夜は運良く二重月。二つの月の重なる魔力の高まる日ですからね」
「五月蝿いわね!関係ないのよ、アンタなんか仲間がやって来てすぐにやっつけられるんだから!!」
ユルリの精一杯の叫声だった。しかし、微かな希望はゴトリと音を立てて絶望へと変わる。
「昨晩。来訪者があったが君の知り合いだろうか?なかなかの手練れだったが二人とも、実戦経験が足りなかったな」
地面に転がった二人分の頭がそこにあった。真の恐怖とは絶叫ではなく絶句として現れ、時間が経つと絶望へと変わっていく。
「アンタなんか、、、、、人間じゃない」
「そうだ。俺ハ人間じゃナい、だかラ新しい人間ガ必要になルのさ」
赤髪の男だったものは、裂けるように真なる姿を表す。内から黒く全身を覆う毛が現れると異形の姿を表した。
山羊の頭に人間の体。全身は真っ黒な毛で覆われており、翼を持つ生き物はまるで全てを計算ずくの様な物言いで、ユルリに告げて来た。
「我は悪魔ト呼ばわれシもの。人ヲ審判スるもノだ」
山羊になった男から後退る。人を審判すると言う事は、こちら側はあくまで下にしか見られていないと言う事でもある。管理される側には決定権などあるはずない為、何が何でも安全の確保が急務であった。
強襲が始まる。山羊男の周りには六つの火球が生成されバレーボール程の大きさになると火球は順番にユルリを襲い始めた。
「ちょ、火傷しちゃうじゃない!貴方女性の扱い悪いんじゃないの!」
「マダ、ヨユウガアルナ」
一つ目と二つ目の火球は走って避け、三つ目の火球がユルリに迫ると、避ける余裕など既に失いなす術なく、火球の餌食になると思われたがユルリは火球に向かって走り出した。
「オロカナ、ショウキヲウシナッタカ」
しかし、次の瞬間それがユルリの狙いである事がわかった。火球の爆破と共にユルリの命も潰えたかと思われたが、ユルリは確かに生きてその場に立っていた。
「まだ、、、、、、、死んでないわよ。何発、、、、、、耐えられるか解らないけど」
ユルリの拳には布が巻かれていた。服の袖を破り拳に巻き付けていた布は、煙を上げ焦げてはいたが腕以外にダメージは無かった。
火球に飛び込みながら、火傷に拳を叩きつける事で腕以外の全身を守ったのだったが、スパークの様に筋肉がある訳ではない為、腕だけはボロボロになっていた。
ボロ布を反対の拳に顔を歪めながら付け替える。もしもう一度来ても同じ手で防ぐ事はできるが、恐らくその次はない。
「バカメ、マダハンブンダ!!」
一瞬、面くらいはしたが攻撃が全て終わった訳ではない。残りの三つの火球は止めだと言わんばかりにユルリに迫って来た。
「ヤハリオロカナ。オナジテトハ」
再びユルリは火球に向かって走って来た。拳を構えると火球が一列に並び、眼前に迫るとユルリはしめたとばかりに横っ飛びに転がった。
ギリギリまで引き付け、一列に誘導する事で火球を避けやすくしたのである。しかし、攻撃がこれで終わる訳はなく山羊男は今度は魔弾である光球を生成し、ユルリに告げた。
「コレデオワリダ。モウヨケラレマイ」
魔弾を観察して予測する。ユルリはどのみちこのままやられるのであれば、一矢報いてやりたいと考えていた。
異世界に半強制的に連れて来られ、意味も分からないまま追われる様に逃げた先、薄暗い地下が自分の墓場なのだと考えていた。
ーーーーーーー納得出来るか!!
だからこそ一矢報いたいと窮地の中で考えられるようになっていた。気持ちが決まれば後はどう動くだけである。絶対絶命の中、思考は思った以上に冷静であった。
魔弾が弾ける様に発射される。速度がさっきの火球に比べれば大した事なさそうに見え、すかさず魔弾の軌道上から離れた。
しかし、魔弾を交わしたはずが何故か再び魔弾の軌道上にいる事に気づき、ユルリは山羊男を旋回する様に回り込むと、魔弾が追跡弾である事が見てとれた。
「、、、、、、、、ついて来る。足を止めらない」
旋回しながら次の手を考える。勿論、相手に勝てればそれに越した事はなかったが、現実的ではなく今は逃げの一手に他ならないでいた。
「って、避けきれ、、、、、、いやぁぁぁ!?」
走って旋回しているとはいえ、魔弾の速度が特別遅いという訳ではない。全力で逃げれば何とか追いつかないだけで、距離をジリジリと縮められながら何とか凌いだ。
心音が耳にまで響くほど鳴り響き、人生で初めてかもしれない位に全力で走り続けていた。速度を落とせば命を落とすデスゲーム。
クリア方法はまだわからないまま、自分の足の痙攣を感じながら人生をかけたダッシュは続き、これ以上はと思っていたが突然苦しみで狭まった視界をこじ開ける。
ーーーーーーーもう一か八か賭けるしかない!!!
視界に入って来たのは山羊男の側頭部である。逃げ回っているうちに山羊男の隣まで回り込んでおり、このまま走れば背後を取れるかも知れない。
勿論、ユルリには背後を取ったところで攻撃する術もない。しかしそれは、いまの今まではの話である。
「抜けろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
恐怖の払拭と自らの鼓舞の為、叫びを上げたユルリは溜まり切った全身の乳酸を振り切る様に全力で山羊男に駆け寄った。
追尾する魔弾はユルリに迫ると同時に、出発点に目掛けて加速を続けると、山羊男にユルリがギリギリまで近づき、山羊男の足下を滑る様にして股を抜けると、そのまま走り抜けた。
出来る限りの力。限界はとうの昔に超えていた。しかし、ユルリは逃げる脚も戦う拳もいまはないまま、ただ滑り終えると壁に向かって全身が叩きつけられた。
倒れ崩れ落ちる最中、山羊男が此方に視線を向けたと同時に断末魔が響き渡る。自ら放った魔弾が背中に突き刺さると、まるで感電したかの様に痙攣しながら煙を上げ焼け焦げた。
霞む視界。呼吸が整う事もなく、息を荒げながらも意識だけを何とか保つ事で精一杯だったが、とにかく此処を抜け出さないといけない為、やって来た入り口から階段を戻る事にした。
壁伝いに何とか上り詰めると、屋敷の食堂に戻ってきていた。疲労は回復するまでには至らなかったが、呼吸は整える事が出来た。
「ニゲラレル ト オモッテイルノカ」
地面が割れると同時に山羊男が現れ、再び火球を生成していた。辺りに火をつけるとユルリの逃げ道を塞ぐ様に火球を操った。
「、、、、、、、、間に合わなかった」
ユルリにはまだ奥の手があったが今の状態であれば、どのみち助かる見込みはない。あと数分もすれば一酸化炭素中毒か家屋の屋根に押しつぶされるのが時間の問題であった。
だが、山羊男にこのままやられるだけの終わりなんて納得出来ない。たとえ相打ちまで行かなくとも、無傷で生きながらえらせるつもりはユルリにはなかった。
「逃げるも何も、アンタのせいで何処にも逃げられないのよ。アンタには慈悲って言葉はないの」
「モトヨリ、モチアワセテイナイ」
ユルリにしては一分一秒でも時間を稼ぎたい状況であったが、山羊男にまともな会話など出来るはずもなく会話の引き伸ばしは難しかった。
火球がさらにユルリを襲い、呼吸もままならなくなる程の熱気が纏わり付き、辺りが火の海になると意識まで刈り取られそうになっていた。
「、、、、、、、、駄目だ。もう」
床に突っ伏したまま、呼吸をするだけで精一杯である。立ち上がれば煙と熱気に肺をやられ、一分と持たずにやられてしまう。
最早これまでかと思われたが突然、屋敷全体に何かが衝突したようで、その衝撃の振動で揺れたと同時に爆発音が響き渡った。
「お待たせしました!超絶爆絶空前絶後今世紀最初で最後の魔的魅了竜美少女アイドルのアオです!」
「、、、、、、、来てくれた。って誰?」
衝撃と爆発が瓦解するようにして室内の壁は吹き抜け、火災も瓦解と衝撃により押し潰されるように鎮火していた。
その煙と瓦礫の先。まるで変身ヒーローが現れたかのようはポーズで立ち尽くしていた人物は、ヒラヒラのメイド服と青く長い髪を靡かせながら現れた。
「ジャマダ!燃やし尽くす火炎!!」
山羊男はメイドに対して最大限の怒りの感情を込めて今までとは比較にならない、巨大な砲撃じみた巨大火球を撃ち放った。しかし、メイドはその火球をまるでバレーボールの如く受け止めた。
「竜種に対して火力で挑もうなんて愚かですね。獄炎クラスの魔術も使えないくせに」
「オロカハ、キサマダ」
山羊男は〝ソレ〝を投げると、自身の身の安全可愛さに退避行動をとった。投げられた瞬間ユルリはメイドを連れて逃げようとしたが、鉛の様に重く動かなかった為叫んだ。
「駄目!あれはスクロールよ!」
最悪なシナリオ。高熱の塊に注がれる様にスクロールから溢れたのは水であった。それが罠で水蒸気爆発を起こすのが目的であると分かった瞬間に屋敷はすでに吹き飛んでいた。
大気が震え暴風が吹き荒れ、一瞬の静寂が世界に響き合うと時間まで止まったかの様な錯覚に陥る。しかし、瞬きする間に再び暴風は更なる轟音を轟かせながら地面が抉れ、次の瞬間全てが弾け飛んだ。
辺りを飲み込むかのような衝撃は、屋敷を跡形もなく瓦礫の塊へと変え、辺りの木々すら屋敷を中心に折れ曲がり、その爆発の威力と脅威を知らしめていた。
「、、、、、、、、、、、、生きてる」
瓦礫のから生まれる様に這い出したユルリは、五体満足の体を噛み締める様に地面に突っ伏していると、体の埃を払いながらメイドが近づいてきた。
「参りましたね。ユルリさんに防御壁張るので手一杯で逃げられちゃいました」
まるで、さも当たり前の様にやってきたメイドは、無傷どころかスカートの裾ですら破れる事なくさっきと同じ様に目の前に佇んでいた。
「あの、ありがとう。助けてくれて」
「良いんですよ。仲間も助けて貰えて此方こそ感謝いたします」
「仲間?仲間って。誰かと間違えてるんじゃ、それに何でアタシの名前知ってるの?」
「何言ってるんですか、ユルリさんが教えてくれたんじゃないですか。それにキィとアカを助けてくれたじゃないですか」
キィ、アカ。聞き覚えがなくもなかったが、むしろアオと名乗った時から薄々はそんな気はしていたが、まさかと思いつつ聞いてみた。
「もしかして、竜のアオさん?」
「そうですが。あぁ、人間のフリしてるの忘れてました。そもそも、この姿にならなくてもユルリさんとはお話出来ますから」
どうやら思っていた通りらしい。さすがにユルリも飛竜が助けに来るとは思って居なかった。
屋敷に囚われている際、ユルリの唯一のスキルである共通言語を使い、辺りを飛んでいた鳥たちに、近くにいた療養中の飛竜二頭に助けを呼んで欲しいと頼んだのだった。
山羊男に逃げられたユルリは飛竜の助けにより一命を取り留めた。何もわからぬまま、とにかくアースナルに向かえばスパークには会えるかも知れないと、飛竜達の回復を待ってユルリは出発する事にした。
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