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14.信頼
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朝、ギルドの寮で目が覚めた。
ベットで軽く十分は天井を見つめていただろうか、
「キョウスケ、何分経った?」
「5分です」
時間感覚狂っているな。
「着替えるか」
僕はギルド制服に着替え始めた。
あの湖、「再生湖」僕の腕も再生したし、キリカの傷も癒した。何故あんなものが?そして、なぜ僕に今まで教えてくれなかったのか。
「もしあの湖を知っていたら、ルーイを助けられたかな……」
「無理でしょうね、距離があります。あのまま二人で再生湖にたどり着くのは不可能」
「だよな……」
もしかしたらという思考が頭にこびりつく。
右手の感覚を確かめて、ギュッと握りしめてみた。
「よし、準備完了!」
僕がギルドカウンターに行くと、キリカがテーブルに座っていた。
「キリカ、おはよう。朝早いね」
「おはよう、元気?」
「ああ、変なところは一切ない。キリカは大丈夫なのか?」
「大丈夫だけど……君、キリカキリカって私達そんなに仲良かったっけ?」
確かにそうだ。ピンチ故に頭がおかしくなってしまっていたのだろう。出会って一日目、調子に乗っていたのかもしれない。気に障ったのだろうか。
「あーっとそれは……馴れ馴れし過ぎたかな、ごめん」
「フフフ、冗談!いいよ別にキリカって呼び捨てでも」
キリカの顔が緩んでいる。そんなに嬉しそうなのはなぜだろうか。
昨日も「キリカ」って言ってた気がするんだけど。
「キリカ……ね、フフフ、キーリカ」
椅子に座って小さな声でブツブツ呟いているが僕にはよく聞こえなかった。
僕はテーブルで挟まれたその向かいの椅子に座り、真面目な表情でキリカを見た。
「少しお願いがあるんだけど、これから僕とは接触しないでくれないかな」
キリカが少し驚いた表情になった。
「えっと……うん」
思ったより素直だな。
僕が椅子から立とうとすると、キリカが止めた。
「ど、どうしてなの?」
素直じゃなかった
僕は理由も話したくない。
「やっぱりシロカミだから?私といると迷惑だったとか?」
「いや、そうじゃくて───」
「私のせいでオトメ君怪我したもんね……ごめん油断して」
「そうじゃなくて!」
ここで色々喋るわけにはいかない。
カイナを単独で助けにいくことを他の人間、リョウトさん以外に知られてはならない。
たとえキリカだったとしても。
ギルドの皆みたいに途中で引き留められたらたまったものではない。
「オトメ君しかいなかった……んだ」
「え?」
「今までほとんどパーティ組んだことないし、こんな嫌われ者の私でも仲間として見てくれたのはオトメ君だけだったから。だからその……えっと……」
PEのキョウスケが沈黙を破って僕に伝えた。
「『そんな悲しいこと言わないで』じゃあないんでしょうかオトメ。彼女は発言通り、シロカミ故の生きにくさがあったでしょう。だからオトメがキリカを突き放すという選択はかなり残酷でしょうね」
髪の色故の差別を受けてきたキリカにとって、僕は多少なり好感を持たれていたのだろうか。
想像してみろ、僕がここにやってきて、誰も相手してくれない現実。それを耐えてきたキリカに裏切るようなことを言っていいのか。
信用してくれたキリカになら話してもいいかもしれない。
こんなに僕を仲間として見てくれる人間は今までいなかったかもしれない。
「……キリカ、僕はこれから人を助けにいくんだ。それで……」
「私もついて行っていい?」
早い。
「危険な戦いになるかもしれない……それでもいいなら……一緒についてきてくれる?」
「もちろんだよ!」
早い!
本当の仲間に出会えた気がした。
「あ、ありがとう……!」
お互い一人だった者同士、仲良くしていこう。
「あ!オトメさんおはようございます」
元気な挨拶をしたのはアカネちゃんだ。
「おはよう」
「お隣さんは……見ない顔ですね」
キリカは自己紹介する。
「私はキリカ、よろしくね」
「アカネです、よろしくおねがいしますね」
あれ、キリカってギルドの人間じゃなかったのか。
「綺麗な髪……」
アカネちゃんの言葉は無垢だった。おやこれはキリカにクリティカルヒットでは?
「あ、ありがとう……」
キリカが顔を真っ赤にしている。
「この髪ね、気味悪がられることが多くって、アカネちゃんは大丈夫?」
「まぁ色々な人を見てますからね」
割と二人は仲良くできそうだな。多分。
「アカネちゃん、僕買い出しに行ってくるよ」
「今日はありませんよ。マスターの林檎ストックはまだまだありますから」
ス、ストック?腐らないのかな?
「じゃあキリカに街を案内しておくよ、ココ初めてみたいだし」
「え?あっはい」
アカネちゃんに勘づかれる前に出発しなければ……!
「じゃあね!」
「……いってらっしゃい」
僕はキリカの腕を引っ張る。
「うぉ!ちょっとまって!」
「速くいこうね!」
ドタバタとギルドを出ていった。
「随分と強引ね、オトメ君」
「悪かったって……」
「それで、街を案内してくれるの?別に要らないんだけど」
「しないよ。今から助けに行く」
「あら、展開早いね」
「そりゃそうだ、もう何日も経っているんだ……」
「それはそうと君さ、人を助けに行くって言ってたけど、どうしてそうなったのか教えてよ」
「そうだな」
僕はキリカにカイナが連れ去られたことを話した。
「なるほど、姫様ね。記憶を無くしてね、うん助けに行こう」
「改めて協力をお願いしてもいいかな?」
「もちろん!」
「ありがとう」
「勿論自衛には努めるけど、今度危なかったらちゃんと守ってね」
「当たり前だ」
今度の今度は本気で守る。
「そのカイナって人がどこにいるか目星はついてるの?」
もちろんついている。
ルーイから受け取った剣の紋章を調べたのだ。
「あぁ、それは『戦城アバンドグローリー』だ!」
ベットで軽く十分は天井を見つめていただろうか、
「キョウスケ、何分経った?」
「5分です」
時間感覚狂っているな。
「着替えるか」
僕はギルド制服に着替え始めた。
あの湖、「再生湖」僕の腕も再生したし、キリカの傷も癒した。何故あんなものが?そして、なぜ僕に今まで教えてくれなかったのか。
「もしあの湖を知っていたら、ルーイを助けられたかな……」
「無理でしょうね、距離があります。あのまま二人で再生湖にたどり着くのは不可能」
「だよな……」
もしかしたらという思考が頭にこびりつく。
右手の感覚を確かめて、ギュッと握りしめてみた。
「よし、準備完了!」
僕がギルドカウンターに行くと、キリカがテーブルに座っていた。
「キリカ、おはよう。朝早いね」
「おはよう、元気?」
「ああ、変なところは一切ない。キリカは大丈夫なのか?」
「大丈夫だけど……君、キリカキリカって私達そんなに仲良かったっけ?」
確かにそうだ。ピンチ故に頭がおかしくなってしまっていたのだろう。出会って一日目、調子に乗っていたのかもしれない。気に障ったのだろうか。
「あーっとそれは……馴れ馴れし過ぎたかな、ごめん」
「フフフ、冗談!いいよ別にキリカって呼び捨てでも」
キリカの顔が緩んでいる。そんなに嬉しそうなのはなぜだろうか。
昨日も「キリカ」って言ってた気がするんだけど。
「キリカ……ね、フフフ、キーリカ」
椅子に座って小さな声でブツブツ呟いているが僕にはよく聞こえなかった。
僕はテーブルで挟まれたその向かいの椅子に座り、真面目な表情でキリカを見た。
「少しお願いがあるんだけど、これから僕とは接触しないでくれないかな」
キリカが少し驚いた表情になった。
「えっと……うん」
思ったより素直だな。
僕が椅子から立とうとすると、キリカが止めた。
「ど、どうしてなの?」
素直じゃなかった
僕は理由も話したくない。
「やっぱりシロカミだから?私といると迷惑だったとか?」
「いや、そうじゃくて───」
「私のせいでオトメ君怪我したもんね……ごめん油断して」
「そうじゃなくて!」
ここで色々喋るわけにはいかない。
カイナを単独で助けにいくことを他の人間、リョウトさん以外に知られてはならない。
たとえキリカだったとしても。
ギルドの皆みたいに途中で引き留められたらたまったものではない。
「オトメ君しかいなかった……んだ」
「え?」
「今までほとんどパーティ組んだことないし、こんな嫌われ者の私でも仲間として見てくれたのはオトメ君だけだったから。だからその……えっと……」
PEのキョウスケが沈黙を破って僕に伝えた。
「『そんな悲しいこと言わないで』じゃあないんでしょうかオトメ。彼女は発言通り、シロカミ故の生きにくさがあったでしょう。だからオトメがキリカを突き放すという選択はかなり残酷でしょうね」
髪の色故の差別を受けてきたキリカにとって、僕は多少なり好感を持たれていたのだろうか。
想像してみろ、僕がここにやってきて、誰も相手してくれない現実。それを耐えてきたキリカに裏切るようなことを言っていいのか。
信用してくれたキリカになら話してもいいかもしれない。
こんなに僕を仲間として見てくれる人間は今までいなかったかもしれない。
「……キリカ、僕はこれから人を助けにいくんだ。それで……」
「私もついて行っていい?」
早い。
「危険な戦いになるかもしれない……それでもいいなら……一緒についてきてくれる?」
「もちろんだよ!」
早い!
本当の仲間に出会えた気がした。
「あ、ありがとう……!」
お互い一人だった者同士、仲良くしていこう。
「あ!オトメさんおはようございます」
元気な挨拶をしたのはアカネちゃんだ。
「おはよう」
「お隣さんは……見ない顔ですね」
キリカは自己紹介する。
「私はキリカ、よろしくね」
「アカネです、よろしくおねがいしますね」
あれ、キリカってギルドの人間じゃなかったのか。
「綺麗な髪……」
アカネちゃんの言葉は無垢だった。おやこれはキリカにクリティカルヒットでは?
「あ、ありがとう……」
キリカが顔を真っ赤にしている。
「この髪ね、気味悪がられることが多くって、アカネちゃんは大丈夫?」
「まぁ色々な人を見てますからね」
割と二人は仲良くできそうだな。多分。
「アカネちゃん、僕買い出しに行ってくるよ」
「今日はありませんよ。マスターの林檎ストックはまだまだありますから」
ス、ストック?腐らないのかな?
「じゃあキリカに街を案内しておくよ、ココ初めてみたいだし」
「え?あっはい」
アカネちゃんに勘づかれる前に出発しなければ……!
「じゃあね!」
「……いってらっしゃい」
僕はキリカの腕を引っ張る。
「うぉ!ちょっとまって!」
「速くいこうね!」
ドタバタとギルドを出ていった。
「随分と強引ね、オトメ君」
「悪かったって……」
「それで、街を案内してくれるの?別に要らないんだけど」
「しないよ。今から助けに行く」
「あら、展開早いね」
「そりゃそうだ、もう何日も経っているんだ……」
「それはそうと君さ、人を助けに行くって言ってたけど、どうしてそうなったのか教えてよ」
「そうだな」
僕はキリカにカイナが連れ去られたことを話した。
「なるほど、姫様ね。記憶を無くしてね、うん助けに行こう」
「改めて協力をお願いしてもいいかな?」
「もちろん!」
「ありがとう」
「勿論自衛には努めるけど、今度危なかったらちゃんと守ってね」
「当たり前だ」
今度の今度は本気で守る。
「そのカイナって人がどこにいるか目星はついてるの?」
もちろんついている。
ルーイから受け取った剣の紋章を調べたのだ。
「あぁ、それは『戦城アバンドグローリー』だ!」
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