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「マスター、オトメさん今日もきませんね」
「あれから二日か……最近は討伐任務ばかり引き受けていてね、まるで何かに取り憑かれているようだ」
「私、ルーイさんに仕事を教えてきますね」
「頼んだよ……」
曇り AM10:04
僕はアッパーグラスで任務を遂行中だ。
「はぁはぁ……これで20体目……!」
美しき大地はゴブリンの血で染まっていた。
「戦闘能力が二日前より向上しています」
「それはありがとう」
少し照れくさかった。素直にほめるんだコイツ。
「片手剣の扱いが得意、という結果がでていますが、現在使用の武器を継続して使用しますか?」
「あぁいいんだ……別に気にすんな」
現在使っている武器は『護衛の剣改』ルーイの物だ。
両手剣は片手剣と大剣の中間的な存在で、以前使用していたアイアンソードより威力がある上、防御もしやすい。
まぁ重いけど。
ルーイは今、ギルドで働いている。僕と同じように。
カイナを会わせてやりたい。お互い記憶は無いだろうけど。
それは僕のエゴだ。
ん?……死人が記憶喪失で復活ということは、カイナは以前『レン姫』として生きて、死んだということなるのかもしれないってこと?
一体どんな理由で?行方不明だっけ?まぁ今はいいか。
そういえば、ルーイが前より少し若く見えたな……
「早く強くならないと、カイナを……助けにいくんだ」
そんな決意をキョウスケに切られた。
「条件を満たしました、TTゴブリンが召喚されます」
「来たか」
今日の狙いはコイツだ。
低確率でこの地域に来るゴブリンの集団(さっきの)を討伐、かつ曇りの時にのみ召喚される大型のバケモノ。
地面に大きな魔法陣が描かれ、死体を贄として召喚された。
「おいおいデカイな!!」
「スキャン開始」
『タイラントタイニーゴブリン』Enemy
・相対レベル 20
・残神(Big) レプリカ
・怒り
他スキャンを実行していません。
「どこがタイニーだよ、しっかりタイラントじゃねぇか!」
ゴブリンの身長は5mをこえている。
とてもタイニーとは言えない。
「タイラントクラスの、という意味で名付けられたようです。その巨大なゴブリンの種族の中では小さい、という意味らしいです。名称の長さから『タイニーゴブリン』と称されることが多いらしいです」
「ってことは、世の中にはコイツよりデカイやつがまだいるってことだよなぁ」
残神(レプリカだが)と呼ばれる大振りの刀はゴブリン達が制作した物と思われ、切られたらCPはおろかHPも半分も残らないだろう。たぶん。
「『残神』と呼ばれた刀は『神斬』の制作過程の失敗作として捨てられたのが起源でして……」
「はいはい、今戦闘中だからね」
準備万端のゴブリンは大声を上げ、刀を振り下ろした。
それを左に避ける。
思ったより速い斬撃は大地を二分する勢いだ。
当たっていたと思うと体が痛い。
本来コイツは、三人からの討伐が推奨されている強敵である。我ながら無謀だと思う。
そんなことを考えながら2回目の攻撃をギリギリ後ろに避ける。
「射程が長い、後ろはダメだな」
「推奨行動、スキルの使用」
「解った、目には目をだな」
剣が赤く光る。
「鬼神剣」
・移動速度上昇
・攻撃力上昇
・次のスキルMP消費0(1回のみ)
・効果時間30s
・リキャスト時間60s
このスキルはルーイからスキルカードより引き継いだものである。
一直線に駆け抜け、ゴブリンの左足に切りかかる。
これには対応出来なかったのか、体勢を崩した。
後ろに回った僕は、更に背中に切りかかる。
「ギャャャャャー!」
鼓膜を潰される爆音だ。
「わわっうるせー!」
すると、ゴブリンが一回転し、刀を振るった。
空中故、避けれず剣で防いだ。
骨に染みる威力、僕は簡単に吹き飛ばされた。
HP-13% CP-30%
軽い脳震盪。
「ああクソッ、キョウスケ、あのスピードどうにかならないか?」
「こちらのダメージはしっかり通っています。先程の攻撃で速度が落ちていますので、もう片方の足の攻撃を推奨します」
「解った、よし!」
攻撃を避け、右足に近づいた。
「今だ……!」
しかし、剣は空を切った。手ごたえがない、拍子抜けもいいとこだ。
「え?」
「……上です!」
見上げた時には遅かった。僕は完全に鷹をくくっていた。
「少しでもダメージを……」
ゴブリンのジャンプからの攻撃を受け、もう一度吹き飛ばされる。いちいち攻撃が重い。
HP-26% CP-30%
「はは……痛いな、クラクラするぜ……」
「オトメ、速く立てなおしてください」
「僕は、お前より強いヤツを倒さないといけないんだ」
ゴブリンは刀を振り上げた。トドメを刺す気だ。
右足が一歩……出ない。
CPが足りない、自動回復にはあと数秒必要だ。
まて、引き付けるんだ、時間をかせげ。
刀が降り下りされる。
CPがあと少しで回復する。
もう少し引き付ける!
「刀が直撃しなくて感謝かな、足をよく見なよ」
ゴブリンは姿勢を大きく崩した。
僕は、あのジャンプ攻撃の一瞬で足を切っていた。
おかげで刀の軌道は僕から大きく逸れた。
「今だぁ!」
CP53%
僕は刀の残神を踏み台にしてゴブリンの頭まで跳んだ。
そして、渾身の力で首を吹き飛ばした。
巨体は一気に脱力し、地面に倒れこんだ。
「やったぁ……さすがルーイの剣だ」
僕も達成感、血液と一緒に寝転がった。
「おめでとうございます、ドロップ品の確認です」
・残神 レプリカ 破損率90%
・魔石 小
・ルーンナイフ×6
「残神の破損率は笑えるな。魔石……は武器強化に使えるか。なぁキョウスケ、ルーンナイフって?」
「ストレージから出現させます」
僕は、ナイフを並べてみた。
「これは、一本ずつ形が違うな」
「文字をイメージした投擲ナイフです」
戦闘のバリエーションが広がりそうな、ワクワクした気持ちになった。
りんごの皮を剥くフルーツナイフより大振り、料理には心もとない緑色の金属製ナイフ。
「よーし、練習するか!」
「投擲術の習得時間およそ一時間」
「早いな」
その後、ある程度狙ったところにナイフを投げられるようになった。
「もう少しだ……後もう少し強くならないと」
「学習速いですね、私のおかげですけど」
「あれから二日か……最近は討伐任務ばかり引き受けていてね、まるで何かに取り憑かれているようだ」
「私、ルーイさんに仕事を教えてきますね」
「頼んだよ……」
曇り AM10:04
僕はアッパーグラスで任務を遂行中だ。
「はぁはぁ……これで20体目……!」
美しき大地はゴブリンの血で染まっていた。
「戦闘能力が二日前より向上しています」
「それはありがとう」
少し照れくさかった。素直にほめるんだコイツ。
「片手剣の扱いが得意、という結果がでていますが、現在使用の武器を継続して使用しますか?」
「あぁいいんだ……別に気にすんな」
現在使っている武器は『護衛の剣改』ルーイの物だ。
両手剣は片手剣と大剣の中間的な存在で、以前使用していたアイアンソードより威力がある上、防御もしやすい。
まぁ重いけど。
ルーイは今、ギルドで働いている。僕と同じように。
カイナを会わせてやりたい。お互い記憶は無いだろうけど。
それは僕のエゴだ。
ん?……死人が記憶喪失で復活ということは、カイナは以前『レン姫』として生きて、死んだということなるのかもしれないってこと?
一体どんな理由で?行方不明だっけ?まぁ今はいいか。
そういえば、ルーイが前より少し若く見えたな……
「早く強くならないと、カイナを……助けにいくんだ」
そんな決意をキョウスケに切られた。
「条件を満たしました、TTゴブリンが召喚されます」
「来たか」
今日の狙いはコイツだ。
低確率でこの地域に来るゴブリンの集団(さっきの)を討伐、かつ曇りの時にのみ召喚される大型のバケモノ。
地面に大きな魔法陣が描かれ、死体を贄として召喚された。
「おいおいデカイな!!」
「スキャン開始」
『タイラントタイニーゴブリン』Enemy
・相対レベル 20
・残神(Big) レプリカ
・怒り
他スキャンを実行していません。
「どこがタイニーだよ、しっかりタイラントじゃねぇか!」
ゴブリンの身長は5mをこえている。
とてもタイニーとは言えない。
「タイラントクラスの、という意味で名付けられたようです。その巨大なゴブリンの種族の中では小さい、という意味らしいです。名称の長さから『タイニーゴブリン』と称されることが多いらしいです」
「ってことは、世の中にはコイツよりデカイやつがまだいるってことだよなぁ」
残神(レプリカだが)と呼ばれる大振りの刀はゴブリン達が制作した物と思われ、切られたらCPはおろかHPも半分も残らないだろう。たぶん。
「『残神』と呼ばれた刀は『神斬』の制作過程の失敗作として捨てられたのが起源でして……」
「はいはい、今戦闘中だからね」
準備万端のゴブリンは大声を上げ、刀を振り下ろした。
それを左に避ける。
思ったより速い斬撃は大地を二分する勢いだ。
当たっていたと思うと体が痛い。
本来コイツは、三人からの討伐が推奨されている強敵である。我ながら無謀だと思う。
そんなことを考えながら2回目の攻撃をギリギリ後ろに避ける。
「射程が長い、後ろはダメだな」
「推奨行動、スキルの使用」
「解った、目には目をだな」
剣が赤く光る。
「鬼神剣」
・移動速度上昇
・攻撃力上昇
・次のスキルMP消費0(1回のみ)
・効果時間30s
・リキャスト時間60s
このスキルはルーイからスキルカードより引き継いだものである。
一直線に駆け抜け、ゴブリンの左足に切りかかる。
これには対応出来なかったのか、体勢を崩した。
後ろに回った僕は、更に背中に切りかかる。
「ギャャャャャー!」
鼓膜を潰される爆音だ。
「わわっうるせー!」
すると、ゴブリンが一回転し、刀を振るった。
空中故、避けれず剣で防いだ。
骨に染みる威力、僕は簡単に吹き飛ばされた。
HP-13% CP-30%
軽い脳震盪。
「ああクソッ、キョウスケ、あのスピードどうにかならないか?」
「こちらのダメージはしっかり通っています。先程の攻撃で速度が落ちていますので、もう片方の足の攻撃を推奨します」
「解った、よし!」
攻撃を避け、右足に近づいた。
「今だ……!」
しかし、剣は空を切った。手ごたえがない、拍子抜けもいいとこだ。
「え?」
「……上です!」
見上げた時には遅かった。僕は完全に鷹をくくっていた。
「少しでもダメージを……」
ゴブリンのジャンプからの攻撃を受け、もう一度吹き飛ばされる。いちいち攻撃が重い。
HP-26% CP-30%
「はは……痛いな、クラクラするぜ……」
「オトメ、速く立てなおしてください」
「僕は、お前より強いヤツを倒さないといけないんだ」
ゴブリンは刀を振り上げた。トドメを刺す気だ。
右足が一歩……出ない。
CPが足りない、自動回復にはあと数秒必要だ。
まて、引き付けるんだ、時間をかせげ。
刀が降り下りされる。
CPがあと少しで回復する。
もう少し引き付ける!
「刀が直撃しなくて感謝かな、足をよく見なよ」
ゴブリンは姿勢を大きく崩した。
僕は、あのジャンプ攻撃の一瞬で足を切っていた。
おかげで刀の軌道は僕から大きく逸れた。
「今だぁ!」
CP53%
僕は刀の残神を踏み台にしてゴブリンの頭まで跳んだ。
そして、渾身の力で首を吹き飛ばした。
巨体は一気に脱力し、地面に倒れこんだ。
「やったぁ……さすがルーイの剣だ」
僕も達成感、血液と一緒に寝転がった。
「おめでとうございます、ドロップ品の確認です」
・残神 レプリカ 破損率90%
・魔石 小
・ルーンナイフ×6
「残神の破損率は笑えるな。魔石……は武器強化に使えるか。なぁキョウスケ、ルーンナイフって?」
「ストレージから出現させます」
僕は、ナイフを並べてみた。
「これは、一本ずつ形が違うな」
「文字をイメージした投擲ナイフです」
戦闘のバリエーションが広がりそうな、ワクワクした気持ちになった。
りんごの皮を剥くフルーツナイフより大振り、料理には心もとない緑色の金属製ナイフ。
「よーし、練習するか!」
「投擲術の習得時間およそ一時間」
「早いな」
その後、ある程度狙ったところにナイフを投げられるようになった。
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