仮想世界β!!

音音てすぃ

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3.ゴブリンスラッシュ

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 続いてイノシシであるが、作戦が必要だ。牛かと見間違うぐらいの大きさだ。ウリボーとはわけが違うのだ。

「これを殺すのか……無理なんじゃ……」

 少し離れた草むらからイノシシを眺めている。

「スキャン開始」

『イノシシ(魔性狂暴)』Enemy
・相対レベル 14
・攻撃力 致命的一撃

「んー、若干強いな」

 というか、レベル14差は戦うべき相手ではない気がするのだが。

「推奨行動、スキル使用によるダメージ」

 今のところ、ゴブリンスラッシュはMP(魔力)を20%使用する。ある程度は、威力と使用MPを自由に変化させることは可能らしいが、まだヒヨッコの僕には関係の無い話だ。

「また、あのイノシシは目があまりよくありません。急なターンを行うとダウンが取れます」
「お!これはいい情報だ!」

 しかし、そうこうしているうちに、イノシシは歩き出した。
 逃げられる。

「ヤバイ、速く仕掛けないとっ!」

 僕は草むらから飛び出し、イノシシを追いかける。
 これがまた速い。普通に歩いても結構速い。

「クソッ追いつけない……そうだ!」

 僕は何を血迷ったのか、剣をイノシシに向かって放り投げた。すると、直線的に飛んでいき、イノシシのお尻に突き刺さった。

「これはやってしまったかもしれない……」

 怒り狂ったイノシシは、僕の方へ全力疾走してくる。

「良く……見るんだ、僕……!」

 それをギリギリで避けると、イノシシは大勢を崩して倒れ込んだ。

「スキャン開始」

 すると、CPが若干減っていた。
 今がチャンスだと思い、剣を何とか抜き、ダウンが終わる前にスキルを発動した。

「ゴブリンスラッシュ!」

 剣から緑色の光が漏れ、強烈な三連撃を放った。
 飛び散る血、手に響く感覚、最高だった。
 なんと、HPを70%削ることに成功。HPゲージはイエローだ。
 更にCPが0、さらにダウンを奪い、追い打ちをかけた。

「HPゲージ破壊完了、剥ぎ取り、ドロップ確認」

 どうやら、クレイジーイノシシの肉、牙、皮を手に入れた。こんなにもスキルが強力だとは……

「任務完了か、ちょっと疲れたな」

 近くの木の影で休むことにした。

それにしても、広い草原だ。所々木が生えていて、まぁ自然豊かといえばそうだが、ここから西の「グルール自然地帯」のほうが緑が濃いと聞いた。行ってみたい。

「飛行生物が接近……スキャンの結果、マスターの物であると推測されます」

 上を飛行する何か、それは鳥のようで見慣れない何か。

「来た」

 それは上から降りてくるみたいだ。
 地面すれすれで停止し、僕に近づいてくる。

「子供の竜?」
「御名答、この青い竜は『蒼炎龍』の子供です。まだ二歳程でしょうか」

 青い全身、翼飛竜というやつかなぁ。
 全長50センチ程の小さな竜は、背中に手紙を持っているらしい。

「え、くれるのか?……どれどれ……マスターからか」

 怖がりながら竜の頭をナデナデしながら手紙を読む。

「オトメ君、どうだい、サクサク進んでいるかな?そろそろ終わったところだろうと思ったんだけれど、どうかな?任務完了したら一度戻ってきなさい。あぁ、林檎は忘れないでくれよ」
「林檎?あのキャンプにあったやつか」

 視界のメニュー覧の『ストレージ』を押して、林檎を確認する。
 どうやら荷物はここに表示される、手に持つと、アイテムは消え、ここに入る。
 何故か、このシステムに違和感をもった。
 不自然……じゃないか?

「んじゃ戻ろうかな」




ギルドに戻ると、食堂にアカネちゃん、リョウトさん、ギルドマスター、たまに見るリョウトさんのパーティメンバーの人達がいた。

「おうオトメのガキンチョ!初戦闘はどうだった?」
「リョウトさん、僕はガキじゃないですよ。まぁちょっと緊張しましたけど、大丈夫でした」
「お疲れ様ですオトメさん」
「ありがとうアカネちゃん」
「オトメ君、とりあえず席に座りなさい。食事をしよう」

 僕は皆と一緒に席に座る。

「それではオトメ君の初戦闘を記念して……」

 皆で歓迎してくれるのは嬉しいが、そんなに喜ぶことなのか?

「カンパーイ!!」

 リョウトさん達大人はお酒をぐびぐび飲み始めた。

「うっひょーマジうまいな!攻略後はこの一杯よ!」
「それにしてもオトメ君、無傷とは大したものだよ」
「そうですよね。初戦闘にゴブリンはやり過ぎだと僕も思いましたよ(ちょこまか動くし)」

 僕の台詞にリョウトさんの手が止まる。

「……おいマスター、オトメにゴブリンを殺らせたのか?アレはHPは高くはないが、動きがしっかり読めたり、戦闘慣れしてたり、そういう奴が初めて戦うやつだろ?そもそも、複数人で狩る相手だし」

 僕って結構凄いのかな。ってかリョウトさんは僕が何と戦った知らないでいたのか。

「いや、オトメ君には最高の敵さ。無傷だったわけだしね」
「まーそーだけどよー、まぁいい、オトメが天才ってことにしといてやるよ!な、オトメのガキンチョ」

 リョウトは笑顔で頭をグチャグチャ撫でてきた。

「大変心が安定、豊かになっています、とても良い状態異常です。まぁ私がいれば無傷は当たり前です」
「ん?なんか言ったかPE」
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