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114.クソエイム
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屋上にアリエ隊と他小隊が到着し、北西へ進行開始。地上での会敵で、ライヴは西から進行したと考えた。
「敵発見しました」
ミセットがスナイパーライフルを構えていた。開かれた両目が見つめる先は北北西。ライヴの進行が早いようだった。
「有効射程距離まで移動します、アリエ隊長、指示を」
「……アリエ隊、前進。遮蔽物をうま」
「あれ?……アリエさん?アリエ隊長!!」
ミセットのよこでアリエが倒れた。ドミノの様だった。べちゃっと床に倒れ落ちた体を確認する。
「ありえない、この距離でヘッドショットだ。セツナ、エイル、周囲警戒!まだ間に合う!」
「はい!」
「は、はい!」
アリエの頭部には風穴が一つ。一撃で無力化されていた。砕かれていないのが幸いだ。
すぐ駆け寄ったミセットが手を頭部に当てて再生魔術を使う。体を少し支えつつ物陰に移動する。
目に力がない。嘘だろ、こんな一瞬で死なないでくれ!
「ミセットさん、前方からスナイパーが二人、その後ろに魔術師がいます。二人一組、四人います」
エイルの報告にセツナが訊いた。
「距離は?」
「2000メートルはあります……」
「う、嘘だろ?腕利きってレベルじゃないぞ」
エイルのレーダーは信用できる。だから屋上の隊に所属している。だがこちらが打てる手はないぞ!
「近づくにもいまここから顔だして一発だろうな」
「……向こうの位置を探れたのは向こうから濃い魔力を感じたからです。多分ですが、魔術師が射程距離を伸ばしてるんじゃないでしょうか」
エイルは物陰からチラチラと伺っている。
「そうなのか?まぁ対物ライフル程度のものを持ち出されたら師匠の頭は吹っ飛んでるしな」
そして音がしなかった。
なんだ?少し怖い。
「で、ミセットさん。周囲の隊は進んでいます。少しスピードは落ちましたけど。再生間に合いそうですか?」
「……お、遅いけど……何とか。脳をやられた場合、人によるけど以外と望みはあるんだ。でも師匠は少し遅い」
私たち四人 人は明らかに狙われてるだろうし、ヘイトをここに溜め込んでおいたほうが他小隊が進めるかもしれない。
「魔力反応です!」
「クソッ、こっちは動けないってのに!」
「二人とも、伏せろ!」
大げさに警戒したが、何も起きない。
「エイル!どこに当たった!?」
「え、え……200メートルずれた、西側です」
「下手くそですねぇ」
ライヴが、それもさっき師匠の頭を完璧に撃ち抜いた彼らが外すわけない。なんのために?遊んでる?
「私が先行しますか?斬り殺してきますよ?」
白打を抜刀したセツナが走り出しそうだった。
「セツナ待て!」
「……あれから二分は経ってます」
「わ、わかってる。人命を優先したいんだ」
私たちは勝ちに来たのだ。セツナは人ひとりに構っている時間はあるのか?そう訊いているのだと思う。
「御二方!前方からもう1つ来ます!先のものよりも強い反応です!」
私には分かった私にはわかった。先程の一発はわざと外したのだ。一発目で弾の軌道を確認して二発目で仕留める方法。でも誰も顔を出していないはず。どうやって当てるつもりかな?直角にでも曲がるのかな?
「当たるわけ……」
「ミセットさん、来ます!」
確かに光る前方。皮膚が痺れる。あれは弾丸なんてものじゃない!砲弾に匹敵するぞ!
「お前ら逃げろ!」
私も逃げたい、でも手を離せば師匠は治らないかもしれない。
そうこうしているうちに左の鼓膜が破れていた。
ーーーーーー
「先を越されているな……ふむ。先行した小隊が順調に進んでる残党はいないだろう、そのまま進む」
ツルギ隊の後ろにキリカ隊が続く。既にビルに潜入している。この見た目で形を保っているのが恐ろしい。柱一つ切り崩したのならすべて壊れそうだ。
後ろに着いていた他小隊はライヴとの会敵で切り離された。想像の何倍もライヴの進行速度が早い。オトメ君は大丈夫だろうか。
「想定70階、先行している連中はいま36階だ。それまでは安全、徒歩が馬鹿らしいと思うならほらそこの窓から飛び降りてフックショットで壁を登れ。東側を使えよ。西側からスナイパーがいるらしい」
ツルギさんの声を聞いたあと、カエデが隣から消えた気配がした。西側から窓ガラスが割れる音がした。
「うおっ!」
「へー」
「ありゃなんですか?」
アキタは飛び上がって抜刀した。ミチルは落ち着いて視線で追っていて、トキは動揺しているが表に出さないように我慢している。
「気にするな」
「……ん?何やってんのカエデ?」
私には分からなかった。西側は危ないって聞いたのにわざわざ。
数秒後銃声が聞こえた!。
「うおおぉお!」
「へー」
「今のはなんですか?」
アキタだけビビりまくっている。
飛び出したカエデはフックショットで壁を上り、上へ上へ移動し足場のいい場所で対物ライフルを構えていた。片手で撃てるならぶら下がったままで良かったのだが。
見えるのはこちらに向かっている屋上のライヴ兵。それと魔術師とスナイパーの二人組が5組。
カエデはここで進行する兵士を抑えるつもりだ。
「今はたった20階だ。足腰に力を入れろ」
走る床には血とライヴ兵、ECFは強い、特に先行している三小隊。
こんな狭い場所ならECFが白兵戦で有利。
私たちは一瞬で38階に到着した。
「ここ広いですね」
首が辛くなるくらい高い天井、そこには絵があって、四方はガラス張りで景色が良かった。いやいや、危ないでしょ四方から狙われるよ。
そう私が感想を述べた時、東側のガラスが拡散した。そして聞いた事のある音。ブースター音だ。
私たちの前に滑るように登場したのはビヨンド。今作戦の最大の敵。
「ツルギ隊、戦闘準備。キリカ隊を前に進めるぞ」
「敵発見しました」
ミセットがスナイパーライフルを構えていた。開かれた両目が見つめる先は北北西。ライヴの進行が早いようだった。
「有効射程距離まで移動します、アリエ隊長、指示を」
「……アリエ隊、前進。遮蔽物をうま」
「あれ?……アリエさん?アリエ隊長!!」
ミセットのよこでアリエが倒れた。ドミノの様だった。べちゃっと床に倒れ落ちた体を確認する。
「ありえない、この距離でヘッドショットだ。セツナ、エイル、周囲警戒!まだ間に合う!」
「はい!」
「は、はい!」
アリエの頭部には風穴が一つ。一撃で無力化されていた。砕かれていないのが幸いだ。
すぐ駆け寄ったミセットが手を頭部に当てて再生魔術を使う。体を少し支えつつ物陰に移動する。
目に力がない。嘘だろ、こんな一瞬で死なないでくれ!
「ミセットさん、前方からスナイパーが二人、その後ろに魔術師がいます。二人一組、四人います」
エイルの報告にセツナが訊いた。
「距離は?」
「2000メートルはあります……」
「う、嘘だろ?腕利きってレベルじゃないぞ」
エイルのレーダーは信用できる。だから屋上の隊に所属している。だがこちらが打てる手はないぞ!
「近づくにもいまここから顔だして一発だろうな」
「……向こうの位置を探れたのは向こうから濃い魔力を感じたからです。多分ですが、魔術師が射程距離を伸ばしてるんじゃないでしょうか」
エイルは物陰からチラチラと伺っている。
「そうなのか?まぁ対物ライフル程度のものを持ち出されたら師匠の頭は吹っ飛んでるしな」
そして音がしなかった。
なんだ?少し怖い。
「で、ミセットさん。周囲の隊は進んでいます。少しスピードは落ちましたけど。再生間に合いそうですか?」
「……お、遅いけど……何とか。脳をやられた場合、人によるけど以外と望みはあるんだ。でも師匠は少し遅い」
私たち四人 人は明らかに狙われてるだろうし、ヘイトをここに溜め込んでおいたほうが他小隊が進めるかもしれない。
「魔力反応です!」
「クソッ、こっちは動けないってのに!」
「二人とも、伏せろ!」
大げさに警戒したが、何も起きない。
「エイル!どこに当たった!?」
「え、え……200メートルずれた、西側です」
「下手くそですねぇ」
ライヴが、それもさっき師匠の頭を完璧に撃ち抜いた彼らが外すわけない。なんのために?遊んでる?
「私が先行しますか?斬り殺してきますよ?」
白打を抜刀したセツナが走り出しそうだった。
「セツナ待て!」
「……あれから二分は経ってます」
「わ、わかってる。人命を優先したいんだ」
私たちは勝ちに来たのだ。セツナは人ひとりに構っている時間はあるのか?そう訊いているのだと思う。
「御二方!前方からもう1つ来ます!先のものよりも強い反応です!」
私には分かった私にはわかった。先程の一発はわざと外したのだ。一発目で弾の軌道を確認して二発目で仕留める方法。でも誰も顔を出していないはず。どうやって当てるつもりかな?直角にでも曲がるのかな?
「当たるわけ……」
「ミセットさん、来ます!」
確かに光る前方。皮膚が痺れる。あれは弾丸なんてものじゃない!砲弾に匹敵するぞ!
「お前ら逃げろ!」
私も逃げたい、でも手を離せば師匠は治らないかもしれない。
そうこうしているうちに左の鼓膜が破れていた。
ーーーーーー
「先を越されているな……ふむ。先行した小隊が順調に進んでる残党はいないだろう、そのまま進む」
ツルギ隊の後ろにキリカ隊が続く。既にビルに潜入している。この見た目で形を保っているのが恐ろしい。柱一つ切り崩したのならすべて壊れそうだ。
後ろに着いていた他小隊はライヴとの会敵で切り離された。想像の何倍もライヴの進行速度が早い。オトメ君は大丈夫だろうか。
「想定70階、先行している連中はいま36階だ。それまでは安全、徒歩が馬鹿らしいと思うならほらそこの窓から飛び降りてフックショットで壁を登れ。東側を使えよ。西側からスナイパーがいるらしい」
ツルギさんの声を聞いたあと、カエデが隣から消えた気配がした。西側から窓ガラスが割れる音がした。
「うおっ!」
「へー」
「ありゃなんですか?」
アキタは飛び上がって抜刀した。ミチルは落ち着いて視線で追っていて、トキは動揺しているが表に出さないように我慢している。
「気にするな」
「……ん?何やってんのカエデ?」
私には分からなかった。西側は危ないって聞いたのにわざわざ。
数秒後銃声が聞こえた!。
「うおおぉお!」
「へー」
「今のはなんですか?」
アキタだけビビりまくっている。
飛び出したカエデはフックショットで壁を上り、上へ上へ移動し足場のいい場所で対物ライフルを構えていた。片手で撃てるならぶら下がったままで良かったのだが。
見えるのはこちらに向かっている屋上のライヴ兵。それと魔術師とスナイパーの二人組が5組。
カエデはここで進行する兵士を抑えるつもりだ。
「今はたった20階だ。足腰に力を入れろ」
走る床には血とライヴ兵、ECFは強い、特に先行している三小隊。
こんな狭い場所ならECFが白兵戦で有利。
私たちは一瞬で38階に到着した。
「ここ広いですね」
首が辛くなるくらい高い天井、そこには絵があって、四方はガラス張りで景色が良かった。いやいや、危ないでしょ四方から狙われるよ。
そう私が感想を述べた時、東側のガラスが拡散した。そして聞いた事のある音。ブースター音だ。
私たちの前に滑るように登場したのはビヨンド。今作戦の最大の敵。
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