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61.安心安全な村
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太陽が丁度真上に来た頃、木と魔術で作られた村に招待された。
樹海を歩き続けた結果、僕らはたどり着いた、亜人の森。
いやいやカエデさん、こりゃ「亜人の村」でしょう。
何の境界線をもって亜人の森に侵入したのかは不明だが、エルフという生き物についていったらたどり着けた。
「ようこそ我らが村へ。人間。エルフ……で通じるかな?そこの人間は前に見たことがある、優しいお姉さん」
「……」
カエデが以前やってきた村で間違いはないようだ。
これなら攻撃される心配はないな、安心安心。
それにしても体は人間に似ているが、やはり亜人、すこし違うな、顔立ち、肉体。
人の言葉を扱うことも気になる。
戦闘力は如何ほどか、まぁ先の出会いで姿が見えなかったから、潜伏能力は高いかもしれない。
正面からやり合うべきではない、だからここは彼らに従う。
「なんだか人が増えたね」
「……」
「やっぱり喋らないんだね……前来た時もそうだったけど、それ以上だね」
案内してくれた一人のエルフが一人でベラベラ話しているのをカエデは無視している。
「せっかくの再開なんだから、少しは喜んでよ!……名前も知らないんだから、なんて呼べばいいかもわからないし」
「へー、まだ名前言ってないんだ、カエ……」
「!」
予測無しに飛んでくるカエデの蹴り、鍛え上げられた脚力はご褒美という人もいるかもしれないが、僕にとってはただの激痛。
「ゴフッ!」
「オトメ君!」
「……フッ」
二度と名前を口にするなといった蹴りだった。
見事に顎を捉えて四回転した。
視界が震えて歩けなくなった。気持ち悪い。
「ゴメン」
「(うんうん)」
「大丈夫立てる?そうだよ、名前をむやみに言っちゃだめだよ、ね?カエ……どぉ!」
二度目の蹴りはキリカを捉えて宙を舞う。
「キリカー!白目向いてるぞ!」
「あーれー」
「……フッ」
地面に着いたキリカは気を失った。
「うわぁ……人間ってこわー……」
その後、二人のエルフに搬送され、彼らの家に入れてもらった。
ーーーーーー
涼しい、木のぬくもりを感じる家だ。
人間以外にこんな立派な家を作れるものだな。
「目が覚めましたか?」
「あ、あぁ……運んでくれたんだなありがとう……ありがとうございます」
「どういたしまして、この村では人間には優しくするようにとルールがありますから当然です!といっても来たことのある人間はあなた方で累計5人ですけど」
カエデ以外に先駆者がいたか。
「それで、君たち……あなた方をなんて呼べばいいですか?」
「それもそうですね、自己紹介がまだでした、私はこの村の長役、マニーです。そして相棒のカレーラ……は外を見張ってるね」
そういえばカレーラという女性エルフは村に到着後、すぐに姿を消したようだった。
マニーは僕より身長が高い、180センチはあるだろうか、カエデもそれくらいある。
こう見ると僕とキリカは小さいな。
イヤ!そこそこの身長があれば役に立てる!!
「君の名前は?聞いてもいいの?」
「もちろん。アイツは特別だからな。僕の名前はオトメ、女じゃないぞ」
「じゃあ隣の娘は?」
「え?」
僕が寝ていた同じベッドの上に真白より白い髪の少女が一人、安心した表情で寝息を立てている。
少し腹が立ったが、結構かわいい。
おいおい。
「彼女はキリカ、刀の腕はすげー……凄い。遮蔽物があれば勝てない敵はいないかもしれない」
「へー、なんか私たちエルフと似てるねぇ。私たちも森とかの戦闘は得意よ!」
「でしょうね、姿見えなかったですし」
「オトメはどうして包帯の眼帯を付けているんだ?」
マニーは興味深そうに僕の顔に手を伸ばす。
かなり薄着の多いエルフは体のラインが良く目立つ、目のやりどころに困るというやつだ。
きっとキョウスケがいたら何か言われている。
「少し前に潰されて……」
「可哀想だなぁ」
「でしょ?慣れないうちはまっすぐ歩けないし……パーティの足手まといだし大変よ!っとそうだ、マニーって呼べばいい?……いいです?」
手を振り払う。
「いいよ」
僕は早速再生水にことを訊くことにした。
「訊いてみたいことがあって、再生水って知ってます?長役とかいう本当に村長のようなマニーなら……マニーさんなら何か知ってるんじゃないのかと」
「ん……」
悩んだ表情でこめかみを右手人差し指の第二関節でぐりぐりする。
さらに目を閉じて唸る。
何かを思い出そうとしているのだろうか。
「知ってる……し、しってます?」
距離間がわからない。
「それっぽい話は聞いたことがあるなー……えー、片腕の剣士っていう名前で有名だった魔法剣士が嘗ていてな、まぁこの村にも滞在していたことがある。ソイツがある日急に両腕になって遊びに来たときは驚いたものだ!右手の無かったアイツがなぁ!」
情報が見つかった、僕は食いつく。
この時、村に来たことのある人間5人目が分かった。
心配そうな顔をしていたマニーは安堵の表情に変わっていた。どうしてかはわからなかった。
「それは本当だな!いまその剣士はどこに住んでいる?」
「……ん?ここは?」
いいタイミングでキリカが起きてしまった。
「お!おはようキリカ!」
「おはよう……ってさっきのエルフ!なんで名前を知って!?」
「僕が教えた。どうやら再生水の場所がわかるかもしれない、この人マニーっていうんだけど、それっぽい話を持ってきてくれたんだ」
「それっぽい話?というより……なんでベッドが一緒なのぉ!?」
「しょうがないだろぉ?君たちを入れることのできる客間を今用意できたのは私しかいなかったんだ」
「そっか……ありがとうマニー、ちゃんとお礼をいわせてほしい。それとお願いなんだけど、暫く滞在を許してほしい、勝手なお願いなんだけど……」
「私からもお願いします!そろそろお風呂に入りたい!せめてシャワーでも!」
キリカは僕の横で頭を下げた。
つられて僕も頭を下げる。
「勿論だ。私たちも村は昔から人間に優しくが掟だから安心せよー」
良かった、これで一休みできる、再生水の手掛かりを手に入れたし、万々歳だ!
こちらからも何かお礼をしよう、デカくて美味そうな生き物でもハントしてくれば喜んでもらえるかな?
いや……エルフさんのほうがデカい生き物狩れるだろうな、強そうだし。
「ありがとう恩人マニー……っと他のパーティメンバーは何処に?」
僕はベッドから起き上がり、窓を開ける、それは両開きだった。
解放感のある景色はミルザンドの建造物の三階に相当した。
上からみた街は、人間とは違った生き物、大半がエルフだが、たまにいる少し人間より背の低い『ドワーフ』らしき生物……なんだあの化け物は!ごつすぎる!モンスターだ……ってあれは。
「エイル?なにを……」
「キャー!助けてくださいー!」
「……」
「マルエル様の化身だー!」
「帰ってきてくださった!」
「やはり創造主は永遠だ!」
カエデが見つめる先は、人間よりはるかに体の大きな亜人に胴上げされているエイルだった。
一回の浮遊が人間のそれの数倍だ、だって頂点が僕の目線なんだから。
「エイルゥ!!」
「オトメさあぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁんぅ!」
落ちていく声は距離によって小さくなり、その衝撃に耐えられるように亜人たちは優しく衝撃吸収するが……エイルには無理だったようだ。
「……先が不安ですっ!」
樹海を歩き続けた結果、僕らはたどり着いた、亜人の森。
いやいやカエデさん、こりゃ「亜人の村」でしょう。
何の境界線をもって亜人の森に侵入したのかは不明だが、エルフという生き物についていったらたどり着けた。
「ようこそ我らが村へ。人間。エルフ……で通じるかな?そこの人間は前に見たことがある、優しいお姉さん」
「……」
カエデが以前やってきた村で間違いはないようだ。
これなら攻撃される心配はないな、安心安心。
それにしても体は人間に似ているが、やはり亜人、すこし違うな、顔立ち、肉体。
人の言葉を扱うことも気になる。
戦闘力は如何ほどか、まぁ先の出会いで姿が見えなかったから、潜伏能力は高いかもしれない。
正面からやり合うべきではない、だからここは彼らに従う。
「なんだか人が増えたね」
「……」
「やっぱり喋らないんだね……前来た時もそうだったけど、それ以上だね」
案内してくれた一人のエルフが一人でベラベラ話しているのをカエデは無視している。
「せっかくの再開なんだから、少しは喜んでよ!……名前も知らないんだから、なんて呼べばいいかもわからないし」
「へー、まだ名前言ってないんだ、カエ……」
「!」
予測無しに飛んでくるカエデの蹴り、鍛え上げられた脚力はご褒美という人もいるかもしれないが、僕にとってはただの激痛。
「ゴフッ!」
「オトメ君!」
「……フッ」
二度と名前を口にするなといった蹴りだった。
見事に顎を捉えて四回転した。
視界が震えて歩けなくなった。気持ち悪い。
「ゴメン」
「(うんうん)」
「大丈夫立てる?そうだよ、名前をむやみに言っちゃだめだよ、ね?カエ……どぉ!」
二度目の蹴りはキリカを捉えて宙を舞う。
「キリカー!白目向いてるぞ!」
「あーれー」
「……フッ」
地面に着いたキリカは気を失った。
「うわぁ……人間ってこわー……」
その後、二人のエルフに搬送され、彼らの家に入れてもらった。
ーーーーーー
涼しい、木のぬくもりを感じる家だ。
人間以外にこんな立派な家を作れるものだな。
「目が覚めましたか?」
「あ、あぁ……運んでくれたんだなありがとう……ありがとうございます」
「どういたしまして、この村では人間には優しくするようにとルールがありますから当然です!といっても来たことのある人間はあなた方で累計5人ですけど」
カエデ以外に先駆者がいたか。
「それで、君たち……あなた方をなんて呼べばいいですか?」
「それもそうですね、自己紹介がまだでした、私はこの村の長役、マニーです。そして相棒のカレーラ……は外を見張ってるね」
そういえばカレーラという女性エルフは村に到着後、すぐに姿を消したようだった。
マニーは僕より身長が高い、180センチはあるだろうか、カエデもそれくらいある。
こう見ると僕とキリカは小さいな。
イヤ!そこそこの身長があれば役に立てる!!
「君の名前は?聞いてもいいの?」
「もちろん。アイツは特別だからな。僕の名前はオトメ、女じゃないぞ」
「じゃあ隣の娘は?」
「え?」
僕が寝ていた同じベッドの上に真白より白い髪の少女が一人、安心した表情で寝息を立てている。
少し腹が立ったが、結構かわいい。
おいおい。
「彼女はキリカ、刀の腕はすげー……凄い。遮蔽物があれば勝てない敵はいないかもしれない」
「へー、なんか私たちエルフと似てるねぇ。私たちも森とかの戦闘は得意よ!」
「でしょうね、姿見えなかったですし」
「オトメはどうして包帯の眼帯を付けているんだ?」
マニーは興味深そうに僕の顔に手を伸ばす。
かなり薄着の多いエルフは体のラインが良く目立つ、目のやりどころに困るというやつだ。
きっとキョウスケがいたら何か言われている。
「少し前に潰されて……」
「可哀想だなぁ」
「でしょ?慣れないうちはまっすぐ歩けないし……パーティの足手まといだし大変よ!っとそうだ、マニーって呼べばいい?……いいです?」
手を振り払う。
「いいよ」
僕は早速再生水にことを訊くことにした。
「訊いてみたいことがあって、再生水って知ってます?長役とかいう本当に村長のようなマニーなら……マニーさんなら何か知ってるんじゃないのかと」
「ん……」
悩んだ表情でこめかみを右手人差し指の第二関節でぐりぐりする。
さらに目を閉じて唸る。
何かを思い出そうとしているのだろうか。
「知ってる……し、しってます?」
距離間がわからない。
「それっぽい話は聞いたことがあるなー……えー、片腕の剣士っていう名前で有名だった魔法剣士が嘗ていてな、まぁこの村にも滞在していたことがある。ソイツがある日急に両腕になって遊びに来たときは驚いたものだ!右手の無かったアイツがなぁ!」
情報が見つかった、僕は食いつく。
この時、村に来たことのある人間5人目が分かった。
心配そうな顔をしていたマニーは安堵の表情に変わっていた。どうしてかはわからなかった。
「それは本当だな!いまその剣士はどこに住んでいる?」
「……ん?ここは?」
いいタイミングでキリカが起きてしまった。
「お!おはようキリカ!」
「おはよう……ってさっきのエルフ!なんで名前を知って!?」
「僕が教えた。どうやら再生水の場所がわかるかもしれない、この人マニーっていうんだけど、それっぽい話を持ってきてくれたんだ」
「それっぽい話?というより……なんでベッドが一緒なのぉ!?」
「しょうがないだろぉ?君たちを入れることのできる客間を今用意できたのは私しかいなかったんだ」
「そっか……ありがとうマニー、ちゃんとお礼をいわせてほしい。それとお願いなんだけど、暫く滞在を許してほしい、勝手なお願いなんだけど……」
「私からもお願いします!そろそろお風呂に入りたい!せめてシャワーでも!」
キリカは僕の横で頭を下げた。
つられて僕も頭を下げる。
「勿論だ。私たちも村は昔から人間に優しくが掟だから安心せよー」
良かった、これで一休みできる、再生水の手掛かりを手に入れたし、万々歳だ!
こちらからも何かお礼をしよう、デカくて美味そうな生き物でもハントしてくれば喜んでもらえるかな?
いや……エルフさんのほうがデカい生き物狩れるだろうな、強そうだし。
「ありがとう恩人マニー……っと他のパーティメンバーは何処に?」
僕はベッドから起き上がり、窓を開ける、それは両開きだった。
解放感のある景色はミルザンドの建造物の三階に相当した。
上からみた街は、人間とは違った生き物、大半がエルフだが、たまにいる少し人間より背の低い『ドワーフ』らしき生物……なんだあの化け物は!ごつすぎる!モンスターだ……ってあれは。
「エイル?なにを……」
「キャー!助けてくださいー!」
「……」
「マルエル様の化身だー!」
「帰ってきてくださった!」
「やはり創造主は永遠だ!」
カエデが見つめる先は、人間よりはるかに体の大きな亜人に胴上げされているエイルだった。
一回の浮遊が人間のそれの数倍だ、だって頂点が僕の目線なんだから。
「エイルゥ!!」
「オトメさあぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁんぅ!」
落ちていく声は距離によって小さくなり、その衝撃に耐えられるように亜人たちは優しく衝撃吸収するが……エイルには無理だったようだ。
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