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「おいしそうって……何が?」
「君さ☆」
「気持ち悪ッ!」
「俺なぁ、少し前からお前の体が気になっててぇ……もうそろ我慢の限界だったんだ!いいよね!もういいよね!」
クニテツは服の内から二本の短剣を取り出した。
スタンダードな青色の直剣を右、炎のような黒色の刀身の短剣を左に。
「キョウスケ、コイツは何だ?」
「その質問の仕方では回答に困ります」
「意図をくめ!」
「はい……人肉嗜食というものです」
「人食い……?」
「あれ?俺たちのことわっかんだー、目視のみでわかるとは相当の観察眼だな」
「……だったらエイルの家を襲ったカニバ君もコイツと同族ってことでいいのか?」
僕もマントの下でルーンナイフを構えていた。
クニテツから話を聞けばカニバ君の事がわかるかもしれない、けど、そんな状況ではなさそうだ。
「もういいや、いただきますぜ!」
正面から青い方で駆け抜けてくる。
「いきなりかよ」
僕はマントを前方に放り投げて、距離を取ることにした。
クニテツは覆いかぶさろうとするマントを一瞬でバラバラに切り裂いた。
僕も油断すればああなるのかも。
「ん……剣が二本?」
僕は疑問のスキを見てルーンナイフを四本放つ。
左右に二本ずつ、二段階に分けた攻撃。
三本はじかれたが、一本がマントのフードを切り裂いた。
「おいおい、縫い合わせないといけなくなったじゃねえか」
クニテツの頭部が現れた。
やっぱりそうだ、髪の色がカルマの人間に似ている。
「お前、僕を食べようって考えてるのか?」
「勿論だ、もっとも、そのような質問は無意味ムイミ。だってすぐに俺に食われるんだから」
「人を食うって……倫理的にどうなの?」
「はぁ?倫理?噂の殺戮集団か?俺はカニバ族の人間だ。この嗜好は俺らじゃないとわからないだろうな」
台詞を言い終わった後、クニテツは黒い短剣を投擲。
しかし、そんなもの僕はあっさり避ける。
刀身の半分以上刺さった様子を見て、当たっていたと思うとゾッとした。
そろそろ僕も真面目に戦闘態勢をしないと。
エフェクトシールドを抜刀、エリアルマジックの発動を考える。
「あぁ、あんまり戦うのはなぁ……めんどくさいんだよな……」
「仕掛けたのはそっちだからな、死んでから(殺さないけど)文句言うなよ!」
僕はエリアルマジックを一回攻撃に制限して繰り出す。
「いい手ごたえだっ」
スキルの効果で飛び上がり、空中から斬り下す。
少し重い剣、なかなかいい。
「アレ……?」
HP-10 CP-8
確かにクニテツに斬撃を加えたはず、しかし、なぜ僕がダメージを受けているんだ?
「目視でのカウンター、俺の売りさ」
「ウソだろ」
僕は一度距離を取る。
確かに切り込んだし、クニテツのマントは裂けて……?
僕が切り裂いたマントからは血が滲み、ナゾの塊が地面にべちゃりと落下した。
「あーあ、落ちちゃった、俺の晩御飯だったのに」
「じゃあそれは?」
「俺が体に巻き付けた人の肉だが?」
僕が斬ったのはクニテツではなく、アイツの晩飯兼装甲だったってわけか!
その上カウンターまで、只者ではない。
ECFにもそんな芸当できる人間は限られる。
「その肉は……どうやって手に入れた?」
もし殺人でなく、拾ったとか、自殺者の……とか……その。
「勿論ブッ……」
ですよねー。
「ブッ殺す!」
「いいねぇ、俺そういうの好きさ」
僕は取った距離を縮め、攻撃予測を頼りに攻撃。
以前より剣が重いためか、攻撃速度が落ちている。なので剣と短剣がぶつかる前に避けられる。
「めんどくさいっ」
僕は下からエフェクトシールドを上に放り投げるように攻撃した。
事実、放り投げた。
伸ばした手でイノセントを装備して連撃。
あんまり当たらない。
「お、さっきより速いね」
クニテツは怪しく微笑んで、右手を引っ張ったような素振りをする。
「何を?……ってヴッえ!」
僕の体の中央を半透明な糸のようなものが貫いていて、ソレがクニテツ側に向かっている。
体が鋸か何かで傷をつけられているようだ。
次、僕の後方から物体が体を貫いた。
それは視界に映る、黒い短剣だ。
赤黒く染まって、僕に風穴を開けたようだった。
HP-40 CP-37
「なんだその……武器」
「見えない糸でつながっている名工の作品。これ以下のものではお前は討てん」
「そうか……ツインローブナイフだったな」
その台詞にクニテツは反応して僕に再び短剣を向けた。
「お前まさか本当にPEか?どうしてこの武器がロープナイフじゃなくツインだと?いぃや……」
さらに短剣を僕の目に近づけた。
「ぶっ潰せばわかるや」
「ッ!あ」
痛みでろくに動けない僕にはこの場をどうすることもできなかった。
PEを持ってしてもこの強さ、やはりキリカとエイルがいてほしい、そう思った。
その思考の最中、僕の右目は青い短剣『絶叫』の方に潰されていた。
一瞬だった、避ける時間はなかった。
たとえ攻撃予測が見えていても駄目だっただろう。
その後はただ悶えていた。
「じゃあ次は」
「お前だ!」
僕の前方、クニテツの後方から蒼白い閃光。
前にもこんなことがあったような。
「キリカ……?」
青い剣閃がクニテツの頭上をかすめ、クニテツが距離を取ったところでキリカはレンジを長くして二、三度斬りつけた。
クニテツは危なげなくそれを避けきった。
地面が切断されているのを見て、少し恐怖したようだ。
「おいおい、ずるくないかその能力!」
「オトメ君に手を出したやつは誰であろうと許さない。だからお前を殺す」
「こわぁ……こりゃ無理だ、じゃあな……」
「まて……」
「あ?」
僕は残る体力で最後の質問をした。
「二年前の事件は知っているか?サモンウィリット家とかいう家が焼かれて、たくさんの人間が死んだ事件だ。犯人はお前と同じカニバ族だってよ……誰がやったんだ?知っているだろう?」
クニテツはまたも不気味な微笑みを見せたあと、その場を立ち去った。
「俺以外にないだろう!味は忘れてない、じゃあな次は必ず喰ってやる」
次か、次は勝てるだろうか?
PEを持ってして勝てないのに?
「オトメ君大丈夫?……じゃあないね、歩ける?」
「肩を貸してくれ、それなら少し」
もう僕は勝てない、片目を潰されて、視界が狭まったと思ったら……
「……キョウスケ、何か言ってくれよ……」
視界のUIがほとんど消滅して、キョウスケの声が聞こえなくなった。
只今絶望中である。
「君さ☆」
「気持ち悪ッ!」
「俺なぁ、少し前からお前の体が気になっててぇ……もうそろ我慢の限界だったんだ!いいよね!もういいよね!」
クニテツは服の内から二本の短剣を取り出した。
スタンダードな青色の直剣を右、炎のような黒色の刀身の短剣を左に。
「キョウスケ、コイツは何だ?」
「その質問の仕方では回答に困ります」
「意図をくめ!」
「はい……人肉嗜食というものです」
「人食い……?」
「あれ?俺たちのことわっかんだー、目視のみでわかるとは相当の観察眼だな」
「……だったらエイルの家を襲ったカニバ君もコイツと同族ってことでいいのか?」
僕もマントの下でルーンナイフを構えていた。
クニテツから話を聞けばカニバ君の事がわかるかもしれない、けど、そんな状況ではなさそうだ。
「もういいや、いただきますぜ!」
正面から青い方で駆け抜けてくる。
「いきなりかよ」
僕はマントを前方に放り投げて、距離を取ることにした。
クニテツは覆いかぶさろうとするマントを一瞬でバラバラに切り裂いた。
僕も油断すればああなるのかも。
「ん……剣が二本?」
僕は疑問のスキを見てルーンナイフを四本放つ。
左右に二本ずつ、二段階に分けた攻撃。
三本はじかれたが、一本がマントのフードを切り裂いた。
「おいおい、縫い合わせないといけなくなったじゃねえか」
クニテツの頭部が現れた。
やっぱりそうだ、髪の色がカルマの人間に似ている。
「お前、僕を食べようって考えてるのか?」
「勿論だ、もっとも、そのような質問は無意味ムイミ。だってすぐに俺に食われるんだから」
「人を食うって……倫理的にどうなの?」
「はぁ?倫理?噂の殺戮集団か?俺はカニバ族の人間だ。この嗜好は俺らじゃないとわからないだろうな」
台詞を言い終わった後、クニテツは黒い短剣を投擲。
しかし、そんなもの僕はあっさり避ける。
刀身の半分以上刺さった様子を見て、当たっていたと思うとゾッとした。
そろそろ僕も真面目に戦闘態勢をしないと。
エフェクトシールドを抜刀、エリアルマジックの発動を考える。
「あぁ、あんまり戦うのはなぁ……めんどくさいんだよな……」
「仕掛けたのはそっちだからな、死んでから(殺さないけど)文句言うなよ!」
僕はエリアルマジックを一回攻撃に制限して繰り出す。
「いい手ごたえだっ」
スキルの効果で飛び上がり、空中から斬り下す。
少し重い剣、なかなかいい。
「アレ……?」
HP-10 CP-8
確かにクニテツに斬撃を加えたはず、しかし、なぜ僕がダメージを受けているんだ?
「目視でのカウンター、俺の売りさ」
「ウソだろ」
僕は一度距離を取る。
確かに切り込んだし、クニテツのマントは裂けて……?
僕が切り裂いたマントからは血が滲み、ナゾの塊が地面にべちゃりと落下した。
「あーあ、落ちちゃった、俺の晩御飯だったのに」
「じゃあそれは?」
「俺が体に巻き付けた人の肉だが?」
僕が斬ったのはクニテツではなく、アイツの晩飯兼装甲だったってわけか!
その上カウンターまで、只者ではない。
ECFにもそんな芸当できる人間は限られる。
「その肉は……どうやって手に入れた?」
もし殺人でなく、拾ったとか、自殺者の……とか……その。
「勿論ブッ……」
ですよねー。
「ブッ殺す!」
「いいねぇ、俺そういうの好きさ」
僕は取った距離を縮め、攻撃予測を頼りに攻撃。
以前より剣が重いためか、攻撃速度が落ちている。なので剣と短剣がぶつかる前に避けられる。
「めんどくさいっ」
僕は下からエフェクトシールドを上に放り投げるように攻撃した。
事実、放り投げた。
伸ばした手でイノセントを装備して連撃。
あんまり当たらない。
「お、さっきより速いね」
クニテツは怪しく微笑んで、右手を引っ張ったような素振りをする。
「何を?……ってヴッえ!」
僕の体の中央を半透明な糸のようなものが貫いていて、ソレがクニテツ側に向かっている。
体が鋸か何かで傷をつけられているようだ。
次、僕の後方から物体が体を貫いた。
それは視界に映る、黒い短剣だ。
赤黒く染まって、僕に風穴を開けたようだった。
HP-40 CP-37
「なんだその……武器」
「見えない糸でつながっている名工の作品。これ以下のものではお前は討てん」
「そうか……ツインローブナイフだったな」
その台詞にクニテツは反応して僕に再び短剣を向けた。
「お前まさか本当にPEか?どうしてこの武器がロープナイフじゃなくツインだと?いぃや……」
さらに短剣を僕の目に近づけた。
「ぶっ潰せばわかるや」
「ッ!あ」
痛みでろくに動けない僕にはこの場をどうすることもできなかった。
PEを持ってしてもこの強さ、やはりキリカとエイルがいてほしい、そう思った。
その思考の最中、僕の右目は青い短剣『絶叫』の方に潰されていた。
一瞬だった、避ける時間はなかった。
たとえ攻撃予測が見えていても駄目だっただろう。
その後はただ悶えていた。
「じゃあ次は」
「お前だ!」
僕の前方、クニテツの後方から蒼白い閃光。
前にもこんなことがあったような。
「キリカ……?」
青い剣閃がクニテツの頭上をかすめ、クニテツが距離を取ったところでキリカはレンジを長くして二、三度斬りつけた。
クニテツは危なげなくそれを避けきった。
地面が切断されているのを見て、少し恐怖したようだ。
「おいおい、ずるくないかその能力!」
「オトメ君に手を出したやつは誰であろうと許さない。だからお前を殺す」
「こわぁ……こりゃ無理だ、じゃあな……」
「まて……」
「あ?」
僕は残る体力で最後の質問をした。
「二年前の事件は知っているか?サモンウィリット家とかいう家が焼かれて、たくさんの人間が死んだ事件だ。犯人はお前と同じカニバ族だってよ……誰がやったんだ?知っているだろう?」
クニテツはまたも不気味な微笑みを見せたあと、その場を立ち去った。
「俺以外にないだろう!味は忘れてない、じゃあな次は必ず喰ってやる」
次か、次は勝てるだろうか?
PEを持ってして勝てないのに?
「オトメ君大丈夫?……じゃあないね、歩ける?」
「肩を貸してくれ、それなら少し」
もう僕は勝てない、片目を潰されて、視界が狭まったと思ったら……
「……キョウスケ、何か言ってくれよ……」
視界のUIがほとんど消滅して、キョウスケの声が聞こえなくなった。
只今絶望中である。
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