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音音てすぃ

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30.ガンズマジック

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 魔術の授業を受けて、研究所を出ていき「僕の知らないことがいっぱいあるなぁ」と感激しているのも束の間、ツルギさんから連絡が入る。
 視界UIに通知が入る。

「ツルギからのボイスチャットの申請です、承認しますか?」
「あぁよろしく」

 申請が完了、耳からツルギさんの声が聞こえる。僕の声も聞こえるのかな?

「ツルギだ。今から射撃訓練をする、お前も来い。キリカは既に来ている、遅いぞ」
「(いや、聞いてないし!)わかりました今行きます!」

 僕の返事のあと、「メールでも良かったのだが……」とツルギは言い残し、通話を切る。
 今までも射撃訓練はやってこなかった。だから楽しみにして訓練場に向かう。

ーーーーーー

「来たか、申請はもう出してある、好きなものを撃ってみろ」

 うるさい射撃場。ツルギさんの指さす方向に歩いて行くと、長物から短いものまで種類は様々。
 その中から45口径の自動拳銃を手に取った。

 名を『HG45E1』

 よく45と言われるみたいだ。

「馴染むぜ」
「使用経験はありませんが?」

 弾薬をマガジンに込め、手で軽く叩いて弾薬を揃える、銃身に差し込む、そしてスライドを引き、薬室に弾薬があるのを確認する。

「やっぱり最高だぜ……!」

 この金属感がなんとも……言えない!

「何ニヤニヤしてんのオトメくん」
「キリカか、銃がかっこよくて……それでどう?射撃の腕は」
「それが……私ダメみたい、全然当たらないの。ツルギさんにもうやめろって言われたけど、悔しくて、全部試してみてるとこ」
「お……そうか、大変だな……」

 キリカがスナイパーライフルを抱えて行くのを見ながら、射撃位置に向かう。
 そこからは、10メートルごとに的があり、100メートルまである。
 動く的もある。
 本当は外でやりたいみたいだが、管理者達にバレたくないのか、しょうがなく屋内でやっている。
 スナイパーは苦労するみたいだ。シミュレーターを使うしかない。

「それじゃあ撃ちまーす!」

 ゴーグルを付けて、楽に構えて一発撃つ。
 体で反動を受けて、しっかりスライドを動かす。
 銃身のサイトを基準に弾道を補正しようと思ったが、良い銃だ。
 アイアンサイトに吸い込まれるように着弾する。

「やっぱり45だなぁ!使ったことなかったけど」

 その後、全弾7発を撃ち尽くし、スライドロックがかかることを確認。
 薬室に弾薬が無いことを確認してニヤける。
 その後、他の自動拳銃を試したが、やはり一番最初の45口径がしっくりくる。

「ツルギさん、僕、これがいいです!」
「なら貰っていけ、次はARも確認だ」

 そう言いながらツルギさんは六発の回転式自動拳銃を撃っていた。
 右腕で。
 ジャムらないからいい。だそうだ。
 大口径のマグナム弾を装填、片手で発砲している。
 ツルギさんの銃を用いた戦闘は見たことがないが、アクロバティックで変態的だそう。
 常人では考えられない打ち方のため、流行りの自動拳銃だと不具合が出るみたいだ。人じゃない。

 暫くツルギさんの射撃を見ていると、弾倉全てを撃ち終わり、左手側にシリンダーを開けた状態で放り投げる。
 同時に薬莢が下に落ち、空中に新しい弾薬が出現(SE由来のストレージ機能だろう)、シリンダーに入り、銃身に収まる。
 その時ツルギさんは右太ももにもう一つ取り付けてあるリボルバーを右で抜く。
 次に落ちてきた装填済みのリボルバーを左手で掴む。
 完璧な動きで完成である。

 ツルギの特技の一つ、『二丁拳銃デュアル』だ。

 前に構えて、ダブルアクションで全弾12発を撃ち尽くす。
 一般人なら奇跡で一発当たるだろう。
 それをツルギは的に全て当てる。

 何事もなかったかのようにシリンダーを展開、薬莢を落とす。


 やっぱり凄いや。
 もしかしたら人じゃないのかも。

「なにをぼさっとしている?」
「すいません!」

 僕はツルギに見惚れる他の委員とは別に、アサルトライフルを見る。
 戦場で銃はよく使うみたいだ。
 相当の魔術師が相手ではない限り、有効な手段で、委員もとっつきやすい。刀使うのやめればいいのに。
 なぜかミルザンドでは流通していない。
 他の国ではジャンクが出回るらしいが。

 僕は重量感のあるカービンライフルを掴み、30連マガジンを込める。
 セミオート、フルオート、高速弾が打撃ち出され、的に当たる。
 貫通しているのだろう。的の奥、山もりの砂に波を立てて着弾する。

「某国の軍正式採用アサルトライフルをアレンジしたものです。細部は委員仕様です」

 なんだその仕様は。
 他の自動小銃も試すが、初めのが一番だ。

 名を『AR4E』といい、委員の間では最も人気がある。
 他に比べると銃身が短くて取り回しが楽、射程も確保してある。
 カスタマイズ性が高く、ライトとか、グレネードランチャーを付ける者もいる。

 引き続き射撃をしていると、キリカが僕の肩を叩いた。

「ねぇどうやったら的に当たるの?」

 予想外の質問だった。
 サイトを覗いて、引き金を引けばいいだろ?

「あ、当たらないのか?」
「うん」
「一回撃ってみろ。止まってる的でいいから」

 僕が促してキリカがARで50メートルの的を撃つ。

「なんだ当たるじゃん」
「……今のは手前狙ったんだけど……」

 偶然か。

「も、もう何発か撃つんだ!大体、弾道が掴めるだろ?」

 そういえばアバンドグローリーでの戦いで、キリカのライフルは壊滅的な扱いだったな。

「細かいの見るの苦手なんだよー!重い……当たんないよ!」

 いつも刀を振り回している女が何を言うのか!?
 10メートル先の的にはギリギリ当たるようだ。

「アドバイスできるのは二つ。トリガーを引く時に銃身がずれないように平らに引くこと。あとは、ちゃんとサイトを見ること……いいね?」
「うん、やってみる!」

 やっぱりダメだ。

「ダメだ……な。ハンドガンはどうだった?」
「ライフルよりはマシだったよ」
「当たらないのね……でも最初はそんなもんじゃない?訓練あるのみだ」
「そうだね、がんばるよ(オトメくんはどうやって当ててるんだ?)……」

 キリカはがっかりした表情で射撃位置に戻り、また発砲を始めた。

「本当に近接以外の才能が無いんだな……」
「本人の前で言ってはどうです?」
「はぁ?できるわけないだろ!何をされるか……!」

 何度か殴られた過去を思い出した。結構CPがなくなる。

「どうだ、決まったか?」

 ツルギは射撃を中断したみたいだ。

「決まりました。AR4EとHG45E1です」
「そうか、スタンダードでつまらんが……オトメには似合うな。やはりPEが選ぶのは良いものなのか……」

 僕はそれから一時間の間射撃訓練を続け、狙ったものにほぼ確実に当たるようになった。
 ツルギさんから言わせると、PEの恩恵らしいが、僕はそうは思わない。

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