55 / 69
第七章 忘却ゴースト
四十二話 廃墟デンジャラス
しおりを挟む
「うぅ~さーむい!」
あの九月の文化祭からかなりの月日が経ち、十一月になった。と言ってもまだ一日、実は僕の誕生日である。
今の状況は、今日は休日で、誰に祝ってもらうこともなく午後になり寂しく寒いお外を散歩しているというわけだ。
季節的にはまだ秋なのかもしれないけど、雪が降っていないだけで冬の寒さだ。だから僕も割と暖かい格好をしている。
そして、何も考えずに歩いていると、花火大会で訪れた河川敷に来た。
「流されてみようかな」
興味本位で川の水に触ると指先から体が凍りついた。あまりの冷たさに飛び上がってしまった。
「冷た!おいおい、まだ十一月だぜ」
こんな独り言は誰も聞いてくれない。自分でも馬鹿なことをしたなと思い我に返ると、ふとある建物が目に入った。
廃墟である。遠くからでも確認できるボロさだ。実は中学の頃は少しの期間だけ廃墟が好きだった。何故かその建物に惹かれてしまった僕はよく見たいためだけに、あの高台に向かうことにした。
普段は麗乃とかハルとかと話してばっかりで、地面を踏みしめる感覚を集中して感じることを忘れていた。高台に行くために森を進むと、空が曇りのせいか、暗くて少し危険だ。
高台に着くと、あの廃墟がハッキリ見える。いつもなら「寒くて嫌だ」と言うところだが、今回は行きたいと思った。多分、誕生日を祝ってもらえなかったことで心に引っかかった何かをぶつけに行きたかったのかもしれない。
ーーー迷ったーーー
しばらく廃墟のある方向であろう方向に歩いているのだが……迷ってしまった。スマホは家に置いてきてしまい、ここがどこだかわからない。
「迷った……いや、そんなことはあるはずがない。見知らぬ町に来るはずがない!」
そこは本当に見知らぬ町なのだ。でも、普段学校と家に縛られている僕からしたらこの世界全てが見知らぬ町なのだけど。そんな感じで納得しても、帰る手段がないことに気づくと変な汗が出てくるのである。時間を確認するために上を見上げるとまだ明るい。
「歩いていりゃ……大丈夫だろ」
そうやって心を守りながら町をさまようことになった。
「そうだ、廃墟を見た時と同じように高いところから見ればいいんじゃないのか?」
歩いていきなり思いついた案であるがやってみるしかない。近くを見渡すとちょうど良い坂がある。早速登ることにしたのだが、かなり長そうだ。
「ひぃ、キツイな」
こんな坂をずっと登っているわけだけど、これはいい運動になる。そして周りを見渡すと、町を一望できた。そして優麗高校を発見し、帰ろうと思ったところで僕は再び凍りつく。
坂の上の方向から車が猛スピードで僕に向かって突進してきているのだ。
「危ない!」
僕は今の声で我に返り、必死で回避すると、車は止まり、運転手は少しドアを開けて言う。
「どこ見てんじゃクソガキ!気を付けやがれ!」
それだけ言って行ってしまった。
「あ、すいませんでしたー!」
って、なんで謝ってるんだろう。そういえばさっきの声はなんだろう?
僕が坂を見上げると白い何かが確認できた。
僕の好奇心はあれを追えと言っている。
あの九月の文化祭からかなりの月日が経ち、十一月になった。と言ってもまだ一日、実は僕の誕生日である。
今の状況は、今日は休日で、誰に祝ってもらうこともなく午後になり寂しく寒いお外を散歩しているというわけだ。
季節的にはまだ秋なのかもしれないけど、雪が降っていないだけで冬の寒さだ。だから僕も割と暖かい格好をしている。
そして、何も考えずに歩いていると、花火大会で訪れた河川敷に来た。
「流されてみようかな」
興味本位で川の水に触ると指先から体が凍りついた。あまりの冷たさに飛び上がってしまった。
「冷た!おいおい、まだ十一月だぜ」
こんな独り言は誰も聞いてくれない。自分でも馬鹿なことをしたなと思い我に返ると、ふとある建物が目に入った。
廃墟である。遠くからでも確認できるボロさだ。実は中学の頃は少しの期間だけ廃墟が好きだった。何故かその建物に惹かれてしまった僕はよく見たいためだけに、あの高台に向かうことにした。
普段は麗乃とかハルとかと話してばっかりで、地面を踏みしめる感覚を集中して感じることを忘れていた。高台に行くために森を進むと、空が曇りのせいか、暗くて少し危険だ。
高台に着くと、あの廃墟がハッキリ見える。いつもなら「寒くて嫌だ」と言うところだが、今回は行きたいと思った。多分、誕生日を祝ってもらえなかったことで心に引っかかった何かをぶつけに行きたかったのかもしれない。
ーーー迷ったーーー
しばらく廃墟のある方向であろう方向に歩いているのだが……迷ってしまった。スマホは家に置いてきてしまい、ここがどこだかわからない。
「迷った……いや、そんなことはあるはずがない。見知らぬ町に来るはずがない!」
そこは本当に見知らぬ町なのだ。でも、普段学校と家に縛られている僕からしたらこの世界全てが見知らぬ町なのだけど。そんな感じで納得しても、帰る手段がないことに気づくと変な汗が出てくるのである。時間を確認するために上を見上げるとまだ明るい。
「歩いていりゃ……大丈夫だろ」
そうやって心を守りながら町をさまようことになった。
「そうだ、廃墟を見た時と同じように高いところから見ればいいんじゃないのか?」
歩いていきなり思いついた案であるがやってみるしかない。近くを見渡すとちょうど良い坂がある。早速登ることにしたのだが、かなり長そうだ。
「ひぃ、キツイな」
こんな坂をずっと登っているわけだけど、これはいい運動になる。そして周りを見渡すと、町を一望できた。そして優麗高校を発見し、帰ろうと思ったところで僕は再び凍りつく。
坂の上の方向から車が猛スピードで僕に向かって突進してきているのだ。
「危ない!」
僕は今の声で我に返り、必死で回避すると、車は止まり、運転手は少しドアを開けて言う。
「どこ見てんじゃクソガキ!気を付けやがれ!」
それだけ言って行ってしまった。
「あ、すいませんでしたー!」
って、なんで謝ってるんだろう。そういえばさっきの声はなんだろう?
僕が坂を見上げると白い何かが確認できた。
僕の好奇心はあれを追えと言っている。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
はじまりはいつもラブオール
フジノシキ
キャラ文芸
ごく平凡な卓球少女だった鈴原柚乃は、ある日カットマンという珍しい守備的な戦術の美しさに魅せられる。
高校で運命的な再会を果たした柚乃は、仲間と共に休部状態だった卓球部を復活させる。
ライバルとの出会いや高校での試合を通じ、柚乃はあの日魅せられた卓球を目指していく。
主人公たちの高校部活動青春ものです。
日常パートは人物たちの掛け合いを中心に、
卓球パートは卓球初心者の方にわかりやすく、経験者の方には戦術などを楽しんでいただけるようにしています。
pixivにも投稿しています。
6年3組わたしのゆうしゃさま
はれはる
キャラ文芸
小学六年の夏
夏休みが終わり登校すると
クオラスメイトの少女が1人
この世から消えていた
ある事故をきっかけに彼女が亡くなる
一年前に時を遡った主人公
なぜ彼女は死んだのか
そして彼女を救うことは出来るのか?
これは小さな勇者と彼女の物語
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ヒツネスト
天海 愁榎
キャラ文芸
人間の想いが形となり、具現化した異形のバケモノ━━『想獣』。
彼らは、人に取り憑き、呪い、そして━━人を襲う。
「━━私と一緒に、『想獣狩り』をやらない?」
想獣を視る事ができる少年、咸木結祈の前に現れた謎の少女、ヒツネ。
二人に待ち受ける、『想い』の試練を、彼ら彼女らは越える事ができるのか!?
これは、至って普通の日々。
少年少女達の、日常を描く物語。
#彼女を探して・・・
杉 孝子
ホラー
佳苗はある日、SNSで不気味なハッシュタグ『#彼女を探して』という投稿を偶然見かける。それは、特定の人物を探していると思われたが、少し不気味な雰囲気を醸し出していた。日が経つにつれて、そのタグの投稿が急増しSNS上では都市伝説の話も出始めていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる