憑拠ユウレイ

音音てすぃ

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第二章 殺人チェーンソー

十一話 灼熱ランチ

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「おはよう音希田君。ちゃんと寝れた?」
「寝れなかった」
コンディションは少し悪いかもしれない。でも、今日は体が痛くない。

「全員いるね?」

皆、部室に集まった。学校をまるで焼くように照りつける太陽が顔を出す。七時集合のはずが、みんなそろって六時に来たようだ。そろそろ六月だ。今年も夏が暑くなる。

「さぁ、これからどうするんだ?幹也君」
「今から約六時間後、つまり正午に奴らのところに行く」
「なるほど頭がいいな。ちょうどお昼頃ということは、空腹時を狙うということだな!」
「え?──まぁ、そういうことにしておいて」
そこを否定しないのも流石だ幹也君。

「ねーあのさぁ」と、葛城が話始めた。
「全然時間に余裕があるけど、どうする?」
「じゃあ僕は用事があるので、帰ります。十二時前には間に合うと思います」
ハルか。お前はいらん。太陽に焦がされろ。
「そうだね。ハル君は帰って大丈夫。音希田君は用事とかある?」
「いや、特にはないけど」
「じゃあ三人で食べ物買いに行こうよ。早めに食べて元気つけなきゃね」
それはそれで一理ある。ただひたすらに力を押し付け合うだけが戦いではないよな。いくさで言う戦術とか、そういうのに近いかもしれない。空腹を狙うなんて、コイツら外道とか思うかもしれないけど、ここは頭を使ったと褒めてほしい。

ということで、僕ら三人は食材を購入するため、スーパーマーケットに出かけていった。

ーーーとても涼しいーーー

外は灼熱地獄。内は絶対零度。おいおい、ホントにまだ、五月なんだろうな?蜃気楼しんきろうが見える。

「音希田君は、鶏肉食べれる?」
「あぁ、食べれる。僕は嫌いな食べ物ないんだよ。すごいだろ」
「じゃあ鶏肉を使った料理にしよう!胸肉にしようかな…」
話聞けや。コイツ、僕の話を聞いていない。まぁ、いつもそんなもんか。

会計を済ませた僕と葛城は幹也君がいないことに気がついた。探しているとお菓子コーナーに幹也君がしゃがんでいた。
「どうした、幹也君、懐かしいか?」
「うん、ちょっとね」
実際、僕も久しぶりにお菓子を見たかもしれない。昔からある商品もまだ売っていて、懐かしい気持ちになった。
「さぁ、帰って腹ごしらえだ!」
その一言で幹也君は「そうだね」と言って立ち上がった。
帰り道、もちろん荷物は僕が持つとして、一つ問題がある。
「お前ら、どこで調理する気だ。しかも暑い。頭ん中溶けそうだ」
「んー、幹也君は家が遠いから──音希田君の家ならいい?」
「今日は土曜日だから家の人がいるよ。だから相談しないといけないぞ」
「じゃあ、私の家、来る?」
「あぁ、そうしてくれ…えーいいのー!?」
その展開は予想出来なかった。いずれ僕の家で食事会になると思っていた。
「早く行こ」

ーーーお腹いっぱいーーー

正直、葛城の料理は美味しかった。僕だけめちゃくちゃスパイスかけられたけど。

                現在時刻十時二十二分 新聞部部室

「音希田君、葛城さん、十一時三十分に出発しましょう」
「あと一時間あるな。本当に暇なんだけど」
扇風機はあるが、クーラーはない。朝はさほど暑くないが、午前中になればこの部屋は地獄の釜となる。
「窓開けようぜ……」
蒸し暑い空気が入り込んでくる。風も吹かなければ、扇風機も無意味となった。

「そういえば、幹也君はこの前持ってきた竹刀袋はどうした?僕の予想だとアレでやるつもりなんだろ?」
幹也君の顔が硬直した。これは忘れたって雰囲気だな。
「時間もあるし、取りに行こうぜ。いいだろ?葛城」
「食後の運動ね。いい準備運動になるんじゃない?いいと思うよ」
おっと重要なことを聞かないと。
「幹也君、家にあるのか?」
「うん、まぁ」
「何分くらいかかる?」
「三十分くらい」
さらに僕は聞く。
「そこから不良たちのところへ何分かかる?」
「十分くらい」
「丁度いいではないか!お前ら!さっさと行こうぜ」
葛城に胸を刺されるような一言を言われた。
「寝不足の人が、威勢がいいですね。羨ましいなー」

げっ全部バレてんの?
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