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立て直し

前途多難

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とりあえずグランメンバーの実力は分かったが、はっきり言える事は鍛えるしかない。
鍛えるとしても、どうすれば良いのか考えていると。
ずっと髪の毛を気にしてた男が話しかけてきた。
彼は…ナルちゃんって呼ぼう。
ナルちゃんは先程、リザードマンに完膚なきまでに叩きのめされたので抜けたいとでも言いだすのかと思ったら。
「僕の実力はこんな所では分からないんだから、討伐に出かけようよ。」
何処からその自信が湧いてくるのか知りたい所だが、許可出来るはずもなかった。
「とりあえず鍛錬のメニュー考えるから、それで判断する。」
ナルちゃんは明らかに不満そうな表情を浮かべながら、見ていた。
5人ともに言える事だが、基礎自体出来てない。
何故、ここに連れてくるメンバーに入れたのか分からないレベルであった。
それから素振りなど基礎の基礎から教えていったが、真面目に話を聞いてるのはコボルトの二人とボォーっとした彼だけだった。
ナルちゃんは勝手に見栄えがする様な剣の使い方を練習してるし、もう一人の少女はクルルの方ばかり見て、話を聞こうともしていなかった。
その日の夜、リョーはある場所に居た。
リョーは寝転がり、空に輝く月を眺めていた。
「立て直せる自信が全くねぇ。やりすぎたのかな?」
そう独り言を呟くリョーに誰かが近付いてきた。
そして、何も言わずにリョーの隣に座った。
リョーもその人物も何も言葉を発さなかった。
どれくらい経ったのだろう、ついに痺れを切らせ、リョーは。
「なんか話があるんじゃないの?」
リョーの隣に座ってたのはミューゼであった。
「いゃ、別に何でもないんだけどな。もっと楽に考えた方がいいぞ。立て直してやろうとか考えずにさ。元々、無くなってたんだからさ………根詰め過ぎると、しんどくなっちゃうぞ。」
ミューゼは月を見上げながら、こう続けた。
「後さ、クルルについてなんだが、あの子には別の師を見つけてあげた方がいい。私の使える回復魔法は初歩でしかない。独学で書を読んで、必死に習得しようとしてる姿を見ても、何もしてやれなかった。」
リョーはそんなミューゼを横目で見て、反省した。
あの時、何も考えれずにミューゼに託したが、ミューゼの教えれる事とクルルの適性が違ったのだろう。
「まぁ、あの子は基本素直でいい子だよ。だから、闘技場でのあの表情を見た瞬間、驚いたよ。あんまり無理な事すんなよ。」
そう言うと、ミューゼはリョーの背中をポンポンと叩き、立ち上がり、歩き出した。
そして、振り向かずに。
「何か困ったら、話くらい聞いてやるぞ。ゲイガも心配してるんだぞ。」
少し離れた木の影でこちらを見てるゲイガに気付いた。
ゲイガは慌てて、隠れたので気付かないフリをしてあげる事にした。
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