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これから

決別

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テッドも一緒になり、レーラをなだめていた。
レーラはダートに詰め寄っていた。
「誰が何と言おうとグランを解散なんてさせないから。」
「相変わらずだな。」
思わず言葉が出てしまった。
レーラはこちらを睨みつけ。
「関係ないでしょう、貴方には。」
「なら、出ていけよ。勝手に人の部屋に入ってきたのはそっちだろ。」
レーラはその言葉に一瞬、言葉に詰まったが、どうやら無視する事にした様だ。
「何があっても、グラン解散はさせないからね。」
レーラはダートにそう言い残し、部屋を出ようとしていた。
「条件とか聞いていかないの?」
レーラは無視して、立ち去ろうとしていた。
「解散させないって、お前に何が出来るんだ?」
今まで黙っていたダートはレーラの背中に問うた。
その言葉に振り向き、ダートを睨んだ。
「何でもするよ、解散させない為なら。」
レーラは目に涙を溜めていた。
ダートは思わず目を逸らした。
だが、そんな雰囲気に相応しくない行為をしそうになるのを必死に堪えてる人物が一人いた。
それに気付いたのはテッドであった。
「お前、何ニヤけてるんだ?」
テッドはリョーの胸元を掴みかかろうとしたが、テッドは部屋の壁に吹き飛ばされた。
「何でもする?カルバやダートを助けようとしなかったのは誰だよ?可笑しいに決まってるだろ。」
壁に打ち付けられたテッドは小さな声ながら、反論した。
「仕方ないだろ。それに偉そうに言ってるけど、お前らが助かったのもラッキーだっただけだろ。」
重臣が関わっていたとあって、真相は隠されたままで好き勝手な噂話が広まり、それがあたかも事実の様に伝わっていた。
リョーも事実を話そうとは思わなかったが、ラッキーだったと言う言葉を流せる訳もなかった。
「出てけ、もう何も話す事はない。ダート……悪いが、何も力には成れないみたいだ。」
テッドはまだ何か言っていたが、ダートに強引に連れ出された。
しばらくすると、リョーは何も言わずに部屋を出ていった。
虎丸は追いかけようとしたが、リョーは振り返り。
「ごめん、ちょっと独りになりたい。」
その表情は今まで見た事のないモノで虎丸のカラダを無意識に少し震えさせた。

次の日、虎丸が目を覚ましてもリョーの姿はなかった。
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