144 / 230
取り調べ
隠蔽
しおりを挟む
その報せを受けたトリトル卿の顔は蒼白であった。
だが、次の瞬間……トリトル卿に何かが近付き、トリトル卿は首から二つに分かれた。
「………これで許してもらえないか?」
真っ赤に滴る短剣を片手にいつものおちゃらけた表情とは一変した真顔でベイルは立っていた。
その場は目の前で何が行われたのか理解出来ない者がほとんどであったが、一部の者はベイルの蛮行に剣を抜いた。
「……剣を収めよ。」
部屋に以前、見た白い鎧姿の男が入ってきて、再度口を開いた。
「聞こえなかったか、剣を収めよ。」
だが、その言葉にシュラルとダインは複雑な表情であった。
「ロイド、それはどの立場での言葉だ?王位継承権筆頭である王子としての言葉か?それとも近衛隊隊長、軍部のNo.2としての言葉か?」
フランはそう問いかけた。
「トリトル卿は錯乱して、物事の判断が出来ぬ状態であった。何より血縁者を用いて、有りもしない反乱軍をでっち上げて、それを掴みかけた冒険者を賊に仕立てあげようとし、更には国益を害する発言を何度もしていた。だが、この件は王が病で伏せているのに、近衛隊隊長としての地位を言い訳にしてた私が招いた事態だ。だから、もし報復するなら……私の首で許してもらえないか?」
そう言うと、ロイドはリョーを向き、頭を深々と下げた。
シュラルとダインは床に座り込み、頭を深々と下げながら。
「王子のせいではない。重臣として、私のせいだ。」
「王子ではなく、この責任はワシにある。」
虎丸は何を言い争ってるのか理解出来ていないんだろう。
何故か、身構えている。
「……誰かの命とか要らないんだけど。」
流石に目の前で繰り広げられてるモノにいつまでも付き合ってる訳にも行かずに、口を開いた。
驚いた様に集中する視線。
「じゃあ、何が欲しい?」
シュラルはこちらを見ながら、尋ねてきた。
だが、また兵士がやって来た。
「黒きリザードマンがいつまで待たせるのだと。」
冷静になれば、一つだけ心当たりがある事に気付いた。
「ここに連れてきてもらえる?」
どう対処するか、揉め出してる重臣達を横目にしながら。
兵士はチラッとロイド達の方を見たが、判断に苦慮している様子であった。
「それは出来ぬ。申し訳ないが、自ら外へ迎えに行ってもらえぬか?」
そう言葉を発したのはシュラルであった。
ロイドはそれを咎めかけたが、フランが制した。
「申し訳ないが、ワシからも頼む。」
確かに黒リザードマンを招き入れてしまう程、愚かな事はないよな。
先程まで処刑すると罪人扱いしてた事が許されてないのに、自分らを更に窮地へと追い込みかねない選択はしないよな。
だが、次の瞬間……トリトル卿に何かが近付き、トリトル卿は首から二つに分かれた。
「………これで許してもらえないか?」
真っ赤に滴る短剣を片手にいつものおちゃらけた表情とは一変した真顔でベイルは立っていた。
その場は目の前で何が行われたのか理解出来ない者がほとんどであったが、一部の者はベイルの蛮行に剣を抜いた。
「……剣を収めよ。」
部屋に以前、見た白い鎧姿の男が入ってきて、再度口を開いた。
「聞こえなかったか、剣を収めよ。」
だが、その言葉にシュラルとダインは複雑な表情であった。
「ロイド、それはどの立場での言葉だ?王位継承権筆頭である王子としての言葉か?それとも近衛隊隊長、軍部のNo.2としての言葉か?」
フランはそう問いかけた。
「トリトル卿は錯乱して、物事の判断が出来ぬ状態であった。何より血縁者を用いて、有りもしない反乱軍をでっち上げて、それを掴みかけた冒険者を賊に仕立てあげようとし、更には国益を害する発言を何度もしていた。だが、この件は王が病で伏せているのに、近衛隊隊長としての地位を言い訳にしてた私が招いた事態だ。だから、もし報復するなら……私の首で許してもらえないか?」
そう言うと、ロイドはリョーを向き、頭を深々と下げた。
シュラルとダインは床に座り込み、頭を深々と下げながら。
「王子のせいではない。重臣として、私のせいだ。」
「王子ではなく、この責任はワシにある。」
虎丸は何を言い争ってるのか理解出来ていないんだろう。
何故か、身構えている。
「……誰かの命とか要らないんだけど。」
流石に目の前で繰り広げられてるモノにいつまでも付き合ってる訳にも行かずに、口を開いた。
驚いた様に集中する視線。
「じゃあ、何が欲しい?」
シュラルはこちらを見ながら、尋ねてきた。
だが、また兵士がやって来た。
「黒きリザードマンがいつまで待たせるのだと。」
冷静になれば、一つだけ心当たりがある事に気付いた。
「ここに連れてきてもらえる?」
どう対処するか、揉め出してる重臣達を横目にしながら。
兵士はチラッとロイド達の方を見たが、判断に苦慮している様子であった。
「それは出来ぬ。申し訳ないが、自ら外へ迎えに行ってもらえぬか?」
そう言葉を発したのはシュラルであった。
ロイドはそれを咎めかけたが、フランが制した。
「申し訳ないが、ワシからも頼む。」
確かに黒リザードマンを招き入れてしまう程、愚かな事はないよな。
先程まで処刑すると罪人扱いしてた事が許されてないのに、自分らを更に窮地へと追い込みかねない選択はしないよな。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
異世界に召喚されたんですけど、スキルが「資源ごみ」だったので隠れて生きたいです
新田 安音(あらた あのん)
ファンタジー
平凡なおひとりさまアラフォー会社員だった鈴木マリは異世界に召喚された。あこがれの剣と魔法の世界……! だというのに、マリに与えられたスキルはなんと「資源ごみ」。
おひとりさま上等だったので、できれば一人でひっそり暮らしたいんですが、なんか、やたらサバイバルが難しいこの世界……。目立たず、ひっそり、でも死なないで生きていきたい雑草系ヒロインの将来は……?
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
夢結び
石蕗
ファンタジー
仕事に追われる日々を送る主人公は、ある日寝落ちてしまい、夢の世界に迷い込む。
不思議な音に導かれ、鳥居をくぐった先では幻想的なお祭りが行われていた――。
(以前、ラジオドラマ用に書いた脚本を改稿しました。)
グラティールの公爵令嬢
てるゆーぬ(旧名:てるゆ)
ファンタジー
ファンタジーランキング1位を達成しました!女主人公のゲーム異世界転生(主人公は恋愛しません)
ゲーム知識でレアアイテムをゲットしてチート無双、ざまぁ要素、島でスローライフなど、やりたい放題の異世界ライフを楽しむ。
苦戦展開ナシ。ほのぼのストーリーでストレスフリー。
錬金術要素アリ。クラフトチートで、ものづくりを楽しみます。
グルメ要素アリ。お酒、魔物肉、サバイバル飯など充実。
上述の通り、主人公は恋愛しません。途中、婚約されるシーンがありますが婚約破棄に持ち込みます。主人公のルチルは生涯にわたって独身を貫くストーリーです。
広大な異世界ワールドを旅する物語です。冒険にも出ますし、海を渡ったりもします。
序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜
水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位!
★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント)
「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」
『醜い豚』
『最低のゴミクズ』
『無能の恥晒し』
18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。
優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。
魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。
ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。
プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。
そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。
ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。
「主人公は俺なのに……」
「うん。キミが主人公だ」
「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」
「理不尽すぎません?」
原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる