転生したら、HEROになれるはず

再審査

再会

そんなカシューの視線を感じながらも、リョーは決してそちらを見ようとしなかった。
そんな空気を壊したのは先程までダートから熱い抱擁を受けていたレーラであった。

「あれ？そういえば、虎丸は？」
虎丸は嬉しそうにレーラに近づいていくが、レーラは睨みつけた。
「あんた、誰？」
虎丸はいつもと違うレーラの冷たい態度にショックを受けた様でこちらを振り向いている。
「レーラ、それが虎丸なんだよ。」
その言葉にレーラがパニックになった。
「えっ？でも……虎丸、獣人化出来な……えっ、本当に虎丸なの？」
そう言いながら、虎丸の周りを回りながら、ジロジロと観察し始めた。
だが、それで分かるはずもなく、レーラは納得出来ない表情のまま、無理に納得した。
「まぁ……そんなウソついて、騙す意味ないもんね。とりあえず良かったね、虎丸。」
だが、レーラは虎丸に近付こうとはしない。
微妙な空気が漂ってる中、カシューは再び口を開いた。
「申し訳ない。救出も無事に完了したし、そろそろ戻らないとダメなんだよ。」
遠くから近づいてくる大きな白い鳥を見ながら。
来る時は飛行魔法でカッコよく登場したのはわざとらしい。
普段はこういう手段で移動してるらしい。
飛行魔法なんて長距離で使うモノではないらしい。
虎丸はショックを受けていた。
虎丸はカシューらを見て、いつか空を飛んで、移動するのに憧れてたらしい。
レーラからは微妙な距離を取られ、憧れの飛行移動は効率的ではないと言われ、柔らかめなハートはボロボロになってるみたいだ。
カシューはそんな虎丸に近付き、耳元で何かを告げた。
虎丸はカシューを見つめて、力いっぱい頷いた。
それに続いて、リョーを見ながら。
「また何かあったら、相談くらいしろよ。忙しいって言っても、弟子の話聞くくらいの時間は取ってやるからさ。レイさんも本当は来たがってたんだがな。まぁ、色々忙しいからな…あの人も。」
カシューはそう言うと、鳥の背中に取り付けられたボックスの中へ……。
直ぐに上半身だけ身を乗り出して。
「そうだ、最後まで責任もてよ。中途半端に首突っ込んだだけとか許さないからな。」
そう言い残すと、カシュー一行は旅立った。