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調査

優しさ

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その頃、コボルトからの報告を受けたダートは自分の部屋で口を真一文字に閉じ、何とも言えない表情で遠くを見ていた。
しばらく遠くを眺めると、何かを決断したのか、机で何かを書いた後、部屋をあとにした。

あの後、しばらく気まずい雰囲気が漂ったが、レーラは何かを思いついたらしく、店を後にした。
リョーと虎丸は急いで追いかけると、レーラが向かったのはテッドの病室。
部屋に入るなり、テッドの身体を起こさせ。
「ねぇ、あんたは知ってるんだよね?」
いきなりでテッドは状況が把握出来ずにいた。
だが、そんなテッドを揺らしながら。
「私には言えない事なの?ねぇ、テッド……教えてよ。私もグランの一員じゃないの?」
そういうレーラの声は明らかにいつもと違って、震えていた。
そんなレーラにテッドは。
「……知らなくてもいい事だよ。ちょっとした問題が起こっただけだよ、それも直ぐに解決するよ。」
そう言うと、落ち着かせる為に背中をトントンとあやす様に。
その時、見えたレーラの表情は一瞬、固まり、諦めた様な表情になった。

この時、テッドは勿論、ダートもあんな事態になるとは思っていなかった。
虎丸は内心、この状況で明日から獣人化の練習はあるのかなって思っていた。
リョーもこの街を離れる時期を考え始めていた。
きっと今のままではリョーはまた自分の感情を言葉にしたり、行動にしてしまうだろう。
それをしても、誰も幸せにならないのも分かってるのに。

レーラはテッドから身体を離し。
「そっか…、それなら良いんだけど………そろそろ帰るね。」
レーラはそのまま、病室を後にした。
レーラを追いかけたが、なんて声を掛けていいのか分からなかった。
それを察して、病院を出ると、クルリと振り向き。
「心配しなくても、いつもの事だから。私に余計な心配させたくないって、優しさだから。分かってるんだ……、ちゃんと。」
その表情は必死につくった笑顔であったが、今にも泣き出しそうな表情にも見えた。
益々、なんて言葉を言ってあげれば良いか分からず、そんなレーラを見てるしかなかった。
その時の顔はマヌケだったに違いない。
その場でレーラの後ろ姿を見送った。

そして、その夜、テッドは無理を言い、病院を退院した事を翌朝知った。
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