転生したら、HEROになれるはず

調査

戸惑い

覚悟を決め、店に行くと、既に二人は来ていた。
しかも、何やら騒がしい。
「大丈夫だから、ちゃんと出来るから。そんなに直ぐに出来ないのが普通だから。」
「僕には資質がないんです。ずっと出来ないんだ……。」
聴こえてくる情報だけで何の事かは分かったが、それよりも思ったのは虎丸って、実はかなりの豆腐メンタルなんじゃないだろうかって事だった。
店に入ると、レーラはこっちを見て、表情が明るくなり、手招きしながら。
「こっち、こっち。」
席に向かうと、床で俯いてる虎丸。
「虎丸、無理なら無理でいいから。獣人化出来なくても、虎丸は虎丸なんだから。」
そう言いながら、虎丸の背中を撫でた。
「やっぱり……リョーも無理だと思ってるんだ……。」
一瞬、顔を上げて、こちらを見たかと思うと、また俯いてしまった。
実に扱いにくい感じになっている。
虎丸の首を後ろからチョップした。
「ごめん、虎丸がこんなんで。」
レーラの方を見て、謝った。
レーラは手を左右に振り。
「気にしないで。どうせ暇なんだから。それにこの子の気持ちも分かるし。」
複雑な表情を浮かべていた。
「あっ、そう言えば……何かあったの？みんな、少し前から様子が変なんだよね。」
レーラはコチラをジッと見ていた。
言っていいのかどうかをしばらく考え込んでると。
「あぁ、キミも教えてくれないのか。」
その表情はとても寂しそうだった。
「ごめん……キミにそれを言うべき立場じゃないと思うから。」
「そっか。もし、それを聞いても、知らないフリしないとダメな事なんだね。」
レーラはそれ以上、聞こうとしなかった。
ただ静かな時間が流れた。
虎丸はそんな空気を察して、いつの間にか落ち込んでるのを止めていた。