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護衛衆

審査後

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リョーは護衛衆候補の三人を翌日からでも集めて、鍛練しようと考えていた。
だが、三人の姿を見ると到底無理なのが明らかであった。
「とりあえずお疲れ様でした。鍛練自体は明日から行う。だが、自分の身体と相談して参加する様に。」
リョーはそう言葉を残すと、闘技場へ戻っていった。
しばらく三人はそのまま、横になりながら。
「護衛衆とか要るのか………。」
ハーリーは痛みに耐え、苦笑いを浮かべながら。
「全く相手にもならんとはな。しかも、明日から鍛練だとは……。」
ブソンは表情をほぼ変えず、天井を見つめていた。
「流石に明日とか……この怪我、そんなに直ぐに治らないよ……。」
アンリは不安そうな声で。
その言葉に三人の間で悲壮感が漂い始めた頃。
「どうしたの?具合はどう?」
そんな空気をお構いなしに虎丸がやってきた。
「明日からの鍛練、参加出来そうにないんだけど。」
虎丸はキョトンとした表情をしながら。
「無理しなくていいよ。明日から参加しろだなんて言ってないから。」
何か言いたそうな三人に対し、虎丸は小さな小瓶を三本置き。
「これ、傷薬だから……じゃあ、またね。」
そう言い残すと、虎丸はその場から立ち去った。
そして、三人は何も言えずにただ虎丸の後ろ姿を見送る事しか出来なかった。
「……やってけるのかな。」
そう口を開いたのはアンリであった。
二人ともその言葉に何も答える事が出来なかった。
そんな微妙な空気が漂う中、ただ静かな時が流れていた。
「…って言うか、二人の家って……。」
ハーリーは急に何かが脳裏によぎったのか訊ねた。
二人ともほぼ平民に近い家柄であった。
ハーリーはそれを聞き、少し呆れながら、体を起こした。
「本当にあの人、家柄とか関係なしで選んだんだな。」
他の二人は意味がよく分からずにハーリーをただ見つめていた。
だが、ハーリーの考えは間違っていた。
逆にリョーが敢えて、爵位を持つ者の審査を厳しくし、二次選考の時点である程度、落としていた。
三人は虎丸が置いていった小瓶に口をつけ、一気に飲み干そうとした。
次の瞬間、三人の表情は歪んだ………あまりの苦さに。
だが、吐き出す訳にもいかなかった。
小瓶に押された刻印が安価な傷薬ではないのを証明していた。
ハーリーは一瞬、吐き出そうかとしたが、他の二人が耐えてるのを見て、吐き出す事が出来なくなってしまった。
ようやく何とか飲み干すと、三人は口ではなく、鼻で呼吸していた。
吸い込む空気さえも苦いらしい。
そんな様子を見ていたのか、少し苦笑いを浮かべて近付いてきたのは………レーラであった。
「よくそんな不味いの飲めたね。」
レーラ曰く、何度か飲まされかけたが、どうしても飲めずに抗議すると仕方なく丸薬に交換されたらしい。
つまりは丸薬も有り、ほとんど飲み薬を飲む者は居ないとの事。
レーラの発言に呆然としながらも……三人ともある事に気付いていた。
そう、先程までは体を起こす事さえ辛かった程の痛みが薄れてきている事に。
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