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選考

玉石混交

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リョーの前から散ったが、それでも三人の中で誰かを選ばないと駄目だという現実に打ちひしがれている者がほとんどであった。
更に追い討ちをかけるようのが虎丸は早く暴れたそうに満面の笑みを浮かべていた。
ルドラはそこまで露骨ではないにしても早く闘いたそうなのが滲み出ていた。
リョーは動こうとしない集団を見ながら、ため息混じりに口を開きかけた。
その時、闘技場の入り口から声がした。
「だから、もう選考会の受付はとっくに終了したんですよ。」
リザードマンの一人がそう告げていた。
「護衛衆の募集が別にあると思ってたんだって。もうちゃんとした護衛衆じゃなくてもいいから、兵卒あつかいでいいからさ。」
三人の前で迷う者達を横目に強引にその男は入ってきた。
「………もういい。」
リョーは止めようとするリザードマンを制した。
「とりあえず彼に例の紙を。」
そう言われると、一枚の紙を手にした別のリザードマンがその男に近づいていった。
「一応、これに一筆貰うのが決まりになってるんで。」
男は面倒臭そうな表情で紙を受け取り、名を書いた。
「近衛騎士じゃなくて良いの?てっきりそっちだと思っていたんだけど。」
男はリョーを見ながら。
「実家に縁切られて、そうしようかと思ったんだけど、近衛騎士って、色々厳しそうだろ……規律とか。それに騎士団内での立ち回りとか出来ないし。だったら、イグランドの次期当主は変わり者だって言うし、ちょっと面白そうだなって。」
リョーは苦笑いを浮かべた。
面と向かって、変わり者だって言われた事もそうだし、実家から縁を切られたと言っても、実家の手前……うちの護衛衆に応募してくる事自体、普通では有り得なかった。
「いいのか。実家の本筋がうちの元護衛衆筆頭なのに。」
リョーの目の前にいる男はあの夜、ダルそうに待っていた人物であった。
「その実家に勘当されたんだ。それを知ってて、雇用してくれる奇特な人間って少ないんだよ。これは生きていく為には仕方ない選択なんだよ。」
リョーは苦笑いを浮かべたまま。
「一兵卒で良いなら……。」
だが、このやり取りが納得出来ない人間がいるようであった。
「茶番だ。実は既に決まってたんだろ。開催する前からエド家が護衛衆に入る事が。」
リョーはその声の主を見ながら、ニヤリと微笑んだ。
「確かにそう思われても仕方ないな。軽率だったな。受付後にいきなり来た人間を一兵卒であっても、護衛衆に決めるのは。特別に一枠をかけて争うか?勝てば、護衛衆内定だ。」
そういわれた瞬間、声の主は顔を強張らせていた。
リョーは問いかける様に続けた。
「それとも三人の誰かを指名してくれるか?いつまでも付き合ってる程、暇ではないんだがな……。他の参加者の中で希望者は居るか?」
虎丸があの時、言った言葉は芯を得てた。
今も面倒臭そうな表情をしているが、実力的にはエド家屈指と評させている。
だが、根っからの面倒くさがり屋らしく、手を焼いていたようだ。
この人物こそがあのシュラがいっていた人物であった。
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