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理由<ワケ>

依頼

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テッドが去っていった後、少ししてから2人がやってきた。
「坊主、なかなかやるの。」
そう言いながら、肩をバシバシ叩いてきた。
本人は軽くやってるつもりなんだろうが、翌日青アザになりました。
「大丈夫だった?」
アリスは言葉だけ心配してる風を装った。
「まぁ、なんとか。」
その後、アリスとダートに酒を誘われたが、何となく嫌な予感しかしなかったので、丁重に断った。

翌朝、酒場は何かに襲撃されたかの様な風貌になっていた。
あの二人が暴れたらしい。
マスターは慣れた様に店を片付けていた。
巻き添えを食らわずに済んだ。

突貫工事で修繕されていく店の中、遅い朝食を取っていた。
虎丸は店の外で美味しそうに食べていたが、俺は目の前に何故か居る二人に嫌な予感しかせず、食事の気分ではなかった。
そして、二人は黙ったまま、ただ運ばれてきた飲み物を飲んでいた。
「あのさ……何か用があるんじゃないの?」
ゆっくりと顔を上げ、こちらを向き。
「食事は良いのか?」
ダートよりは一回り以上小さいが、豹の獣人である彼は威圧感があった。
「話を聞かないと、食べる気になれなくてね。昨日の事で何かあるんだろ?」
「昨日の事?まぁ、少しは関係あるのかもしれない。」
「テッド、早く話せば?」
明らかに不満そうな顔でこっちを見てるレーラが口を挟んだ。
「そうだな。簡単に言えば、この依頼をキミに受けてもらいたい。」
差し出された紙には確かにある依頼が記されていた。
だが、その依頼書に書かれた依頼主の欄が問題であった。
依頼主に“ダート”の文字が。
あぁ、やっぱり厄介事に首を突っ込んだってのが率直な感想であった。
しばらくの間を置き。
「無論、断って貰っても構わない。」
その言葉を一瞬、テッドの顔を見たが…嫌な予感は続いていた。
「……断る場合は明日までにこの街を離れる事が条件になる。破られた場合は………。」
あぁ、そういう事か。多分、破った場合はグランを敵に回すんだろうな。
チラッと虎丸を見たが、相変わらず美味しそうに食事をしていた。
「ハァ………、ちょっと依頼書をちゃんと読むわ。」
依頼書に記された内容はそれ程、難しい内容ではなかった。
この街の北にある山に行き、ある素材を取ってくる事。
ただ条件の項目に単独(主従獣も不可)の一文も記されていた。
「これ、受けないとこの街に居れないなら、やるしか無いか。虎丸の面倒は見てくれるのか?」
テッドは頷いた。
レーラは信じられないという表情で。
「アンタ、馬鹿?その依頼書のランク、ちゃんと見た?」
そう言われて、確認すると………Dランク。
つまり本来は受けられない依頼らしい。
「それなら、大丈夫。貴方個人への依頼に変更済みですから………それとも辞めますか?」
引き下がれずに依頼を引き受けた。
レーラは呆れ顔でずっと見ていたが。
虎丸に告げると、一瞬静止した。
だが、テッドの“彼が戻ってくるまではココの店で食事し放題。基本、行動も自由。”って、言葉に納得した。
でも、僅かに尻尾が嬉しそうに振れるのを見逃さなかった。

出発は準備が整い次第でいいと言われたが、あまりゆっくりしてると、虎丸が懐柔されそうで怖かったので、翌日までに準備すると告げ、虎丸を預けた。
だが、虎丸を渡した瞬間、テッドの顔が一瞬、引きつった。
まぁ、その時は気にしなかったが………まさかあんな事になるなんて。


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