61 / 230
理由<ワケ>
依頼
しおりを挟む
テッドが去っていった後、少ししてから2人がやってきた。
「坊主、なかなかやるの。」
そう言いながら、肩をバシバシ叩いてきた。
本人は軽くやってるつもりなんだろうが、翌日青アザになりました。
「大丈夫だった?」
アリスは言葉だけ心配してる風を装った。
「まぁ、なんとか。」
その後、アリスとダートに酒を誘われたが、何となく嫌な予感しかしなかったので、丁重に断った。
翌朝、酒場は何かに襲撃されたかの様な風貌になっていた。
あの二人が暴れたらしい。
マスターは慣れた様に店を片付けていた。
巻き添えを食らわずに済んだ。
突貫工事で修繕されていく店の中、遅い朝食を取っていた。
虎丸は店の外で美味しそうに食べていたが、俺は目の前に何故か居る二人に嫌な予感しかせず、食事の気分ではなかった。
そして、二人は黙ったまま、ただ運ばれてきた飲み物を飲んでいた。
「あのさ……何か用があるんじゃないの?」
ゆっくりと顔を上げ、こちらを向き。
「食事は良いのか?」
ダートよりは一回り以上小さいが、豹の獣人である彼は威圧感があった。
「話を聞かないと、食べる気になれなくてね。昨日の事で何かあるんだろ?」
「昨日の事?まぁ、少しは関係あるのかもしれない。」
「テッド、早く話せば?」
明らかに不満そうな顔でこっちを見てるレーラが口を挟んだ。
「そうだな。簡単に言えば、この依頼をキミに受けてもらいたい。」
差し出された紙には確かにある依頼が記されていた。
だが、その依頼書に書かれた依頼主の欄が問題であった。
依頼主に“ダート”の文字が。
あぁ、やっぱり厄介事に首を突っ込んだってのが率直な感想であった。
しばらくの間を置き。
「無論、断って貰っても構わない。」
その言葉を一瞬、テッドの顔を見たが…嫌な予感は続いていた。
「……断る場合は明日までにこの街を離れる事が条件になる。破られた場合は………。」
あぁ、そういう事か。多分、破った場合はグランを敵に回すんだろうな。
チラッと虎丸を見たが、相変わらず美味しそうに食事をしていた。
「ハァ………、ちょっと依頼書をちゃんと読むわ。」
依頼書に記された内容はそれ程、難しい内容ではなかった。
この街の北にある山に行き、ある素材を取ってくる事。
ただ条件の項目に単独(主従獣も不可)の一文も記されていた。
「これ、受けないとこの街に居れないなら、やるしか無いか。虎丸の面倒は見てくれるのか?」
テッドは頷いた。
レーラは信じられないという表情で。
「アンタ、馬鹿?その依頼書のランク、ちゃんと見た?」
そう言われて、確認すると………Dランク。
つまり本来は受けられない依頼らしい。
「それなら、大丈夫。貴方個人への依頼に変更済みですから………それとも辞めますか?」
引き下がれずに依頼を引き受けた。
レーラは呆れ顔でずっと見ていたが。
虎丸に告げると、一瞬静止した。
だが、テッドの“彼が戻ってくるまではココの店で食事し放題。基本、行動も自由。”って、言葉に納得した。
でも、僅かに尻尾が嬉しそうに振れるのを見逃さなかった。
出発は準備が整い次第でいいと言われたが、あまりゆっくりしてると、虎丸が懐柔されそうで怖かったので、翌日までに準備すると告げ、虎丸を預けた。
だが、虎丸を渡した瞬間、テッドの顔が一瞬、引きつった。
まぁ、その時は気にしなかったが………まさかあんな事になるなんて。
「坊主、なかなかやるの。」
そう言いながら、肩をバシバシ叩いてきた。
本人は軽くやってるつもりなんだろうが、翌日青アザになりました。
「大丈夫だった?」
アリスは言葉だけ心配してる風を装った。
「まぁ、なんとか。」
その後、アリスとダートに酒を誘われたが、何となく嫌な予感しかしなかったので、丁重に断った。
翌朝、酒場は何かに襲撃されたかの様な風貌になっていた。
あの二人が暴れたらしい。
マスターは慣れた様に店を片付けていた。
巻き添えを食らわずに済んだ。
突貫工事で修繕されていく店の中、遅い朝食を取っていた。
虎丸は店の外で美味しそうに食べていたが、俺は目の前に何故か居る二人に嫌な予感しかせず、食事の気分ではなかった。
そして、二人は黙ったまま、ただ運ばれてきた飲み物を飲んでいた。
「あのさ……何か用があるんじゃないの?」
ゆっくりと顔を上げ、こちらを向き。
「食事は良いのか?」
ダートよりは一回り以上小さいが、豹の獣人である彼は威圧感があった。
「話を聞かないと、食べる気になれなくてね。昨日の事で何かあるんだろ?」
「昨日の事?まぁ、少しは関係あるのかもしれない。」
「テッド、早く話せば?」
明らかに不満そうな顔でこっちを見てるレーラが口を挟んだ。
「そうだな。簡単に言えば、この依頼をキミに受けてもらいたい。」
差し出された紙には確かにある依頼が記されていた。
だが、その依頼書に書かれた依頼主の欄が問題であった。
依頼主に“ダート”の文字が。
あぁ、やっぱり厄介事に首を突っ込んだってのが率直な感想であった。
しばらくの間を置き。
「無論、断って貰っても構わない。」
その言葉を一瞬、テッドの顔を見たが…嫌な予感は続いていた。
「……断る場合は明日までにこの街を離れる事が条件になる。破られた場合は………。」
あぁ、そういう事か。多分、破った場合はグランを敵に回すんだろうな。
チラッと虎丸を見たが、相変わらず美味しそうに食事をしていた。
「ハァ………、ちょっと依頼書をちゃんと読むわ。」
依頼書に記された内容はそれ程、難しい内容ではなかった。
この街の北にある山に行き、ある素材を取ってくる事。
ただ条件の項目に単独(主従獣も不可)の一文も記されていた。
「これ、受けないとこの街に居れないなら、やるしか無いか。虎丸の面倒は見てくれるのか?」
テッドは頷いた。
レーラは信じられないという表情で。
「アンタ、馬鹿?その依頼書のランク、ちゃんと見た?」
そう言われて、確認すると………Dランク。
つまり本来は受けられない依頼らしい。
「それなら、大丈夫。貴方個人への依頼に変更済みですから………それとも辞めますか?」
引き下がれずに依頼を引き受けた。
レーラは呆れ顔でずっと見ていたが。
虎丸に告げると、一瞬静止した。
だが、テッドの“彼が戻ってくるまではココの店で食事し放題。基本、行動も自由。”って、言葉に納得した。
でも、僅かに尻尾が嬉しそうに振れるのを見逃さなかった。
出発は準備が整い次第でいいと言われたが、あまりゆっくりしてると、虎丸が懐柔されそうで怖かったので、翌日までに準備すると告げ、虎丸を預けた。
だが、虎丸を渡した瞬間、テッドの顔が一瞬、引きつった。
まぁ、その時は気にしなかったが………まさかあんな事になるなんて。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
グラティールの公爵令嬢
てるゆーぬ(旧名:てるゆ)
ファンタジー
ファンタジーランキング1位を達成しました!女主人公のゲーム異世界転生(主人公は恋愛しません)
ゲーム知識でレアアイテムをゲットしてチート無双、ざまぁ要素、島でスローライフなど、やりたい放題の異世界ライフを楽しむ。
苦戦展開ナシ。ほのぼのストーリーでストレスフリー。
錬金術要素アリ。クラフトチートで、ものづくりを楽しみます。
グルメ要素アリ。お酒、魔物肉、サバイバル飯など充実。
上述の通り、主人公は恋愛しません。途中、婚約されるシーンがありますが婚約破棄に持ち込みます。主人公のルチルは生涯にわたって独身を貫くストーリーです。
広大な異世界ワールドを旅する物語です。冒険にも出ますし、海を渡ったりもします。
異世界転生したら、なんか詰んでた 精霊に愛されて幸せをつかみます!
もきち
ファンタジー
旧題:50代で異世界転生~現状はあまりかわりませんが…
第14回ファンタジー小説大賞順位7位&奨励賞
ありがとうございました(^^♪
書籍化に伴い、題名が一新しました。どうぞよろしくお願い致します。
50代で異世界転生してしまったが、現状は前世とあまり変わらない?
でも今世は容姿端麗で精霊という味方もいるからこれから幸せになる予定。
52歳までの前世記憶持ちだが、飯テロも政治テロもなにもありません。
【完結】閑話有り
※書籍化させていただくことになりました( *´艸`)
アルファポリスにて24年5月末頃に発売予定だそうです。
『異世界転生したら、なんか詰んでた ~精霊に愛されて幸せをつかみます!~』
題名が変更して発売です。
よろしくお願いいたします(^^♪
その辺の事を私の近況ボードで詳しくお知らせをしたいと思います(^_-)-☆
Hero of seal
輪廻
ファンタジー
冒険者ギルド「メアリー連盟」の元メンバーである
、ある王国の騎士団長になったマギアから依頼を受けた元メンバー達はマギアとともにその依頼を受けることにした。だが皆はまだ知らない。
世界の運命を背負っていることに…
初心者なのでクオリティが低いです
趣味で投稿するので更新ペースは分かりません
糸遣いの少女ヘレナは幸いを手繰る
犬飼春野
ファンタジー
「すまない、ヘレナ、クリス。ディビッドに逃げられた……」
父の土下座から取り返しのつかない借金発覚。
そして数日後には、高級娼婦と真実の愛を貫こうとするリチャード・ゴドリー伯爵との契約結婚が決まった。
ヘレナは17歳。
底辺まで没落した子爵令嬢。
諸事情で見た目は十歳そこそこの体格、そして平凡な容姿。魔力量ちょっぴり。
しかし、生活能力と打たれ強さだけは誰にも負けない。
「ぼんやり顔だからって、性格までぼんやりしているわけじゃないの」
今回も強い少女の奮闘記、そして、そこそこモテ期(←(笑))を目指します。
*****************************************
** 元題『ぼんやり顔だからって、性格までぼんやりとしているとは限りません』
で長い間お届けし愛着もありますが、
2024/02/27より『糸遣いの少女ヘレナは幸いを手繰る』へ変更いたします。 **
*****************************************
※ ゆるゆるなファンタジーです。
ゆるファンゆえに、鋭いつっこみはどうかご容赦を。
※ 設定がハードなので(主に【閑話】)、R15設定としました。
なろう他各サイトにも掲載中。
『登場人物紹介』を他サイトに開設しました。↓
http://rosadasrosas.web.fc2.com/bonyari/character.html
序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜
水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位!
★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント)
「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」
『醜い豚』
『最低のゴミクズ』
『無能の恥晒し』
18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。
優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。
魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。
ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。
プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。
そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。
ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。
「主人公は俺なのに……」
「うん。キミが主人公だ」
「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」
「理不尽すぎません?」
原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる