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審査

真の交流会

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酒場に着くなり、樽に入った酒が運ばれてきた。
「酒は飲めるんだろ?」
返事をする前にジョッキに注がれたエールらしきモノを渡された。
「では、紅き閃光の新しい門出と発展に乾杯。」
ジョッキを一口飲むと、以前飲んだエールとは格段の強さにむせた。
それを見てた女戦士は少し呆れていた。
「こんな程度も飲めないのか。やはりまだ早かったかな。」
一瞬、カチンと来たが、ここでムキになった所で酔い潰れるのが分かっていたので。
「あまり飲んだ事がないので、申し訳ない。」
無精髭の戦士はリョーの肩を強めに叩きながら。
「気にするな。酒なんて楽しむモノだ。」
女戦士は。
「すまない、気を悪くさせてしまったのなら謝る。」
「ミラは相変わらずだね。悪い子じゃないのよ。」
リンはミラの後ろに立ち、少しからかいながら、フォローした。
ミラはリンを少し睨んだ後に。
「で、これも不躾な話だが……今、そちらのグランも色々大変そうなのを聞く。もし、良ければうちと提携などどうかな?」
その言葉で他のメンバーの目付きが変わった。
「それだったら、ウチと。」
傍観してたメンバーからも提携の話を持ちかけられた。
リョーは何となく真意を察した。
「提携の申し出は有難いのですが、それはうちのGMがイグランド家と関わりがあるからですか?それなら、申し訳ないが………今のGMはあくまでも一時的にGMの座を預かってるだけで御期待には添えないかと。」
その一言に我先にと争っていたメンツはガッカリした表情を浮かべ。
「もしかして、次のGM候補が貴方なの?なら、辞めといた方がいい。他の人に代わって貰いなさい。全然強そうな感じしないから。」
リンはリョーを見ながら、そうアドバイスした。
イグランド家と近づけるというメリットがないのが分かると、リョーの周りから人は居なくなった。
リョーは内心、露骨過ぎる行為に笑いさえ感じながら、ジョッキをちびりちびりと飲んでいた。
そんなリョーに遠くで見ていた一人が近づいてきた。
「一緒に飲んでもいいか?」
リョーは声の主を見て、了承すると、ドカッと横に座り。
「こんなキツいのじゃなくて、エールを二つくれ。」
一つをリョーに差し出すと、声の主は。
「自己紹介してなかったな。クロイツってグランでマスターさせてもらってるシュラだ。交流会には参加出来なかったが、ここで飲んでると聞いて。」
リョーは自己紹介しようとすると。
「紅き閃光の代理人で次期GM候補なんだろ。ほとんど聞こえてたよ。」
次期GM候補を否定するのも面倒なので辞めておいた。
シュラは何か困った事があれば、相談に乗ると優しく接してくれた。
しばらく話し込んだ後、シュラは用があるらしく、立ち去った。
特にそれ以上、目的がないので他のメンバーに声をかけ、酒場を後にした。
少し酒も入り、いい気分で宿屋に戻ると……そこには酔いさえ醒ます表情のクルルが待ち構えていた。
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