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武者修行

一件落着?

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その建物を見て、老翁を訪ねていくと。
「きっとお前の事だ。この先、あの母娘と同じ様な境遇の人と出会えば、助けたくなるだろう。その時に助けれる様になれ。」
この建物の一室にセリは事務所を構えるらしい。そうすれば、直ぐに飲みにいけるからって如何にもセリらしい理由であった。
母娘たちには2軒を一軒にして貸す事にした。
ちゃんと賃貸契約や儲けに対するバックの比率も決めた。
セリや老翁には苦笑いされた。
結構、容赦ない契約内容であったらしい。
その代わりに屋敷に住んで貰って、朝夕のご飯を作って貰う事にした。
家賃くらいの給金を払う事にもした。
勿論、屋敷にいない期間も給金は支払われる。
そして、しばらく屋敷を空ける事も伝えた。
理由は………………ちょっと目立ち過ぎたようだ。
Gから短期間でEランクになり、単騎で隊長アリを討伐。
しかも、黒き髪をして、モンスターを携えてる。
しかも、盗賊を討伐して、賞金稼ぎまでしたんだから。
そして、店舗を持つ(しかも、そこそこな大型店舗)
流石にいくら王都デュポンと言えども、目立たない訳がない。

虎丸のフェイクは見る人が見たら、バレるのは前も言ったが、注目されればその分そういう人にも見られるリスクが増してしまう。その為、一旦沈静化させる為にここを離れた方が良いって事になった。
それを知らせに来てくれたのが、この前のティーロの事を教えてくれた騎士であった。
名前を探ろうとしたが、何故か見えなかった。
だが、何をしようとしたのか分かった様で。
「その子にフェイクがかかってる様に………フィルターがかかってるんだ。」
もしかして、虎丸の正体バレてるって、緊張したが。
「かかってるのだけは分かるって程度だよ。だから、そんな怖い顔しないでよ。忠告に来てあげたのに。」
実に掴みどころがない人だ。
バレてるなら、バレてるで仕方ない。
今更、どうしようもないのだけは分かるし、下手に揉めた所で勝算はないだろう。

早速、老翁に説明に行くと、少し寂しそうな表情で「そうか……。」と一言だけ発した。

約束の虎丸を連れて、会いに行くという約束を反故にしてしまう事を詫びた。
だが、その時。
「ボク、二つくらいなら……分体出来るよ。」
突然、虎丸はそう言うと、一回りくらい小さな二匹になった。
一体の方はやや色は灰色ががっていたが、虎丸には違いない。
「1匹、置いていくから……。」
老翁は本体であろう虎丸の背中を撫でて。
「よし、行っておいで。強くなって、帰って来るんだぞ。」
残る方と本体は2対8の力の配分らしい。
2でも充分だし、多分そのくらいの方が素材集めには適してたよなって思いながら。
出発は翌朝に決定したが、問題は盗賊から奪った子供であった。
子供達6人中3人は捜索願が出されていた。
他の3人については攫われたとかではなく、本当に売られたらしい。
その3人中2人は女の子だったので、女将さんに任せる事にした。
リザは急に姉妹が二人出来て、嬉しそうにしていた。
残り1人はセリに預けようかと思ったが、セリが断固拒否したので、うちの屋敷の管理という名目で老翁に後見人になって貰う事にした。
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