9 / 15
王子のお茶会に来たけれどお茶飲んでないわ
お茶会サボってます
しおりを挟む
現在俺はベッドに座りながら、見知らぬ黒髪少年の手を掴み見つめ合っている。
いやこれどういう状況?
先程少年に誰かと尋ねたので、今は相手からの返事待ち。
いきなり手を掴まれ誰だと聞かれ、すぐに答えられないよな。俺は無理。
これは俺から質問を訂正しないといけない。
俺は慌てて話しかけようとする。
「あのっ!」
「私は…。」
わー被っちゃった!答えようとしてくれたのか!ごめん!
そしてまた互いに黙り込む。
気まずっ!
すると部屋の扉が開く。
そこにはアリスが立っていた。
アリスは手を握り合っている俺達をじっと見ている。
気まずっ!!!
するとアリスは、
「…レイナード殿下。」
と呟いた。
殿下?アリス今殿下って言った?
するとアリスは一呼吸してから話かける。
「レイナード殿下。そちらに居るのは私の婚約者のレオンスです。側に行ってもよろしいでしょうか?」
やっぱり殿下って言った!?
すると黒髪少年はしばらくアリスを見つめ、
「構わない。私は席を外そう。」
そう答えると、黒髪少年(殿下!?)の手が俺の手から離れ、そのまま歩いて部屋を出て行ってしまった。
俺は部屋を出て行った少年を見届けてから、先ほどまで握っていた自分の手を見つめる。
そして感触や温もりを確かめるようにギュッと自分の手を握りしめた。
…いや俺何してるの!?
するといつの間にか側に来ていたアリスが、ベッドに座り俺を見つめた。
「レオンス、もう体調は大丈夫なのか?」
「…あぁ!ごめん、今は気分悪くないよ。むしろ凄く気分が良くなってる。」
「良かった…最近レオンスがお茶会に行くと辛そうにしていたから気にしていたんだが、倒れる程辛くなっているのだと気が付かなかった。
レオンス、他人がいくら気にかけても本人しか体調は分からないんだ。
しかもレオンスはオメガなんだ。私やみんなとまた身体が違うんだ。その事を自覚して自分を守ってほしい。
でもきちんと辛さを伝えたら、レオンスにいる周りの人は君を助けてくれるんだよ。次からは我慢しないで欲しい。
…体調を崩したばかりなのに、責めるように言ってしまってごめん。」
そう言ってアリスは申し訳なさそうに弱く微笑む。
俺は慌ててアリスに声をかける。
「ごめん!アリスは悪くない!今日はいつもより体調が良くなかったんだ。
…そうだよね、僕はオメガなんだ。これからはちゃんと気を付ける。
アリス、心配させてごめん。そして僕を心配してくれてありがとう。」
そう言ってアリスに微笑みかける。
そうだ、嫌だといっても俺の身体はオメガなんだ。
これからはもっと自分の身体に気を付けようと思う。
そしてハッと気付きアリスに質問する。
「アリス!今の状況なんだけれど…。」
「?あぁ、お茶会はもう終わる頃じゃないかな?
医師が言うには貧血の様な症状らしい。レオンスはオメガなので、私達と身体が違うからハッキリと症状は言い切れないようだったが、しばらく安静にしていたら大丈夫だろうと言う事で、ここで休ませて貰っていたんだよ。」
「あ、お茶会…もそうだったんだけど、さっきの男の子…殿下って言った?」
「…彼はレイナード殿下。この国の第二王子で私の親戚だ。」
「アリスの親戚!?というか第二王子!?
うわ…さっき寝ぼけていたみたいでいきなり手を掴んで…自分の名前も名乗らず誰だって聞いちゃった…。
これは…まずいよね…。」
「大丈夫だと思うよ。でもそんなに気になる様だったら、私が今から簡単に弁解してくるよ。すぐ戻ってくる。」
アリスはそう言うと、俺が答える隙もなくすぐに部屋を出ていってしまった。
ほんとアリスには何から何まで申し訳ない!
初めて王宮へ行く時、両親がアリスと一緒に居るのを許してくれた理由が今なら分かる!
お家にお邪魔するだけでなく、色々フォローしてもらえてるよね。本当にありがとう!!!
その後戻ってきたアリスと共に、俺はアリスの別宅へと帰って行った。
レイナード王子に何て弁解したのか気になったが、アリスは何も言わなかったし俺も怖くて聞けなかった…。
何も言わないって事は…まぁ大丈夫だと思いたい…。
もう第三王子とかは勘弁してほしい…。もういないよな!?
このままでは俺…王子恐怖症になりそうだ!!!
いやこれどういう状況?
先程少年に誰かと尋ねたので、今は相手からの返事待ち。
いきなり手を掴まれ誰だと聞かれ、すぐに答えられないよな。俺は無理。
これは俺から質問を訂正しないといけない。
俺は慌てて話しかけようとする。
「あのっ!」
「私は…。」
わー被っちゃった!答えようとしてくれたのか!ごめん!
そしてまた互いに黙り込む。
気まずっ!
すると部屋の扉が開く。
そこにはアリスが立っていた。
アリスは手を握り合っている俺達をじっと見ている。
気まずっ!!!
するとアリスは、
「…レイナード殿下。」
と呟いた。
殿下?アリス今殿下って言った?
するとアリスは一呼吸してから話かける。
「レイナード殿下。そちらに居るのは私の婚約者のレオンスです。側に行ってもよろしいでしょうか?」
やっぱり殿下って言った!?
すると黒髪少年はしばらくアリスを見つめ、
「構わない。私は席を外そう。」
そう答えると、黒髪少年(殿下!?)の手が俺の手から離れ、そのまま歩いて部屋を出て行ってしまった。
俺は部屋を出て行った少年を見届けてから、先ほどまで握っていた自分の手を見つめる。
そして感触や温もりを確かめるようにギュッと自分の手を握りしめた。
…いや俺何してるの!?
するといつの間にか側に来ていたアリスが、ベッドに座り俺を見つめた。
「レオンス、もう体調は大丈夫なのか?」
「…あぁ!ごめん、今は気分悪くないよ。むしろ凄く気分が良くなってる。」
「良かった…最近レオンスがお茶会に行くと辛そうにしていたから気にしていたんだが、倒れる程辛くなっているのだと気が付かなかった。
レオンス、他人がいくら気にかけても本人しか体調は分からないんだ。
しかもレオンスはオメガなんだ。私やみんなとまた身体が違うんだ。その事を自覚して自分を守ってほしい。
でもきちんと辛さを伝えたら、レオンスにいる周りの人は君を助けてくれるんだよ。次からは我慢しないで欲しい。
…体調を崩したばかりなのに、責めるように言ってしまってごめん。」
そう言ってアリスは申し訳なさそうに弱く微笑む。
俺は慌ててアリスに声をかける。
「ごめん!アリスは悪くない!今日はいつもより体調が良くなかったんだ。
…そうだよね、僕はオメガなんだ。これからはちゃんと気を付ける。
アリス、心配させてごめん。そして僕を心配してくれてありがとう。」
そう言ってアリスに微笑みかける。
そうだ、嫌だといっても俺の身体はオメガなんだ。
これからはもっと自分の身体に気を付けようと思う。
そしてハッと気付きアリスに質問する。
「アリス!今の状況なんだけれど…。」
「?あぁ、お茶会はもう終わる頃じゃないかな?
医師が言うには貧血の様な症状らしい。レオンスはオメガなので、私達と身体が違うからハッキリと症状は言い切れないようだったが、しばらく安静にしていたら大丈夫だろうと言う事で、ここで休ませて貰っていたんだよ。」
「あ、お茶会…もそうだったんだけど、さっきの男の子…殿下って言った?」
「…彼はレイナード殿下。この国の第二王子で私の親戚だ。」
「アリスの親戚!?というか第二王子!?
うわ…さっき寝ぼけていたみたいでいきなり手を掴んで…自分の名前も名乗らず誰だって聞いちゃった…。
これは…まずいよね…。」
「大丈夫だと思うよ。でもそんなに気になる様だったら、私が今から簡単に弁解してくるよ。すぐ戻ってくる。」
アリスはそう言うと、俺が答える隙もなくすぐに部屋を出ていってしまった。
ほんとアリスには何から何まで申し訳ない!
初めて王宮へ行く時、両親がアリスと一緒に居るのを許してくれた理由が今なら分かる!
お家にお邪魔するだけでなく、色々フォローしてもらえてるよね。本当にありがとう!!!
その後戻ってきたアリスと共に、俺はアリスの別宅へと帰って行った。
レイナード王子に何て弁解したのか気になったが、アリスは何も言わなかったし俺も怖くて聞けなかった…。
何も言わないって事は…まぁ大丈夫だと思いたい…。
もう第三王子とかは勘弁してほしい…。もういないよな!?
このままでは俺…王子恐怖症になりそうだ!!!
10
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説

エンシェントリリー
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
短期間で新しい古代魔術をいくつも発表しているオメガがいる。名はリリー。本名ではない。顔も第一性も年齢も本名も全て不明。分かっているのはオメガの保護施設に入っていることと、二年前に突然現れたことだけ。このリリーという名さえも今代のリリーが施設を出れば他のオメガに与えられる。そのため、リリーの中でも特に古代魔法を解き明かす天才である今代のリリーを『エンシェントリリー』と特別な名前で呼ぶようになった。

邪悪な魔術師の成れの果て
きりか
BL
邪悪な魔術師を倒し、歓喜に打ち震える人々のなか、サシャの足元には戦地に似つかわしくない赤子が…。その赤子は、倒したハズの魔術師と同じ瞳。邪悪な魔術師(攻)と、育ての親となったサシャ(受)のお話。
すみません!エチシーンが苦手で逃げてしまいました。
それでもよかったら、お暇つぶしに読んでくださいませ。
きっと世界は美しい
木原あざみ
BL
人気者美形×根暗。自分に自信のないトラウマ持ちが初めての恋に四苦八苦する話です。
**
本当に幼いころ、世界は優しく正しいのだと信じていた。けれど、それはただの幻想だ。世界は不平等で、こんなにも息苦しい。
それなのに、世界の中心で笑っているような男に恋をしてしまった……というような話です。
大学生同士。リア充美形と根暗くんがアパートのお隣さんになったことで始まる恋の話。
「好きになれない」のスピンオフですが、話自体は繋がっていないので、この話単独でも問題なく読めると思います。
少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです

この噛み痕は、無効。
ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋
α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。
いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。
千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。
そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。
その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。
「やっと見つけた」
男は誰もが見惚れる顔でそう言った。

憧れていた天然色
きりか
BL
母という名ばかりの女と、継父に虐げられていた、オメガの僕。ある日、新しい女のもとに継父が出ていき、火災で母を亡くしたところ、憧れの色を纏っていたアルファの同情心を煽り…。
オメガバースですが、活かしきれていなくて申し訳ないです。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる