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王子のお茶会に来たけれどお茶飲んでないわ
お茶会サボってます
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現在俺はベッドに座りながら、見知らぬ黒髪少年の手を掴み見つめ合っている。
いやこれどういう状況?
先程少年に誰かと尋ねたので、今は相手からの返事待ち。
いきなり手を掴まれ誰だと聞かれ、すぐに答えられないよな。俺は無理。
これは俺から質問を訂正しないといけない。
俺は慌てて話しかけようとする。
「あのっ!」
「私は…。」
わー被っちゃった!答えようとしてくれたのか!ごめん!
そしてまた互いに黙り込む。
気まずっ!
すると部屋の扉が開く。
そこにはアリスが立っていた。
アリスは手を握り合っている俺達をじっと見ている。
気まずっ!!!
するとアリスは、
「…レイナード殿下。」
と呟いた。
殿下?アリス今殿下って言った?
するとアリスは一呼吸してから話かける。
「レイナード殿下。そちらに居るのは私の婚約者のレオンスです。側に行ってもよろしいでしょうか?」
やっぱり殿下って言った!?
すると黒髪少年はしばらくアリスを見つめ、
「構わない。私は席を外そう。」
そう答えると、黒髪少年(殿下!?)の手が俺の手から離れ、そのまま歩いて部屋を出て行ってしまった。
俺は部屋を出て行った少年を見届けてから、先ほどまで握っていた自分の手を見つめる。
そして感触や温もりを確かめるようにギュッと自分の手を握りしめた。
…いや俺何してるの!?
するといつの間にか側に来ていたアリスが、ベッドに座り俺を見つめた。
「レオンス、もう体調は大丈夫なのか?」
「…あぁ!ごめん、今は気分悪くないよ。むしろ凄く気分が良くなってる。」
「良かった…最近レオンスがお茶会に行くと辛そうにしていたから気にしていたんだが、倒れる程辛くなっているのだと気が付かなかった。
レオンス、他人がいくら気にかけても本人しか体調は分からないんだ。
しかもレオンスはオメガなんだ。私やみんなとまた身体が違うんだ。その事を自覚して自分を守ってほしい。
でもきちんと辛さを伝えたら、レオンスにいる周りの人は君を助けてくれるんだよ。次からは我慢しないで欲しい。
…体調を崩したばかりなのに、責めるように言ってしまってごめん。」
そう言ってアリスは申し訳なさそうに弱く微笑む。
俺は慌ててアリスに声をかける。
「ごめん!アリスは悪くない!今日はいつもより体調が良くなかったんだ。
…そうだよね、僕はオメガなんだ。これからはちゃんと気を付ける。
アリス、心配させてごめん。そして僕を心配してくれてありがとう。」
そう言ってアリスに微笑みかける。
そうだ、嫌だといっても俺の身体はオメガなんだ。
これからはもっと自分の身体に気を付けようと思う。
そしてハッと気付きアリスに質問する。
「アリス!今の状況なんだけれど…。」
「?あぁ、お茶会はもう終わる頃じゃないかな?
医師が言うには貧血の様な症状らしい。レオンスはオメガなので、私達と身体が違うからハッキリと症状は言い切れないようだったが、しばらく安静にしていたら大丈夫だろうと言う事で、ここで休ませて貰っていたんだよ。」
「あ、お茶会…もそうだったんだけど、さっきの男の子…殿下って言った?」
「…彼はレイナード殿下。この国の第二王子で私の親戚だ。」
「アリスの親戚!?というか第二王子!?
うわ…さっき寝ぼけていたみたいでいきなり手を掴んで…自分の名前も名乗らず誰だって聞いちゃった…。
これは…まずいよね…。」
「大丈夫だと思うよ。でもそんなに気になる様だったら、私が今から簡単に弁解してくるよ。すぐ戻ってくる。」
アリスはそう言うと、俺が答える隙もなくすぐに部屋を出ていってしまった。
ほんとアリスには何から何まで申し訳ない!
初めて王宮へ行く時、両親がアリスと一緒に居るのを許してくれた理由が今なら分かる!
お家にお邪魔するだけでなく、色々フォローしてもらえてるよね。本当にありがとう!!!
その後戻ってきたアリスと共に、俺はアリスの別宅へと帰って行った。
レイナード王子に何て弁解したのか気になったが、アリスは何も言わなかったし俺も怖くて聞けなかった…。
何も言わないって事は…まぁ大丈夫だと思いたい…。
もう第三王子とかは勘弁してほしい…。もういないよな!?
このままでは俺…王子恐怖症になりそうだ!!!
いやこれどういう状況?
先程少年に誰かと尋ねたので、今は相手からの返事待ち。
いきなり手を掴まれ誰だと聞かれ、すぐに答えられないよな。俺は無理。
これは俺から質問を訂正しないといけない。
俺は慌てて話しかけようとする。
「あのっ!」
「私は…。」
わー被っちゃった!答えようとしてくれたのか!ごめん!
そしてまた互いに黙り込む。
気まずっ!
すると部屋の扉が開く。
そこにはアリスが立っていた。
アリスは手を握り合っている俺達をじっと見ている。
気まずっ!!!
するとアリスは、
「…レイナード殿下。」
と呟いた。
殿下?アリス今殿下って言った?
するとアリスは一呼吸してから話かける。
「レイナード殿下。そちらに居るのは私の婚約者のレオンスです。側に行ってもよろしいでしょうか?」
やっぱり殿下って言った!?
すると黒髪少年はしばらくアリスを見つめ、
「構わない。私は席を外そう。」
そう答えると、黒髪少年(殿下!?)の手が俺の手から離れ、そのまま歩いて部屋を出て行ってしまった。
俺は部屋を出て行った少年を見届けてから、先ほどまで握っていた自分の手を見つめる。
そして感触や温もりを確かめるようにギュッと自分の手を握りしめた。
…いや俺何してるの!?
するといつの間にか側に来ていたアリスが、ベッドに座り俺を見つめた。
「レオンス、もう体調は大丈夫なのか?」
「…あぁ!ごめん、今は気分悪くないよ。むしろ凄く気分が良くなってる。」
「良かった…最近レオンスがお茶会に行くと辛そうにしていたから気にしていたんだが、倒れる程辛くなっているのだと気が付かなかった。
レオンス、他人がいくら気にかけても本人しか体調は分からないんだ。
しかもレオンスはオメガなんだ。私やみんなとまた身体が違うんだ。その事を自覚して自分を守ってほしい。
でもきちんと辛さを伝えたら、レオンスにいる周りの人は君を助けてくれるんだよ。次からは我慢しないで欲しい。
…体調を崩したばかりなのに、責めるように言ってしまってごめん。」
そう言ってアリスは申し訳なさそうに弱く微笑む。
俺は慌ててアリスに声をかける。
「ごめん!アリスは悪くない!今日はいつもより体調が良くなかったんだ。
…そうだよね、僕はオメガなんだ。これからはちゃんと気を付ける。
アリス、心配させてごめん。そして僕を心配してくれてありがとう。」
そう言ってアリスに微笑みかける。
そうだ、嫌だといっても俺の身体はオメガなんだ。
これからはもっと自分の身体に気を付けようと思う。
そしてハッと気付きアリスに質問する。
「アリス!今の状況なんだけれど…。」
「?あぁ、お茶会はもう終わる頃じゃないかな?
医師が言うには貧血の様な症状らしい。レオンスはオメガなので、私達と身体が違うからハッキリと症状は言い切れないようだったが、しばらく安静にしていたら大丈夫だろうと言う事で、ここで休ませて貰っていたんだよ。」
「あ、お茶会…もそうだったんだけど、さっきの男の子…殿下って言った?」
「…彼はレイナード殿下。この国の第二王子で私の親戚だ。」
「アリスの親戚!?というか第二王子!?
うわ…さっき寝ぼけていたみたいでいきなり手を掴んで…自分の名前も名乗らず誰だって聞いちゃった…。
これは…まずいよね…。」
「大丈夫だと思うよ。でもそんなに気になる様だったら、私が今から簡単に弁解してくるよ。すぐ戻ってくる。」
アリスはそう言うと、俺が答える隙もなくすぐに部屋を出ていってしまった。
ほんとアリスには何から何まで申し訳ない!
初めて王宮へ行く時、両親がアリスと一緒に居るのを許してくれた理由が今なら分かる!
お家にお邪魔するだけでなく、色々フォローしてもらえてるよね。本当にありがとう!!!
その後戻ってきたアリスと共に、俺はアリスの別宅へと帰って行った。
レイナード王子に何て弁解したのか気になったが、アリスは何も言わなかったし俺も怖くて聞けなかった…。
何も言わないって事は…まぁ大丈夫だと思いたい…。
もう第三王子とかは勘弁してほしい…。もういないよな!?
このままでは俺…王子恐怖症になりそうだ!!!
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