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居酒屋にて
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俺は今、いつも通っている居酒屋にいる。
そして目の前には、大学3年目の付き合いになる彰人が座っていた。
俺は先ほどから食べては飲み、食べては飲みを繰り返している。
対する彰人は、1杯目のビールをちびちびと飲んでいるだけで、全く食べていなかった。
おそらく俺の勢いが凄いからだろう。
食べる勢いだけでなく、今日俺が出会った衝撃的な出来事を話しているのもあると思う。
俺は3人前の焼き鳥を平らげ、ビールを飲み干し、勢いよくジョッキを置いて彰人に話しかける。
「…信じ…られるか!?大学の!資料室で!昼間っから!盛るやつが…いるかぁあ!?」
「・・・」
彰人は視線を泳がせているだけで、先ほどからほとんど話さない。
俺は今日大学で、レポートの資料を探しに資料室に入った。
するとそこには、抱き合ってキスをし、勢いのまま何かが始まりそうになっていた知り合いの2人が居た。
ゼミの仲間である。ちなみに両方男だ。
「確かにあんまり使われていない部屋だけれど…鍵くらい閉めろよっ!というかやっぱり学校でやるな!おかしいだろ!学校で、しかも昼間から盛るとか…現実にあってたまるかっ!!!」
俺は通りかかった店員を呼び止め、追加の飲み物を注文する。
彰人はまたビールをちびちび飲み始める。
「俺も部屋に入った瞬間驚きすぎて、
“あ、ごめん、邪魔したな”
って言って、普通に扉を閉めて部屋を出て行ったわ!
何故俺が謝っている!?アイツらが悪いだろ!?なぜ誰も来ないと思ったんだ!?
あー次からあの部屋を使う時、絶対アイツらの事思い出す…使いづらいわっ!」
俺は店員が持ってきたジョッキを受け取り、そのままごくごくと飲んだ。
先ほどからずっとこの調子を繰り返している。
すると彰人が静かに話し始める。
「あの2人…付き合っていたんだな」
「ん?あぁ、あの2人付き合っていたの、俺は知っていたけどな」
「!? 陽介知っていたのか?」
「一緒にゼミで過ごしていて、2人を見ていたら分かる。2人とも隠していたみたいだけど。人の好意って結構分かりやすいしな。
…ちなみに俺は、他人から自分に向けられている好意も結構分かる」
すると彰人がビクッと反応し、そして少し焦った様子になる。
「陽…介…は、男同士が付き合うの…どう思っているんだ?」
恐る恐るといった様子で彰人が俺に質問をする。
俺は質問を受け、はぁーっと大きなため息をつき、一呼吸してから彰人に向き合った。
「彰人…俺は先程から…学校で!昼間から!盛っている事に!文句を言っていたんだ!!!
別に好きな者同士なら、男だろうが女だろうが、付き合おうが何しようが問題ない。別に何も悪い事している訳じゃない!
ただ本当に時と場所を考えてくれ!今日みたいなのは普通に周りに迷惑だから!!!」
「!? 陽介…あのっ…俺っ…!」
勢いで何か言いそうになっている彰人の前に、俺は片手を伸ばして掌を見せ、待てのポーズをする。
そしてもう片方の手で、ジョッキの残りを飲み干した。
「俺は今日、時と場所が大事なことを学んだ。そして先ほど、自分に対する他人の好意が分かると言ったが、100%の自信がある訳でなはい!
なのでいつものように今から彰人の家で飲み直してその時に確かめるのが時と場所も丁度良いと思うのですがどうでしょうかね!?!?!?」
俺は早口で一気に言い切った。
今日の大学での出来事がきっかけで、俺なりにようやくある決心がつき、
何とか彰人に言いたくて、でも言い出せなくてずっと酒を飲んでいたのでは…決してないっ!
そして先ほどから全然飲んでいない彰人が、何故か急に真っ赤になっていた。
俺達の顔が真っ赤になっているのは、お酒を飲んでいるからであり!
居酒屋で顔が赤くなるのは間違ってはいないはずだ!!!
そして目の前には、大学3年目の付き合いになる彰人が座っていた。
俺は先ほどから食べては飲み、食べては飲みを繰り返している。
対する彰人は、1杯目のビールをちびちびと飲んでいるだけで、全く食べていなかった。
おそらく俺の勢いが凄いからだろう。
食べる勢いだけでなく、今日俺が出会った衝撃的な出来事を話しているのもあると思う。
俺は3人前の焼き鳥を平らげ、ビールを飲み干し、勢いよくジョッキを置いて彰人に話しかける。
「…信じ…られるか!?大学の!資料室で!昼間っから!盛るやつが…いるかぁあ!?」
「・・・」
彰人は視線を泳がせているだけで、先ほどからほとんど話さない。
俺は今日大学で、レポートの資料を探しに資料室に入った。
するとそこには、抱き合ってキスをし、勢いのまま何かが始まりそうになっていた知り合いの2人が居た。
ゼミの仲間である。ちなみに両方男だ。
「確かにあんまり使われていない部屋だけれど…鍵くらい閉めろよっ!というかやっぱり学校でやるな!おかしいだろ!学校で、しかも昼間から盛るとか…現実にあってたまるかっ!!!」
俺は通りかかった店員を呼び止め、追加の飲み物を注文する。
彰人はまたビールをちびちび飲み始める。
「俺も部屋に入った瞬間驚きすぎて、
“あ、ごめん、邪魔したな”
って言って、普通に扉を閉めて部屋を出て行ったわ!
何故俺が謝っている!?アイツらが悪いだろ!?なぜ誰も来ないと思ったんだ!?
あー次からあの部屋を使う時、絶対アイツらの事思い出す…使いづらいわっ!」
俺は店員が持ってきたジョッキを受け取り、そのままごくごくと飲んだ。
先ほどからずっとこの調子を繰り返している。
すると彰人が静かに話し始める。
「あの2人…付き合っていたんだな」
「ん?あぁ、あの2人付き合っていたの、俺は知っていたけどな」
「!? 陽介知っていたのか?」
「一緒にゼミで過ごしていて、2人を見ていたら分かる。2人とも隠していたみたいだけど。人の好意って結構分かりやすいしな。
…ちなみに俺は、他人から自分に向けられている好意も結構分かる」
すると彰人がビクッと反応し、そして少し焦った様子になる。
「陽…介…は、男同士が付き合うの…どう思っているんだ?」
恐る恐るといった様子で彰人が俺に質問をする。
俺は質問を受け、はぁーっと大きなため息をつき、一呼吸してから彰人に向き合った。
「彰人…俺は先程から…学校で!昼間から!盛っている事に!文句を言っていたんだ!!!
別に好きな者同士なら、男だろうが女だろうが、付き合おうが何しようが問題ない。別に何も悪い事している訳じゃない!
ただ本当に時と場所を考えてくれ!今日みたいなのは普通に周りに迷惑だから!!!」
「!? 陽介…あのっ…俺っ…!」
勢いで何か言いそうになっている彰人の前に、俺は片手を伸ばして掌を見せ、待てのポーズをする。
そしてもう片方の手で、ジョッキの残りを飲み干した。
「俺は今日、時と場所が大事なことを学んだ。そして先ほど、自分に対する他人の好意が分かると言ったが、100%の自信がある訳でなはい!
なのでいつものように今から彰人の家で飲み直してその時に確かめるのが時と場所も丁度良いと思うのですがどうでしょうかね!?!?!?」
俺は早口で一気に言い切った。
今日の大学での出来事がきっかけで、俺なりにようやくある決心がつき、
何とか彰人に言いたくて、でも言い出せなくてずっと酒を飲んでいたのでは…決してないっ!
そして先ほどから全然飲んでいない彰人が、何故か急に真っ赤になっていた。
俺達の顔が真っ赤になっているのは、お酒を飲んでいるからであり!
居酒屋で顔が赤くなるのは間違ってはいないはずだ!!!
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