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運命のアルファを探す俺

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次の日、俺は電車の中で昨日の人物を探す。

すると、丁度乗り込んだ車両の端に、いた!!!
端の方で携帯をいじっている。電車の外に体を向けているから顔は見えていないけれど、間違いない!!!

俺の心臓が、存在を強く主張している。何だか急に喉も乾いてきた。

今から移動して近づくのは不自然だろうし、俺は乗り換えの駅まで、その場で固まったままだった。
乗り換えの駅に着き、俺は少し後ろの位置から相手について行く。
俺の目の前に、ずっと探していた人物がいるんだ。
俺は嬉しさと緊張と、そして不安を感じながら歩いていた。




「で?」

「はい・・・その人物の後ろを歩いていただけです」

亮が俺の今朝の報告を聞いてくれている。
俺はいつにもなく力なく答えていた。

「いやだって・・・いきなりどうすれば?どうやって話しかけたらいい???
すみません一目惚れです、そしてあなたはアルファですか?良かったら俺の首筋を噛んでくれませんか!?」

「アウト」

「俺でも分かるわ、アウトどころではない怖いわ」

「でもそうだな・・・どうやって声を掛けるか、難しいな・・・。
相手は蓮に気づいてないのか?」

「おそらく気づいてない・・・」

「となると・・・蓮から相手に声をかけるしかないか・・・。アルファや首筋は置いといて・・・。
蓮がナンパするのか」

「ナンパとか!!!・・・そーいう事になるのか・・・」

「でも蓮って全然人見知りでは無いし、そういうの得意なのでは?」

「いや・・・確かに人見知りではないと思うけど・・・ちょっとこれは違う。
俺はあの人限定の人見知りだ。多分何も話せないし、話したとしても自分が何言っているのか分からない状態になる自信しかない」

「まあ・・・好きな人に対してはそんなものか。でもそのうち向こうも気づくのでは?」

「だと・・・良いけれど・・・。なかなか上手い事いかないな」

「まあ出会ったばっかりだし、焦らない事だな」

俺は自分の無力状態に嘆いていた。
世間でお付き合いしている人々に聞いて回りたい。
どうやってお付き合い出来たのですかと!!!

そしてパニックになっている一方で、俺は思った。
まだ相手の名前も知らないけれど、相手の姿が見られるだけでこんなに緊張したり、相手を思い出してニヤけてしまうなんて・・・。なんだか嬉しいような楽しいような・・・今までに無い感覚がある。
相手の事が知りたいし、話してみたい。

「蓮、顔がニヤけてる」

「もう不可抗力だ。許してくれ」

亮も俺につられてなのか、呆れながらも少し笑っている。
俺はすでに、明日電車に乗るのがすごく楽しみになっていた。
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