お願いだから噛んで欲しい!

そらうみ

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友人にひかれている俺

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俺は今、亮の自宅にお邪魔していた。
テスト終わりに、亮が家へ遊びに誘ってくれたのだ。
テストも終わったし(内容も終わったし)、特に断る理由もなく、学校帰りにそのまま亮の家へとやってきたのだ。

午前中にテストが終わったので、亮の家には昼過ぎに着き、そしてそのままお昼ご飯を頂くことになった。
お昼ご飯の宅配ピザを俺と亮、そして大学生の亮の兄貴と、その友人の人と4人で食べる。

初めましての亮の兄貴は、少し亮に似ている気もする。
俺は弟の友人なのに、一緒にご飯食べようと誘ってくれたし、そして亮の兄貴の友人も、特に俺に気にする事なく一緒に食べている。
みなさんお優しい。俺兄弟いないから分かんないけれど、兄貴って弟の友達にも優しいのか?

亮の兄貴が、今日はこの居間で映画を観る予定だと話してくれた。
居間にあるテレビがとても大きいのだ。この画面で映画観たら迫力ある事間違いなし。
そしてなんと、俺たちも一緒に観ないかと誘ってくれた。

亮は俺に、どうする?と聞いてきたけれど、俺は是非ともご一緒したいと言った。
友人の人もニコニコしながら、俺にどんな映画が観たいか聞いてきてくれた。



その日はそのままみんなで映画を観て解散となった。
亮が最寄り駅までお見送りしてくれている。

俺は始終ご機嫌だったのだが、そんな俺を亮は横でじっと見つめていた。
俺は視線に気づき、亮を見た。

「亮? 俺の顔に何か付いてる?」

「いや・・・今更だけど、今日家に兄貴達いたけれど、大丈夫だった?」

「? 全く問題なし! お昼もご馳走になって申し訳なかった!」

「あぁ、ピザは兄貴達の奢りだから気にしなくてい良いよ」

「ほんとお礼言っといて。亮の兄貴優しいんだな、そしてその友人の人も。
 俺初対面の弟の友人なのに、一緒に映画観ようって誘ってくれたし」

「ピザ食べている時、映画の話で盛り上がっていたもんな。それもあったんだろう」

「すっごく楽しかった。また亮も俺の家に遊びに来いよ」

俺は笑顔で亮に話した。
すると、亮は急に立ち止まり、真剣な表情をしていた。
俺も足を止め、亮を見つめる。

「亮?どうした?」

「あのさ、今日楽しかった・・・だけか?」

「? 楽しかったし、ピザも美味しかった」

「その・・・兄貴達と・・・兄貴の友達とも、楽しかった?」

「うん? 楽しかったよ?」

「・・・」

亮が何を言いたいのか分からない。
すると、しばらくして亮がはぁーっとため息をついた。

「蓮・・・あのさ、兄貴の友人に対して特に思う事ない?」

「え? 俺、何か変な態度とってた!?」

「違うんだ・・・その・・・ちょっとルール違反だけど、兄貴の友人・・・アルファなんだよ」

「!?!?!?」

「あと、テスト前に一緒に勉強した・・・泰昌も・・・アルファだよ」

「!?!?!?」

俺はびっくりしていた。
あんなに必死に探していたアルファが、こんなにすぐ側にいたなんて!

「蓮ってさ、首筋の疼きを俺に話してくれてたし、アルファに噛んで欲しいと言っていたけれど、普段の学校生活で、首筋が疼いているような素振り見せてなかったよな?」

「そうだな・・・そうかも・・・」

「アルファが近くにると、その衝動があるのかと思ったけれど、そんな感じでもないし。
蓮、具体的にいつ、その疼きがあるんだ?」

「えっと・・・そう言われたら・・・朝起きて、家を出て・・・電車に乗って・・・そして乗り換えの駅の・・・ホームを歩いて・・・いる・・・時!?」

「蓮のその衝動は、アルファが近くにいるからって訳でもないんだな。
そしていつも決まった場所で、その衝動が出ているんだな?
ちなみに、休みの時はどうなんだ?」

「休みの時は、そういえば・・・夢の中・・・だけ?一日中、特に何も無い・・・かも」

あれ?毎日気にしていた衝動は、実はそんなに頻度が高くなかった?そして決まった場所で疼いてた?という事は?

混乱する俺に、亮がゆっくりと話し始める。

「おそらくだけれど、蓮は毎朝、特定のアルファに会っている。
そしてそのアルファに対して・・・首筋が疼いているんじゃないか?」



俺はその場で呆然と立ち尽くした。

全く興味がないように俺の話を聞いていた亮が・・・こんなにも俺の事を考えてくれていたなんて!!!
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