上 下
2 / 24
友人にひかれている俺

2

しおりを挟む
りょう!俺はアルファの恋人を探す事にした!」

次の日の放課後。いつものように亮と2人で教室に残っている。
そして俺は、亮に向かって高らかに宣言した。

「…」

亮は何も言わない。というか俺の方を見てもいない!
いつものように携帯をいじりながら紙パックのジュースを飲んでいる。

「せめて一言でもいいから反応下さい」

「ガチャで限定キャラきた」

「マジ?どれ?」

「ほら」

「本当だ。限定のやつじゃんおめでとう」

「ども」

「亮…俺の先ほどの話聞いてくれてた?」

「英語の小テストやばかったってやつ?」

「それも言ったけど、それじゃない。俺、アルファの恋人を探す事にした!」

俺は亮に向かって改めてはっきりと言った。
亮は俺を見て、特に驚きもせず答える。

「うん。まあそうなるよな。頑張れ」

「おう!頑張る!…何を頑張ったらいいんだっけ?」

「え?恋人が欲しいんでしょ?」

「欲しいんだけど…恋人ってどうやって出来るんだっけ?」

「難しい問だな。俺は頑張れとしか言いようがない」

「え?詰んだ?えっと…そう!恋人を作るんだから、まず好きな人!好きなアルファの人を見つける!」

「どうやって?」

「えっと、どうしよう…まずアルファを探すだろ?あれ?アルファってどこにいる?誰がアルファだろう?」

れん、まさかとは思うけれど、初対面の人にアルファですか?なんて聞かないよな?」

「さっ、さすがにそれは…」

「それは?」

「…しません」

「絶対するなよ」

「うん…。でもちょっと待てよ…恋人作るのもどうすれば良いのか分からないのに、その相手がアルファじゃなかったら、首の衝動止められないじゃん!」

「首の衝動を止めるために恋人欲しいってのも、すごい動機だよな」

「大丈夫。ちゃんとイチャコラしたいとも思っている」

「開き直ってるー」

俺はゆっくりと、机に伏せた。
本当にどうすれば良いのか分からない。
今の世の中、相手がアルファかベータかオメガかを聞くのは、相手に年齢や体重を聞くよりももっとデリケートな事だ。
亮のように仲良くなった友達に聞くのは大丈夫だけれど、親しくない人に聞くのはマナー違反だ。

「今のご時世…アルファを探すのも大変なのに…出会ったとしても、相手を好きになるか、恋人になれるかも分からないし…」

「蓮…」

うつ伏せになりながり呟く俺に、亮が少し心配しているような声で話しかける。

「…やってやろうじゃん!!!難易度高い方が、やる気出るじゃん!!!」

俺は勢いよく頭を上げた。
そして俺を心配してか、顔を近づけていた亮と思いっきりぶつかった。

ほんとごめん。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

理香は俺のカノジョじゃねえ

中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。

いとおしい

ハリネズミ
BL
人も羨むくらい仲睦まじかった茅野誠と婚約者の長峰結花。 高校を卒業と同時に番う予定だった。 それなのに親友だと思ってたやつに婚約者を奪われてしまった。 いとおしい:苦しく辛い、可愛くて大切に想う

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

君の手の温もりが…

海花
BL
親同士の再婚で兄弟になった俊輔と葵。 水への恐怖症を抱える俊輔を守ろうとする葵と、そんなに葵が好きだと気付いてしまった俊輔が、様々な出会いによってすれ違い傷付き、それでも惹かれ合う…。

処理中です...