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第二話
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「おはようございます、リアン様。起きてくださいませ」
「んん~もうちょっと寝る……」
「駄目です。ほら、さっさと起きてください」
昨日は馬車に乗ってここまで来たから疲れたんだ……そんな言い訳、もちろんテオは聞かない。
シーツをばりっと剥がされる。
テオの顔が近づいてきて、俺はそっと目を閉じる。
「ん……」
くちびるが重なる。
ゆっくりとテオの舌が口内に入ってきて、俺の舌を絡めとる。
くちゅ、くちゅと部屋に水音が響いたところで俺は目を覚ました。
テオの身体をてのひらで押すとゆっくりと離れていく。
「ていうか、キスしなくていいよ! もう婚約破棄されたから!」
「ああ、すみません、つい」
六歳か七歳のときだったと思う。
アルフレッド王子にほっぺにキスをされて俺は盛大に泣いた。
好きでもない男にほっぺにキスをされても全く嬉しくない!!
自分の恋愛対象が男なのか女なのかよくわからないけど、とにかくアルフレッド王子は嫌だった。
だってアルフレッド王子は小さい頃から本当に意地が悪くて、俺はいじめられていた。
俺より王子のが悪役と言われても納得せざるを得ない。
やれリアンは背が小さいな、目が大きくて女みたいな顔だ、そんなことを言われ女性がつけるような大振りのアクセサリーを贈られてずっとつけてろと言い、どんくさいリアンは俺がいないと何もできないだろ?と、俺が嫌だというのにあちこち連れまわされていた。
俺別にどんくさくないし! 失礼なやつだ!
最初から俺はこの人に捨てられるのだ、と思っていたから俺は好きになる努力もしなかったし、アルフレッド王子との関係は悪かったと思う。
そんな俺を見かねたテオが「上書きです」といってほっぺにキスしたのが始まりだ。
それから「いつ王子がキスしてくるかわかりませんから」といって毎朝テオとくちびるにキスをするのが日課になった(結局アルフレッド王子とキスをすることはなかったけど)。
まあファーストキスを王子に奪われるくらいなら、と思って受け入れたが年々そのキスは深くなっていき、毎朝ディープキスをかまされて起きるという事態になってしまった。
ちなみに前世でも童貞で、キスさえしたことがなかった。
テオは経験豊富なのかキスがめちゃくちゃ上手くて毎回ふにゃふにゃになってしまうのは難点だ。ちょっと勃っちゃうし……。
「ふふ、抜いてあげましょうか?」
「もー! テオ、デリカシーなさすぎ! あっち行って!!」
こんなやりとりも毎日やっている。
だけどこれも今日で終わり! もう俺はアルフレッド王子に会うことはないんだから!
アルフレッド王子は会うたびに嫌味を言ってくるから、結構しんどかったんだあ。
「んん~もうちょっと寝る……」
「駄目です。ほら、さっさと起きてください」
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「ん……」
くちびるが重なる。
ゆっくりとテオの舌が口内に入ってきて、俺の舌を絡めとる。
くちゅ、くちゅと部屋に水音が響いたところで俺は目を覚ました。
テオの身体をてのひらで押すとゆっくりと離れていく。
「ていうか、キスしなくていいよ! もう婚約破棄されたから!」
「ああ、すみません、つい」
六歳か七歳のときだったと思う。
アルフレッド王子にほっぺにキスをされて俺は盛大に泣いた。
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そんな俺を見かねたテオが「上書きです」といってほっぺにキスしたのが始まりだ。
それから「いつ王子がキスしてくるかわかりませんから」といって毎朝テオとくちびるにキスをするのが日課になった(結局アルフレッド王子とキスをすることはなかったけど)。
まあファーストキスを王子に奪われるくらいなら、と思って受け入れたが年々そのキスは深くなっていき、毎朝ディープキスをかまされて起きるという事態になってしまった。
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「ふふ、抜いてあげましょうか?」
「もー! テオ、デリカシーなさすぎ! あっち行って!!」
こんなやりとりも毎日やっている。
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