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王女リリアと西の魔王
ドワーフの集落・1
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湖から降りてしばらくは森が続いていたけど、すぐに木はまばらになり、険しい山道へとさしかかる。
どうやら、ギザ山脈へ入ったということらしかった。
西の魔王の城は、このギザ山脈にあるはずだ。
「とうとう、西の魔王の城に近づいたってわけね」
山道を歩きながら、私は言った。
「うう、おっかないだねえ」
と、ジョージが震える。
ギザ山脈の山道はなかなか険しい。
アップダウンの激しい山道で、私はともかく、ホルスとジョージは、しばらく歩くごとに疲れて、こまめに休憩することになった。
何度かめの休憩の時、
「すいません……足を引っ張っちゃって……」
肩で息をしながら、ホルスは言う。
「気にしないで、どうせ急ぐってほどの話でもないんだから。それに、あんたは、思ったよりも頼りになりそうだってことが分かったしね」
「んだ、ゴブリンどもを追い払った魔法もシーサーペントの目を焼いた魔法も、なかなかのもんでげした」
私たちがホルスにそう言うと、ホルスは照れたように笑う。
しばらく休んでから、
「さあ、いきましょう、姫様」
と、ホルスが言い、立ち上がった。
「大丈夫?」
「ええ、もう平気です」
「そりゃよかった。あ、ひとつ言っておきたいんだけど」
「なんです?」
「姫様はやめてよ、リリアかリリアさんって呼んでね」
「……努力はします」
ホルスはうなずいた。
私たちは、山道をさらにしばらく歩いた。
進むほどに、道は殺風景でさびしくなっていく。
歩いてる時は、なにか出そうでおっかなかった森の中が、今となっては恋しく感じる。
岩以外はなにもないギザ山脈をしばらく歩いていくと、やがて、一人の小さなおじさんが、道ばたに座り込んでいるのが見えた。
「ありゃ、ドワーフだべ」
ジョージが言った。
ドワーフ。
大人でも身長百二十センチぐらいの人型種族だ。
ちっちゃいけど、力と耐久力は人間よりもあるし、器用でものづくりも得意だ。
「そういや、ギザ山脈にはドワーフの集落があるって話を聞いたことがあるだな」
ジョージが言う。
「へえ。でも、西の魔王がいるんじゃ苦労も多そうね」
私は少し考えたあと、道端に座り込んだドワーフのおじさんに、
「どうしたの?」
と、声をかけてみた。
「少し休んどる」
おじさんの、あんまり愛想のよくない返事が返ってくる。
「どっか行く途中なの?」
「城だ」
「お城って……ポッツンケップの?」
「ああ、ここからなら、あの城が一番近いからな」
「なんでまた、お城になんか用があるのよ」
「救援を頼みにいく」
「救援?」
「ここ最近、ドワーフの集落が、西の魔王の軍勢に襲われておる」
「ああ、それで助けがいるってわけ」
「うむ」
「だったら、残念ながら、行っても無駄足よ」
「無駄足?」
「ポッツンケップのお城は、この前、西の魔王に襲われちゃって、他に軍隊を出す余裕なんてないの」
「おい、本当か」
「間違いないわよ、私たち、そこから来たんだもん」
ドワーフのおじさんはがっかりとした顔をする。
「ま、でも、私たちに会えたのは幸いよ。私たち、西の魔王をやっつけに来たんだから」
私がそう言うと、ドワーフのおじさんは、まじまじと私たちのことを見る。
どうやら、ギザ山脈へ入ったということらしかった。
西の魔王の城は、このギザ山脈にあるはずだ。
「とうとう、西の魔王の城に近づいたってわけね」
山道を歩きながら、私は言った。
「うう、おっかないだねえ」
と、ジョージが震える。
ギザ山脈の山道はなかなか険しい。
アップダウンの激しい山道で、私はともかく、ホルスとジョージは、しばらく歩くごとに疲れて、こまめに休憩することになった。
何度かめの休憩の時、
「すいません……足を引っ張っちゃって……」
肩で息をしながら、ホルスは言う。
「気にしないで、どうせ急ぐってほどの話でもないんだから。それに、あんたは、思ったよりも頼りになりそうだってことが分かったしね」
「んだ、ゴブリンどもを追い払った魔法もシーサーペントの目を焼いた魔法も、なかなかのもんでげした」
私たちがホルスにそう言うと、ホルスは照れたように笑う。
しばらく休んでから、
「さあ、いきましょう、姫様」
と、ホルスが言い、立ち上がった。
「大丈夫?」
「ええ、もう平気です」
「そりゃよかった。あ、ひとつ言っておきたいんだけど」
「なんです?」
「姫様はやめてよ、リリアかリリアさんって呼んでね」
「……努力はします」
ホルスはうなずいた。
私たちは、山道をさらにしばらく歩いた。
進むほどに、道は殺風景でさびしくなっていく。
歩いてる時は、なにか出そうでおっかなかった森の中が、今となっては恋しく感じる。
岩以外はなにもないギザ山脈をしばらく歩いていくと、やがて、一人の小さなおじさんが、道ばたに座り込んでいるのが見えた。
「ありゃ、ドワーフだべ」
ジョージが言った。
ドワーフ。
大人でも身長百二十センチぐらいの人型種族だ。
ちっちゃいけど、力と耐久力は人間よりもあるし、器用でものづくりも得意だ。
「そういや、ギザ山脈にはドワーフの集落があるって話を聞いたことがあるだな」
ジョージが言う。
「へえ。でも、西の魔王がいるんじゃ苦労も多そうね」
私は少し考えたあと、道端に座り込んだドワーフのおじさんに、
「どうしたの?」
と、声をかけてみた。
「少し休んどる」
おじさんの、あんまり愛想のよくない返事が返ってくる。
「どっか行く途中なの?」
「城だ」
「お城って……ポッツンケップの?」
「ああ、ここからなら、あの城が一番近いからな」
「なんでまた、お城になんか用があるのよ」
「救援を頼みにいく」
「救援?」
「ここ最近、ドワーフの集落が、西の魔王の軍勢に襲われておる」
「ああ、それで助けがいるってわけ」
「うむ」
「だったら、残念ながら、行っても無駄足よ」
「無駄足?」
「ポッツンケップのお城は、この前、西の魔王に襲われちゃって、他に軍隊を出す余裕なんてないの」
「おい、本当か」
「間違いないわよ、私たち、そこから来たんだもん」
ドワーフのおじさんはがっかりとした顔をする。
「ま、でも、私たちに会えたのは幸いよ。私たち、西の魔王をやっつけに来たんだから」
私がそう言うと、ドワーフのおじさんは、まじまじと私たちのことを見る。
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