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第13章 街道の家
帰り道
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五郎、サリー、ルーの3人は街道を歩いていた。
すでに夜である。
冒険者ギルドの仕事を――野盗団の壊滅をすませた帰りだった。
野盗団ごときはもちろん相手ではなく、それに手間取ることはなかった。
五郎たちは、野盗団の襲っていた村では宿を取らず、ガレンドへと歩き出した。
まだそれほど日も落ちておらず、ガレンドの街から遠い場所でもなかったので、特に宿場を探さずとも帰りつけるだろうと思ったのだ。
ところが、思いのほか日の沈むのが早かった。
また、少しばかり道中を楽しみすぎた。
街道のさわやかな風や花々、また見える風景が心を洗うものだったので、それを眺めながらのゆっくりとした歩みだったのである。
そうして、今、五郎たちは夜道を歩いていた。
サリーの出した光の玉が、夜道を照らしている。
「これは帰り着いた時が面倒になるかもしれんな」
と五郎が言った。
「門が閉まっちゃてるかもしれませんね」
と、サリーが答える。
ガレンドの街は城壁に囲まれており、出入り口の門は、一定の時間になると閉まってしまう。
「しれない、ではない。間違いなく閉まっている」
と、ルーは言った。
五郎は、
「ま、いざとなれば野宿でもすればいい」
と答え、しかし、
「とはいえ、もう少し歩こう。どこかに泊まれるかもしれん」
とも言った。
さらにしばらく歩いた。
遠くに灯りが見えた。
(おっ)
と五郎は思い、少しばかり早足になる。
自分はいいが、サリーやルーに野宿をさせるのはできれば避けたかったのである。
灯りがあるなら、そこに泊めてもらえるのが最上だと思った。
灯りのそばに近づくと、それはやはり一軒の家だった。
五郎は、家のドアをノックした。
すると、ぎいという音がし、1人の老婆が現れた。
「なにか御用ですかね」
と老婆が言う。
「すまんが、泊めてくれないか。宿が見つからなくて困っていた。もちろん金は相場以上に払う」
と、五郎が言った。
老婆はしばらく考えたあと、
「どうぞ、どうぞ。金をくれるというならお断りもしません……」
と言い、五郎たち3人を中へと案内する。
すでに夜である。
冒険者ギルドの仕事を――野盗団の壊滅をすませた帰りだった。
野盗団ごときはもちろん相手ではなく、それに手間取ることはなかった。
五郎たちは、野盗団の襲っていた村では宿を取らず、ガレンドへと歩き出した。
まだそれほど日も落ちておらず、ガレンドの街から遠い場所でもなかったので、特に宿場を探さずとも帰りつけるだろうと思ったのだ。
ところが、思いのほか日の沈むのが早かった。
また、少しばかり道中を楽しみすぎた。
街道のさわやかな風や花々、また見える風景が心を洗うものだったので、それを眺めながらのゆっくりとした歩みだったのである。
そうして、今、五郎たちは夜道を歩いていた。
サリーの出した光の玉が、夜道を照らしている。
「これは帰り着いた時が面倒になるかもしれんな」
と五郎が言った。
「門が閉まっちゃてるかもしれませんね」
と、サリーが答える。
ガレンドの街は城壁に囲まれており、出入り口の門は、一定の時間になると閉まってしまう。
「しれない、ではない。間違いなく閉まっている」
と、ルーは言った。
五郎は、
「ま、いざとなれば野宿でもすればいい」
と答え、しかし、
「とはいえ、もう少し歩こう。どこかに泊まれるかもしれん」
とも言った。
さらにしばらく歩いた。
遠くに灯りが見えた。
(おっ)
と五郎は思い、少しばかり早足になる。
自分はいいが、サリーやルーに野宿をさせるのはできれば避けたかったのである。
灯りがあるなら、そこに泊めてもらえるのが最上だと思った。
灯りのそばに近づくと、それはやはり一軒の家だった。
五郎は、家のドアをノックした。
すると、ぎいという音がし、1人の老婆が現れた。
「なにか御用ですかね」
と老婆が言う。
「すまんが、泊めてくれないか。宿が見つからなくて困っていた。もちろん金は相場以上に払う」
と、五郎が言った。
老婆はしばらく考えたあと、
「どうぞ、どうぞ。金をくれるというならお断りもしません……」
と言い、五郎たち3人を中へと案内する。
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