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しおりを挟むとある伯爵家で行われた茶会にて。
青磁の人形と言われる美しい王子が参加した、まだ7歳だが凛とした佇まいは王族の威厳を放っていた。
同じ年頃の貴族令嬢は挙って挨拶に向かった。
只一人無関心な小娘を除いて。
大きなケーキスタンドに釘付けの少女がぴょんぴょんと跳ねる。
「お父様!あの天辺のピンクの菓子を取ってくださいな!」
「はいはい、ジェーンはお菓子が好きだね、でもこれは一番下から食べるのが礼儀なんだよ?」
「えぇ?そんなに食べられないです、だったらお父様が下二段を食べてください」
我儘を言う幼い娘にデレデレな父親は「内緒だよ」と言って天辺の菓子を取る。
ベンス子爵家3女ジェーンは6歳になった。
まだまだ恋より食い気と遊びに夢中だ、王子にはまったく興味を示さない。
だが本人の心とは裏腹に、王子がこちらへやってきた。
「初めましてボクはファルコ、第二王子だよ。キミが聖女ジェーンかな?」
「んぐ?……もぐもぐ……。」
急に声をかけられて口の中が処理できないジェーンは固まる。
「申し訳ないです殿下、さきほど娘は菓子を食べたところでして」
「ん?そうかそれは悪いことをしたね、そこのメイド、彼女に水をあげてくれ」
菓子を流して一息ついたジェーンは畏まって礼をとった。
「初めまして、ベンス子爵家の三女ジェーンでございます。5歳の鑑定式で畏れ多くも聖女認定されました」
「ふふ、ほんとうは久しぶりなんだよ。ボクのジーン」
「え?」
ボクの顔を覚えてないかい?と少し寂しそうな顔でジェーンを見つめている。
少し青白いけど、美しい顔だとジェーンは思う。
「ええーと……私の名前はジェーンです、ジーンは亡くなった従姉の名前で」
「……そっかそれはすまない、逆さ虹に誓ってボ……俺は忘れなかった」
「え!?」
【逆さ虹に誓って】
それを聞いたジェーンが瞠目して涙を流した。
幸せなあの日々がつぎつぎと蘇って、彼女を甘く切なくした。
「わ、私の天使……!?で、でもなんでここに、どうして人間に!?」
「ふぅ……思い出した?神と約束を違えた俺は堕とされたんだ、人間になって今度こそキミを幸せにしてこいってね」
そう言った元天使ファルコは満面の笑みを浮かべてこう言った。
「愛しい聖女ジーン様、俺に生涯愛する栄誉を与えてください。婚約して?」
「はい、喜んで!」
END
青磁の人形と言われる美しい王子が参加した、まだ7歳だが凛とした佇まいは王族の威厳を放っていた。
同じ年頃の貴族令嬢は挙って挨拶に向かった。
只一人無関心な小娘を除いて。
大きなケーキスタンドに釘付けの少女がぴょんぴょんと跳ねる。
「お父様!あの天辺のピンクの菓子を取ってくださいな!」
「はいはい、ジェーンはお菓子が好きだね、でもこれは一番下から食べるのが礼儀なんだよ?」
「えぇ?そんなに食べられないです、だったらお父様が下二段を食べてください」
我儘を言う幼い娘にデレデレな父親は「内緒だよ」と言って天辺の菓子を取る。
ベンス子爵家3女ジェーンは6歳になった。
まだまだ恋より食い気と遊びに夢中だ、王子にはまったく興味を示さない。
だが本人の心とは裏腹に、王子がこちらへやってきた。
「初めましてボクはファルコ、第二王子だよ。キミが聖女ジェーンかな?」
「んぐ?……もぐもぐ……。」
急に声をかけられて口の中が処理できないジェーンは固まる。
「申し訳ないです殿下、さきほど娘は菓子を食べたところでして」
「ん?そうかそれは悪いことをしたね、そこのメイド、彼女に水をあげてくれ」
菓子を流して一息ついたジェーンは畏まって礼をとった。
「初めまして、ベンス子爵家の三女ジェーンでございます。5歳の鑑定式で畏れ多くも聖女認定されました」
「ふふ、ほんとうは久しぶりなんだよ。ボクのジーン」
「え?」
ボクの顔を覚えてないかい?と少し寂しそうな顔でジェーンを見つめている。
少し青白いけど、美しい顔だとジェーンは思う。
「ええーと……私の名前はジェーンです、ジーンは亡くなった従姉の名前で」
「……そっかそれはすまない、逆さ虹に誓ってボ……俺は忘れなかった」
「え!?」
【逆さ虹に誓って】
それを聞いたジェーンが瞠目して涙を流した。
幸せなあの日々がつぎつぎと蘇って、彼女を甘く切なくした。
「わ、私の天使……!?で、でもなんでここに、どうして人間に!?」
「ふぅ……思い出した?神と約束を違えた俺は堕とされたんだ、人間になって今度こそキミを幸せにしてこいってね」
そう言った元天使ファルコは満面の笑みを浮かべてこう言った。
「愛しい聖女ジーン様、俺に生涯愛する栄誉を与えてください。婚約して?」
「はい、喜んで!」
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