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ベンス一族筆頭にしてベンス商会の会頭、ノーマン・ベンス侯爵が伯爵邸へ訪問した。そして、もうひとりジーンの叔父ルノア・ベンス子爵を伴っている。
「お爺様、叔父様。こんな田舎へようこそ」
「やぁ、ジーン元気そうで良かった。茶畑のほうも順調そうだ。」
ジーンはにっこり微笑み、二人を迎え入れた。
通したサロンには、用意した新茶の香が漂っていた。
「今年の新茶の試飲を用意しました、いつもの紅茶と東国の飲み方である緑茶です」
「ふむ、青臭いがそれが心地良いな」
ノーマンは玉露という茶を一口含む。
「なんと、爽やかな甘味を感じる」
「ほんとですね、慣れは必要でしょうが広める価値はある」
祖父と叔父の良い反応に気を良くしたジーンは本題に入った。
二つの帳簿をテーブルに並べて説明する。
「やはり不正がありました、二重帳簿ですわ。ベンス一族で三つに分けた茶畑のうち第三地区が我が家の管轄です、だけれど他に比べて1~2割ほど売り上げが低かった理由です」
「うむ、見分しよう」
二つの帳簿を見比べる祖父の顔が厳めしく歪んで行った。
「会計士も抱き込んでおるな、愚かな長男め」
「レイフ兄さんには呆れる、ほとんど夫人の贅沢に使ったんだろう?」
「はい、父は母の言いなりです。それなりに事業を頑張ってはいましたが不正をしたいが為だったなんて」
茶畑を愛して仕事している領民に申し訳ないとジーンは項垂れる。
「そう気落ちするな、これからはジーンが当主として勤めてくれるのであろう期待している」
「はい、お爺様。緑茶の販売と菓子部門も立ち上げたいと考えてます」
ジーンは茶葉を利用した製菓の話をした。
「これまで廃棄になっていた2級茶葉の再利用に菓子の製造部門を設け、父が削いだ財の補填に当てたいと思っています」
「ほう、なるほどな良い着眼点だな、ルノアも手を貸してやれ販路拡大にはお前が適任だ」
「父上は人使いが荒いなー、まあ可愛い姪のためだ、人肌脱ごう」
「ありがとうございます、お爺様、叔父様」
当面は小規模の製菓部を運営していく方針で話が盛り上がった時だった。
執事が困った顔でジーンに報告した。
「え、ロンパルがきたですって?今更なんの用かしら」
「お爺様、叔父様。こんな田舎へようこそ」
「やぁ、ジーン元気そうで良かった。茶畑のほうも順調そうだ。」
ジーンはにっこり微笑み、二人を迎え入れた。
通したサロンには、用意した新茶の香が漂っていた。
「今年の新茶の試飲を用意しました、いつもの紅茶と東国の飲み方である緑茶です」
「ふむ、青臭いがそれが心地良いな」
ノーマンは玉露という茶を一口含む。
「なんと、爽やかな甘味を感じる」
「ほんとですね、慣れは必要でしょうが広める価値はある」
祖父と叔父の良い反応に気を良くしたジーンは本題に入った。
二つの帳簿をテーブルに並べて説明する。
「やはり不正がありました、二重帳簿ですわ。ベンス一族で三つに分けた茶畑のうち第三地区が我が家の管轄です、だけれど他に比べて1~2割ほど売り上げが低かった理由です」
「うむ、見分しよう」
二つの帳簿を見比べる祖父の顔が厳めしく歪んで行った。
「会計士も抱き込んでおるな、愚かな長男め」
「レイフ兄さんには呆れる、ほとんど夫人の贅沢に使ったんだろう?」
「はい、父は母の言いなりです。それなりに事業を頑張ってはいましたが不正をしたいが為だったなんて」
茶畑を愛して仕事している領民に申し訳ないとジーンは項垂れる。
「そう気落ちするな、これからはジーンが当主として勤めてくれるのであろう期待している」
「はい、お爺様。緑茶の販売と菓子部門も立ち上げたいと考えてます」
ジーンは茶葉を利用した製菓の話をした。
「これまで廃棄になっていた2級茶葉の再利用に菓子の製造部門を設け、父が削いだ財の補填に当てたいと思っています」
「ほう、なるほどな良い着眼点だな、ルノアも手を貸してやれ販路拡大にはお前が適任だ」
「父上は人使いが荒いなー、まあ可愛い姪のためだ、人肌脱ごう」
「ありがとうございます、お爺様、叔父様」
当面は小規模の製菓部を運営していく方針で話が盛り上がった時だった。
執事が困った顔でジーンに報告した。
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