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身の振り方
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「メル!やっぱり俺にはお前が必要なのだとわかった!喜べ再び婚約してやるぞ!」
「え、なに!?」
突然の事に彼女は遅れを取った、腕にはがっちりと男の腕が纏わりつき放しはしないという意思が見てとれた。
メルチェラに付いていた侍女は悲鳴を上げて「誰か!無体を働く狼藉ものが」と騒ぐ。
「カルロ……貴方ねぇ」
隙を衝かれたとはいえ相手は伯爵家だ、しかも相手が悪すぎた。彼女は腕を一ひねりして難を逃れた。普段の彼女を知る者ならばわかって当然なのだ。愚かなカルロは乱暴を働いた手を反対へ押し上げれて悲鳴を上げる。
「い、痛いッ!なんて、ら、乱暴な!許されないぞイテテッ」
「乱暴を働いたのはどちらかしら、そこのボンヤリしてないで不届き者を捕えなさい」
「は、はい!ただいま」
常駐していた騎士に難なく捕縛されたカルロはギャァギャァと喚くばかりの木偶人形となっていた。あまりに煩いのでメルチェラの魔法によって口を塞がれた。
そのうちに報せを聞いたらしいベルナディノが駆けつけて大事はないかと騒ぎ立てた。
「大丈夫ですよ、相手はあのように」
「あ、あぁ肝が冷えたよ、普段から護衛をつけないこと失念していた」
「あら、私には護衛など必要ではありませんが」
「そうは言っても……いや、済まない今後は一人きりにしないように目を付けないと」
「え?」
彼はスゥと佩いていた長剣をカルロに向けて宣う。
「私が育てた最愛の歌姫に無体を働くのか狼藉者め」
「デ、ディノ?」
声を塞がれたままの彼は転げながら逃げおうせようと尻餅をつき、無様にもその地に染みを作った。屈強そうな騎士が凄く嫌そうにしている。
***
「どうして我が家の名を穢すことばかり……もう我慢ならない」
学園卒業を待たずして排斥された彼カルロは学園を追われた、身分は平民に落ちたとはいえ在籍は保留になっていた。最期の慈悲を無駄にしたのである。
「しかも相手は胡蝶を賜ったというリーヴァ令嬢、はあ、我が家は子爵家から男爵におちた。それだけで済んだのが奇跡的だ。今後はもう向き合う事はなかろうて、さらば」
「え、父上?あのどういう……」
「まだ理解していないのか、お前はとうに貴族ではないのだ。執事よ、その薄汚いヤツを追い出せ」
「はい、旦那様」
いうが早いか平民カルロは粗末な身なりのままに追い出された。堅牢な門扉は二度と開かれることはない。
茫然とするカルロには何が何だか理解がおいつきはしない。だが、現実は待ってはくれはしなかった。
「ま、待って……お、俺は貴族じゃないって?え、ええ……それじゃ伯爵家に婿入りは……身分は?俺は一体……」
縋る思いで門兵を見たが彼はただの平民カルロを見ようともしない。
「なんで!?俺は歌姫にも嫌われてしまってどこにも行き場がないのに!うあぁあああああ!」
問題のカルロの一件を聞かされたメルチェラは、フゥとため息を吐いて漸く片がついたのだと胸をなでおろす。
「やっとおバカさんを放逐されたのね、長すぎた……彼の家は甘いから」
「左様でございます、さぁこれで心置きなく歌姫の仕事と王子妃教育が」
「ま、待って!王子妃は余計ではなくって?」
「なにをおっしゃいますか。連日のように花や贈り物が届いておりますでしょう?」
「それはそうだけど……了承はしていないもの」
山積みにされた贈り物を前に困惑する、メルチェラは俯瞰で己のことを見つめるのだった。はたして、このまま輿入れして良いものかと。
「あの方は身分はどうされるのだろう、いずれは王家を離れるのかしら?」
肝心なことを聞き忘れていたメルチェラは自分の身の振り方に疑問を抱くのである。
「え、なに!?」
突然の事に彼女は遅れを取った、腕にはがっちりと男の腕が纏わりつき放しはしないという意思が見てとれた。
メルチェラに付いていた侍女は悲鳴を上げて「誰か!無体を働く狼藉ものが」と騒ぐ。
「カルロ……貴方ねぇ」
隙を衝かれたとはいえ相手は伯爵家だ、しかも相手が悪すぎた。彼女は腕を一ひねりして難を逃れた。普段の彼女を知る者ならばわかって当然なのだ。愚かなカルロは乱暴を働いた手を反対へ押し上げれて悲鳴を上げる。
「い、痛いッ!なんて、ら、乱暴な!許されないぞイテテッ」
「乱暴を働いたのはどちらかしら、そこのボンヤリしてないで不届き者を捕えなさい」
「は、はい!ただいま」
常駐していた騎士に難なく捕縛されたカルロはギャァギャァと喚くばかりの木偶人形となっていた。あまりに煩いのでメルチェラの魔法によって口を塞がれた。
そのうちに報せを聞いたらしいベルナディノが駆けつけて大事はないかと騒ぎ立てた。
「大丈夫ですよ、相手はあのように」
「あ、あぁ肝が冷えたよ、普段から護衛をつけないこと失念していた」
「あら、私には護衛など必要ではありませんが」
「そうは言っても……いや、済まない今後は一人きりにしないように目を付けないと」
「え?」
彼はスゥと佩いていた長剣をカルロに向けて宣う。
「私が育てた最愛の歌姫に無体を働くのか狼藉者め」
「デ、ディノ?」
声を塞がれたままの彼は転げながら逃げおうせようと尻餅をつき、無様にもその地に染みを作った。屈強そうな騎士が凄く嫌そうにしている。
***
「どうして我が家の名を穢すことばかり……もう我慢ならない」
学園卒業を待たずして排斥された彼カルロは学園を追われた、身分は平民に落ちたとはいえ在籍は保留になっていた。最期の慈悲を無駄にしたのである。
「しかも相手は胡蝶を賜ったというリーヴァ令嬢、はあ、我が家は子爵家から男爵におちた。それだけで済んだのが奇跡的だ。今後はもう向き合う事はなかろうて、さらば」
「え、父上?あのどういう……」
「まだ理解していないのか、お前はとうに貴族ではないのだ。執事よ、その薄汚いヤツを追い出せ」
「はい、旦那様」
いうが早いか平民カルロは粗末な身なりのままに追い出された。堅牢な門扉は二度と開かれることはない。
茫然とするカルロには何が何だか理解がおいつきはしない。だが、現実は待ってはくれはしなかった。
「ま、待って……お、俺は貴族じゃないって?え、ええ……それじゃ伯爵家に婿入りは……身分は?俺は一体……」
縋る思いで門兵を見たが彼はただの平民カルロを見ようともしない。
「なんで!?俺は歌姫にも嫌われてしまってどこにも行き場がないのに!うあぁあああああ!」
問題のカルロの一件を聞かされたメルチェラは、フゥとため息を吐いて漸く片がついたのだと胸をなでおろす。
「やっとおバカさんを放逐されたのね、長すぎた……彼の家は甘いから」
「左様でございます、さぁこれで心置きなく歌姫の仕事と王子妃教育が」
「ま、待って!王子妃は余計ではなくって?」
「なにをおっしゃいますか。連日のように花や贈り物が届いておりますでしょう?」
「それはそうだけど……了承はしていないもの」
山積みにされた贈り物を前に困惑する、メルチェラは俯瞰で己のことを見つめるのだった。はたして、このまま輿入れして良いものかと。
「あの方は身分はどうされるのだろう、いずれは王家を離れるのかしら?」
肝心なことを聞き忘れていたメルチェラは自分の身の振り方に疑問を抱くのである。
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