59 / 82
新天地篇
モフモフ空を飛ぶ
しおりを挟む
約四分の一を梳き終えたボクはアリエラの様子を覗う。
巨大な猫に成り下がった精霊はいまも愉快な喉音を立てている、なんか言えよ!
ゴロロンと鳴らすばかりなので櫛の手入れと毛玉の山を処理しよう。よくまぁこんなに抜け毛を溜めて置いたものだと呆れる。
「この毛玉は貰っていいすか?」
アクティが獣臭が凄いそれを欲しがった、お前の趣味がわからんな。
「野性的なこのゴワゴワがそそるっすよ!わかんないすかね!?」
うん、わかんない。
ヤシの実の外皮のようなそれはタワシ材だと思うんだ……。
毛玉を回収したアクティはまさにタワシを作り上げて、クロノスバッグから解放された馬たちへと向かう。
すると馬の身体を丁寧にマッサージを始めた。
「なるほど!そう使うとは想定外だ」
「ふむ、馬好きのアクティにしか閃かない事ですね。勉強になる」
クソまじめなマホガニーまで感心していた、ボクも手伝いに行きたいな。
そう思って林檎を生やそうと馬のほうへ行こうとしたら、大きな不満声が阻止する。
「我との取引を放棄するか?ドリュアス」
「えー?アリエラが転寝するから悪いと思う、それに取引というけど契約完了してないでしょ?」
「ぐぬぬ……策士め」
策もクソもないと思うんだが。
「まぁいいや、シルフィード様を呼んでくれるのならトリミングの続きをするよ」
「……我が主を呼ぶなど不敬はできぬ、貴殿を背に乗せ会いに行くならかまわぬぞ。だから是非に鬣をだな」
「よし!約束だぞ、無事シルフィード様に会えたらトリミングしてやる」
「んな!?」
風の精霊王に会ってからと言われたアリエラは少々不満なようだが、手入れ終了後に逃げられても困る。
「そうガッカリしないで、約束の後は必ずトリミングするから例え協力してもらえなくてもね。それにモフモフしたいし」
「もふもふ……それはそんなに良いものか?我の毛は固いと思うが」
それは丁寧に梳いて洗浄すれば改善するはずだよ、後はナッツオイルでしなやかにする。
あらかた掻い摘んで説明すればアリエラは「よかろう」と許可をくれた。
絶対モフりまくってやる!
それからアリエラは目を閉じて主の気配を探ると言った。
風を操り匂いを嗅ぎ出した、大きな鼻をヒクヒクさせる様がなにか可愛い。
「よし、見つけたぞ。ここより西へ行った小さな離島にいらっしゃる」
「ここからどれくらい?」
アリエラの見立てではこの地から二日ほどの距離だという、飛んで二日ということはかなり遠い。
転移をすすめたがシルフィードは常に結界を張っているらしくダメだと言われた。
ちぇっ!
「側近の我にしか結界内へは侵入が許されない、我が背にのれば可能だ。早く乗れ」
「うん、わかった。でもこの子も一緒にいい?クルミ妖精のグルドっていうんだ」
懐で寝腐っていた小太りの獣をみせれば、アリエラは何故か酷く驚いた顔をした。
なんなの?
「うむ、良かろう一緒に乗せて行こう。あの方はひとつ所に留まらんからな急ぐぞ」
「うん、よろしくね」
彼の大きな背にまたがる、ゴツゴツした背骨が尻に当たって少し痛いが我慢だ。
銀の針のような毛がチクチクする、それを撫でれば合図と受け取ったアリエラは大翼を広げた。
「ふぎゃぁ!?」
急激に飛び上がるものだから浮遊感に襲われて悲鳴をあげてしまった。
下方では皆がこちらを見上げていた、アクティが羨ましいと言っている。お前はブレないね。
ラミンが大きく手を振って、その横でエリマは微笑んでいる。マホガニーは渋面だった。一番後ろにいたのにメイペルは尻もちをついていた。
「お早いお帰りを」
「うん、行ってきます!留守番をお願いね」
銀の獅子は西方向へ旋回すると大翼を優雅に上下させて空を駆ける。
思ったほどの荒風は当たらないのには拍子抜けをした。
「乗り心地は悪くないね、向かい風に落とされるかと警戒をしてたのに」
「我は風の精霊だ、客人を振り落とすようなヘマをするものか」
鞍代わりに蔦を這わせようとしたら「我は馬ではない擽ったいからやめろ」とアリエラが怒った。
そうか馬扱いして悪かったよ。
移動二日と聞いていたので大地へ降りてキャンプかと思えば、そのまま滑空するとアリエラは言う。
「空を駆ける精霊が何故わざわざ地へ降りて寝る必要がある?雲の上で寝るぞ。」
キャンプ1日目、雲の上とやらに到着したボク達。
恐々と足を下ろすとなるほど突き抜けたりはしなかった。なんとも不思議だ。
「雲とはてっきり水蒸気の塊かと思ってたけど……」
「そういう雲とは違うのだよ、地を這い生きるものは知らんだろうがこうして固定された雲が点在するのだ」
そう言われても納得はできないよ、足元の雲はひんやり冷たい綿花のようだった。
ふわふわなので一見はモフれそうだが感触はともかく凄く冷たいので安らげそうはない。じつに残念だ。
「我の近くへ来い、暖気を作ってやろう」
「ほんと!?ありがとう凍えて一晩過ごすかと思ったよ」
アリエラの周辺2mほどだけが温かい空気に包まれていた、とても良い温もりだ。
寝そべる彼の腹近くでボクも寝転ぶ、グルドは懐から出てきてアリエラの背で寝ると言った。
「このリスもどきは良く寝るのだな」
「うん、旅に出てからずっと眠そうなんだ。無理をさせてるのかもしれない」
アリエラは何事か話そうとしたが口ごもる。
獣型精霊はやたら秘密を持ちたがる性質なのか?
歯がゆい気持ちだったが心地良い温もりのせいでボクは瞼が閉じてしまった。
翌日気が付いた時にはすでにアリエラの背の上だった。
巨大な猫に成り下がった精霊はいまも愉快な喉音を立てている、なんか言えよ!
ゴロロンと鳴らすばかりなので櫛の手入れと毛玉の山を処理しよう。よくまぁこんなに抜け毛を溜めて置いたものだと呆れる。
「この毛玉は貰っていいすか?」
アクティが獣臭が凄いそれを欲しがった、お前の趣味がわからんな。
「野性的なこのゴワゴワがそそるっすよ!わかんないすかね!?」
うん、わかんない。
ヤシの実の外皮のようなそれはタワシ材だと思うんだ……。
毛玉を回収したアクティはまさにタワシを作り上げて、クロノスバッグから解放された馬たちへと向かう。
すると馬の身体を丁寧にマッサージを始めた。
「なるほど!そう使うとは想定外だ」
「ふむ、馬好きのアクティにしか閃かない事ですね。勉強になる」
クソまじめなマホガニーまで感心していた、ボクも手伝いに行きたいな。
そう思って林檎を生やそうと馬のほうへ行こうとしたら、大きな不満声が阻止する。
「我との取引を放棄するか?ドリュアス」
「えー?アリエラが転寝するから悪いと思う、それに取引というけど契約完了してないでしょ?」
「ぐぬぬ……策士め」
策もクソもないと思うんだが。
「まぁいいや、シルフィード様を呼んでくれるのならトリミングの続きをするよ」
「……我が主を呼ぶなど不敬はできぬ、貴殿を背に乗せ会いに行くならかまわぬぞ。だから是非に鬣をだな」
「よし!約束だぞ、無事シルフィード様に会えたらトリミングしてやる」
「んな!?」
風の精霊王に会ってからと言われたアリエラは少々不満なようだが、手入れ終了後に逃げられても困る。
「そうガッカリしないで、約束の後は必ずトリミングするから例え協力してもらえなくてもね。それにモフモフしたいし」
「もふもふ……それはそんなに良いものか?我の毛は固いと思うが」
それは丁寧に梳いて洗浄すれば改善するはずだよ、後はナッツオイルでしなやかにする。
あらかた掻い摘んで説明すればアリエラは「よかろう」と許可をくれた。
絶対モフりまくってやる!
それからアリエラは目を閉じて主の気配を探ると言った。
風を操り匂いを嗅ぎ出した、大きな鼻をヒクヒクさせる様がなにか可愛い。
「よし、見つけたぞ。ここより西へ行った小さな離島にいらっしゃる」
「ここからどれくらい?」
アリエラの見立てではこの地から二日ほどの距離だという、飛んで二日ということはかなり遠い。
転移をすすめたがシルフィードは常に結界を張っているらしくダメだと言われた。
ちぇっ!
「側近の我にしか結界内へは侵入が許されない、我が背にのれば可能だ。早く乗れ」
「うん、わかった。でもこの子も一緒にいい?クルミ妖精のグルドっていうんだ」
懐で寝腐っていた小太りの獣をみせれば、アリエラは何故か酷く驚いた顔をした。
なんなの?
「うむ、良かろう一緒に乗せて行こう。あの方はひとつ所に留まらんからな急ぐぞ」
「うん、よろしくね」
彼の大きな背にまたがる、ゴツゴツした背骨が尻に当たって少し痛いが我慢だ。
銀の針のような毛がチクチクする、それを撫でれば合図と受け取ったアリエラは大翼を広げた。
「ふぎゃぁ!?」
急激に飛び上がるものだから浮遊感に襲われて悲鳴をあげてしまった。
下方では皆がこちらを見上げていた、アクティが羨ましいと言っている。お前はブレないね。
ラミンが大きく手を振って、その横でエリマは微笑んでいる。マホガニーは渋面だった。一番後ろにいたのにメイペルは尻もちをついていた。
「お早いお帰りを」
「うん、行ってきます!留守番をお願いね」
銀の獅子は西方向へ旋回すると大翼を優雅に上下させて空を駆ける。
思ったほどの荒風は当たらないのには拍子抜けをした。
「乗り心地は悪くないね、向かい風に落とされるかと警戒をしてたのに」
「我は風の精霊だ、客人を振り落とすようなヘマをするものか」
鞍代わりに蔦を這わせようとしたら「我は馬ではない擽ったいからやめろ」とアリエラが怒った。
そうか馬扱いして悪かったよ。
移動二日と聞いていたので大地へ降りてキャンプかと思えば、そのまま滑空するとアリエラは言う。
「空を駆ける精霊が何故わざわざ地へ降りて寝る必要がある?雲の上で寝るぞ。」
キャンプ1日目、雲の上とやらに到着したボク達。
恐々と足を下ろすとなるほど突き抜けたりはしなかった。なんとも不思議だ。
「雲とはてっきり水蒸気の塊かと思ってたけど……」
「そういう雲とは違うのだよ、地を這い生きるものは知らんだろうがこうして固定された雲が点在するのだ」
そう言われても納得はできないよ、足元の雲はひんやり冷たい綿花のようだった。
ふわふわなので一見はモフれそうだが感触はともかく凄く冷たいので安らげそうはない。じつに残念だ。
「我の近くへ来い、暖気を作ってやろう」
「ほんと!?ありがとう凍えて一晩過ごすかと思ったよ」
アリエラの周辺2mほどだけが温かい空気に包まれていた、とても良い温もりだ。
寝そべる彼の腹近くでボクも寝転ぶ、グルドは懐から出てきてアリエラの背で寝ると言った。
「このリスもどきは良く寝るのだな」
「うん、旅に出てからずっと眠そうなんだ。無理をさせてるのかもしれない」
アリエラは何事か話そうとしたが口ごもる。
獣型精霊はやたら秘密を持ちたがる性質なのか?
歯がゆい気持ちだったが心地良い温もりのせいでボクは瞼が閉じてしまった。
翌日気が付いた時にはすでにアリエラの背の上だった。
171
お気に入りに追加
3,389
あなたにおすすめの小説
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる