ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)

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ドリュアスの秘密

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僕の根はどこにでも侵入して網目状に張りつく。
便利だけど時々嫌な噂を聞いてしまったり、偶然拾った要らない情報に悩むんだ。


「だけど今回は僥倖かな」
「左様ですね、性根が腐った者は一生治りません。坊ちゃんは優しすぎなんです、過ぎた甘さは世に通じないです。優しさは慈悲とは異なるものです。」
能面顔の執事が諌言する、コイツに名はない。

「ふうん、お前に名を与えてないはずだけど自我が育ちすぎてない?」
「さて、私にもわかりません。先代がなにかしたのでしょう」
「母が……」

人形のような面相の執事、喜怒哀楽は変わらず乏しい。だが時折、人間臭い言動を垣間見せる。
メイドも二人いるが彼女らはもっと感情がない。
彼らは母が造った……いいや、生み出した分身のような存在。

ある意味兄弟なのかな?
もし名を付けたら、愛着のようなものが芽生えるんだろうか。
仮初の家族……考えておこう。


「んん……。明日は迷惑な客が5人くるようだ、どう持て成そうか?」
「お任せいただいても?」
一瞬、冷たい笑みを浮かべて執事が問う。

「いいよ、ただし証言できる程度に嬲る…オホン!歓待しといて?僕はそうだなあの薬を作っておこうかな」
「御意」

***

翌朝、何食わぬ顔で食卓についた父は当たり障りない話をした。一応これでも家族だ、朝食だけは共にするようにしている。

「ところで離れの暮らしはどうです?」
「あぁ、悪くないぞ。ただ伯爵の父の家にしては少々手狭であるな」
物乞いのような卑しい笑みを僕に向ける、反吐が出そうだ。食欲が失せてフォークを置いた。

2択を迫ったあの夜、後妻と義妹は使用人として働くことを選んだ。
とうぜん母屋には置いておけないので、小さな離れ屋敷を作って与えた。
庶民の家よりだいぶ立派な屋敷だ、温情に感謝して欲しいくらいだが。

「ほお、狭いですか。ならば余計なモノがいちゅうを捨てれば宜しい、借金返済も楽になりましょう」
嫌味たっぷりに返せば激昂するクズ。

「き、貴様!私の家族を愚弄するか!あれは妻と娘なんだぞ、それなのに使用人などの仕事させて」
「それが貴方方が選んだ生き方です、不服ならば今すぐ駆除しますが?」
ユラリと数本のツタを伸ばして威嚇すれば、クズは青くなって陳謝する。
食いしばって悔し気に睨んでくるあたり反省はしてない。

昨夜再会した悪友を味方につけたせいで図に乗っているようだ。
なにも知らないと思っている哀れなクズ、これの血が僕に流れているのかと今更ながらガッカリした。

でもコイツと僕は全く似ていない、母と瓜二つな見目は違和感を覚える。
いくらなんでも何処かしら似た部分があるはずなのに。
出生の秘密を調べる必要がありそうだ、まだ10歳の僕はが欠如している。

母上の部屋を探ってみようか。
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