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腹黒側室のアボリーヌ・バルゲリー
しおりを挟むアボリーヌ・バルゲリー第五側室は己の地位に苛立っていた。
「何故大国バルゲリーの私が第四なのよ!8歳の小娘が第三だと言うのに!」
華やかな彼女はその容姿に絶対的自信があった、皇太子をあの手この手で誑かす算段でいたのだ。ところが蓋を開けてみれば”第五”である、これではただの人質に過ぎない。
「くぅ……世継ぎを腹に仕込めるのは第二までと決まっているわ、どうにかしないと私がワザワザ側室になったことが無駄よ」
後宮に渡って来るのは週二回のみ、だがそれすらも行われている様子はない。噂では「正妃様だけを愛している」と聞く。他の妃たちは「来ないのならばそれで良い」と呑気な事を言っている。
「どうしてですの!皆様は落ち着き過ぎですわ!」
第一側室の茶会の席で苛立ち任せにそう宣ったアボリーヌ・バルゲリーは茶器をカシャンと鳴らしていきり立つ。それを見た第一側室マリアネ・オレリーは「はしたない」と苦言を呈した。
「貴女、何か勘違いをしているのではなくて?先代ならばともかく今代のマテイビルアン様は御手付きをなさらないのですわ」
「ですが、私は我が国の未来の為に」
尚も煩く騒ぐアボリーヌに「出て行って」と言うマリアネであった。
「御手付きだからと優遇される時代ではないというのに……まったく」
「そうですよねぇ、白い結婚で終われば万々歳ですのに、何が気にらないのか」
第二側室はそう言って笑い転げる。第三に至っては「お茶のおかわり~」と言って幼さない顔をする。第四は面倒そうに欠伸をしていた。
「気に入らない……気に入らないわ!」
第五側室の彼女はブツブツと呟きながら長い夜を過ごすのだ。
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