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真相2
しおりを挟む「鬼畜の所業です!許されない悪行ですわ!」
咽び泣く王女の背中を優しく撫でて彼女もまた泣きじゃくった、どうしようもない虚しさが後からこみ上げ続いた。
「私は……貴女を断罪できない、出来ないです。あいつらは許しちゃいけない」
ルチアナは搾り取るようにそう言った、悲しみはやがて怒りに変わり王達の顔を思い浮かべ吐きそうになった。
「でも大丈夫、あいつらは消えてくれた。私はやっと解放されるのだわ」
「はい、王女殿下。貴女は自由です」
事の真相を聞いて何故に彼女の所業を従者たちが助太刀していたのか理解した。どれもこれも一人で成し遂げるには無理があったのだから。
「あの子は立派な王になれるかしら?それだけが心配よ」
「王女様、アルド様はとても聡明でいらっしゃいます。きっと大丈夫です!」
二人は最後に大泣きをして抱き合った、王女は明かせない秘密を告白して少しは心が安らげる事をルチアナは祈るのだ。そして、誰より理解ある友人であろうと誓うのであった。
***
後日談。
「ボニート様は隣国の王子の元へ輿入れが決まったそうですわ」
「それは良かった、やあどうなるかと思ったよ」
エルネストはそれとなく犯人は誰なのかわかっていたが、本当の真実には辿り着いていない。それで良い。
ボニート王女は事件後に匿われていた事で落ち着いた。結局、国家転覆を狙う下手人がいたと後に語られたが真相は闇の中である。
「今回の事件は花鳥風月となっていたことに気づいたわ。鳥はまぁ些か時期がずれていたけれど」
「なんだって?そうかだから第二の事件は除外というわけか」
第二の事件、ルチアナ殺害未遂はやはりサマンサ・アカルデ男爵令嬢が関与していた。横恋慕による殺意と言ってよい。
「彼女は気の毒と言えばそうだけれど、身分だけはどうにも出来ないし」
「許しちゃいけないよ、格下が牙を剥いた。それだけは許されない」
「うん、そうね。相応の罪は被っていただかないと、それにね花なんだけれど彼女は模倣したせいなのよ」
サマンサは攪乱を狙って花を散らして暴漢を去らさせた、そうでなければ後の事件は花を散らす意味はない。
「王女もまたサマンサの所業を模倣したの、攪乱目的でね」
「う~ん、女性は怖いなぁ……」
「あら、結婚が怖くなったかしら。だったら取りやめ」
「それだけは駄目!」
相変わらずルチアナを溺愛しているエルネストは声高く異を唱えた、そんな彼の気持ちを擽ったいと思う彼女だ。
完
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