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しおりを挟む店はその後も順調で客足が途切れる事は無かった、とても忙しかったが彼女は満足していた。それもこれもエメリのお陰だと感謝した。
「おいおい、ボクは当たり前にしているだけさ。なんたって金貨2枚だからな」
「まぁエメリったら、好きな果物を持っていってね!」
「いいの?やったー!」
持ちきれないほどの果物を貰ってホクホク顔のエメリだ、そして不意に訪れた大家に「いつの間に結婚したんだい?」と言われパニックになるサラジーヌである。
「嫌だわ、彼はここの従業員ですよ。それ以上でもそれ以下でもないわ」
「あら、そうだったの?なかなかお似合いだと思ったのだけど」
「も、もーう!止めて!」
顔を真っ赤にしたサラジーヌは必要以上に否定した、それを見た大家は「これは脈ありなのでは?」とニヤリとする。
「ふふ、若いっていいわねぇ。そこの貴方、彼女の事を宜しくね」
「え?はい、わかってますよ。ちゃんと働きますからね」
彼はあくまで働き手として頑張ると答える、それを見たサラジーヌはちょっとばかり膨れたのである。
***
商売は繁盛していて何も憂いは無かった、だがそんな店に目を付ける怪しからん輩は湧いてでるのだ。
「ここの店主はいるか?私はこの一帯を牛耳る男爵で」
「はいはい、またの御腰をサヨーナラ」
彼女は難なく邪魔者を消し去る、男爵を名乗った男とその従僕らを蔦鞭でサクッと撃退した。彼らは何が起きたかわからないまま道に転がっている。
「ふん、なんて図々しいこと。この所ああ言う輩が増えたわね、でも容赦しないんだから」
誰よりも強いドリアード族の彼女はあの手の連中をものともしない、彼女の相手は国の軍隊さえ不足と言えた。たまたまその様を見たエメリは「お見事」と言って拍手する。
「驚いた、キミがあのドリアードなのかい?話では聞いていたが恐れ入ったよ」
「え、エメリ……」
彼女は素早く蔦を仕舞ったつもりだったが、彼に見破られた事にショックを受けた。
「ああ、ボクは気にしていないよ。そうかキミが兄上の元婚約者というわけだね」
「!?なんですって……貴方まさか王族なの?」
彼は困った風に笑うとその通りだと答えた。
「ボクはあの連中とは距離を置いたのさ、エメリアン・バストル、これが本当の名だよ」
サラジーヌはバストルの名を聞いて身を固くした、目の前の人物は兄のアンセルとは似ていない。彼女はゴクリと喉を鳴らして「私を連れ戻すの?」と聞いた。
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