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学生時代。
女子部成績トップのロレッタのことがリリアンは気に入らなかった。当時から大商会として名を広めていた彼女の家のことが目障りで仕方なかった。
進級してもロレッタの好成績は変わらず、優しく品行方正なロレッタは人望も厚かった。
益々気に入らないと嫉妬したリリアンはカンニングしていると難癖をつけて姑息に噂を流した。ところが実際カンニング行っていたのはリリアンとバレてしまう。
語るに落ちると言う愚行を自ら犯したからだ。
不審に思った教師がリリアンと面談して、不正行為を怪しんだ理由を尋問したのがきっかけだった。
どのようにカンニングをしたのか子細に述べるリリアンだったが、それらは彼女自身がしていた工作だった。
女性教師が試験当日の朝に身体検査したところ、腕に数式が書かれているゴム仕掛けのメモ用紙が、ペンの軸から丸めたメモが出て来た。
冤罪を仕組んでおきながら自身が不正していたリリアンは総スカンを食らう。
だが罠に陥れられたロレッタは「きっと心の貧しい方なのです、だからこそ許して差し上げないと」と言った。
そんな慈悲深い言葉を紡いだ彼女は一気に疑惑を払拭挽回し人望を集めてしまった。
調べにより入学試験から不正を行っていたリリアンは退学処分になって学園を追われたのだ。
当時に婚約していた準男爵の子息とも破棄となり、後ろ盾を失ったホアンデ商会はやや傾いてしまった。
***
完全な逆恨みを抱えていたリリアンは先日の邂逅を復讐の好機として燃えた。
ロレッタの事を空気にして無視をしたカフェでのことは彼女の矜持を刺激して満たした。聞けば付き合い始めたばかりで当日が初デートだった事を知った彼女は”ざまぁ”と思ったし、リディン・バードと名乗った青年は隣国の宝石商の息子だと聞いて略奪を思いついた。
金周りの良さそうな美青年を憎きロレッタから奪えたら積年の恨みも晴れると考えた。そして、早速行動を起こした彼女は見事に恋人を寝取ることに成功したのである。
「ごめんねぇ、彼は華やかな私の方が良いんですってぇ。だってあれほどの美形だもの隣を歩くにはそれなりの容姿じゃないと釣り合わないでしょう?だから、彼の事は諦めてね?」
略奪宣言をしてマウントを取るリリアンは至極ご満悦の顔をで嗤う。
だがロレッタは冷静に「浮気するような男に興味はない」とバッサリ言う。婚約せずに良かったとまで言い放つのだ。
「あ~ら、負けを認めないなんて哀れねぇ、私たち三カ月後に豪華な挙式をあげるのよ羨ましい?羨ましいでしょ!可哀そうだから招待してア・ゲ・ル♪幸せのお裾分けよ!」とリリアンは嫌味を言った。
「……ご勝手に、参加しないしお祝いなんて贈らないからね」
「なによ!ドケチね!」
略奪しておきながら、祝いの品が欲しいとほざくリリアンの面の皮はどれほど分厚いのか。
女子部成績トップのロレッタのことがリリアンは気に入らなかった。当時から大商会として名を広めていた彼女の家のことが目障りで仕方なかった。
進級してもロレッタの好成績は変わらず、優しく品行方正なロレッタは人望も厚かった。
益々気に入らないと嫉妬したリリアンはカンニングしていると難癖をつけて姑息に噂を流した。ところが実際カンニング行っていたのはリリアンとバレてしまう。
語るに落ちると言う愚行を自ら犯したからだ。
不審に思った教師がリリアンと面談して、不正行為を怪しんだ理由を尋問したのがきっかけだった。
どのようにカンニングをしたのか子細に述べるリリアンだったが、それらは彼女自身がしていた工作だった。
女性教師が試験当日の朝に身体検査したところ、腕に数式が書かれているゴム仕掛けのメモ用紙が、ペンの軸から丸めたメモが出て来た。
冤罪を仕組んでおきながら自身が不正していたリリアンは総スカンを食らう。
だが罠に陥れられたロレッタは「きっと心の貧しい方なのです、だからこそ許して差し上げないと」と言った。
そんな慈悲深い言葉を紡いだ彼女は一気に疑惑を払拭挽回し人望を集めてしまった。
調べにより入学試験から不正を行っていたリリアンは退学処分になって学園を追われたのだ。
当時に婚約していた準男爵の子息とも破棄となり、後ろ盾を失ったホアンデ商会はやや傾いてしまった。
***
完全な逆恨みを抱えていたリリアンは先日の邂逅を復讐の好機として燃えた。
ロレッタの事を空気にして無視をしたカフェでのことは彼女の矜持を刺激して満たした。聞けば付き合い始めたばかりで当日が初デートだった事を知った彼女は”ざまぁ”と思ったし、リディン・バードと名乗った青年は隣国の宝石商の息子だと聞いて略奪を思いついた。
金周りの良さそうな美青年を憎きロレッタから奪えたら積年の恨みも晴れると考えた。そして、早速行動を起こした彼女は見事に恋人を寝取ることに成功したのである。
「ごめんねぇ、彼は華やかな私の方が良いんですってぇ。だってあれほどの美形だもの隣を歩くにはそれなりの容姿じゃないと釣り合わないでしょう?だから、彼の事は諦めてね?」
略奪宣言をしてマウントを取るリリアンは至極ご満悦の顔をで嗤う。
だがロレッタは冷静に「浮気するような男に興味はない」とバッサリ言う。婚約せずに良かったとまで言い放つのだ。
「あ~ら、負けを認めないなんて哀れねぇ、私たち三カ月後に豪華な挙式をあげるのよ羨ましい?羨ましいでしょ!可哀そうだから招待してア・ゲ・ル♪幸せのお裾分けよ!」とリリアンは嫌味を言った。
「……ご勝手に、参加しないしお祝いなんて贈らないからね」
「なによ!ドケチね!」
略奪しておきながら、祝いの品が欲しいとほざくリリアンの面の皮はどれほど分厚いのか。
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