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妖精のヨモギ餅

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トトントトン☆
「花粉はいかが?」ミツバチが窓辺にやってきた。

「ありがとう、でも分ける花蜜がまだないんだ」
「いいのよ、これは春のご挨拶分よ」
それから初めまして、夏まではわたしが担当です、と言った。

「え?」
「わたしの姉は冬に役目を終えました、あなたのことをいっぱい聞いたわ」

ミツバチさん・・
「あら、悲しまないで姉はとても頑張って生きたのよ」
そうでしょう?とミツバチは頭をクリンとした。

「うん、きみのお姉さんは毎日頑張ってた!」
なるべく元気に返事をした。

「ありがとう、私たち姉妹兄弟はみんなで命を繋ぐの。それが仕事で誇りよ」
今度は蜂蜜をわけてあげるわ、そう言って飛んで行った。

頑張って生きたのか、そうか。
妖精は自分は頑張って生きているか、自問したが答えは出したくないと思った。



春の花粉は良い香。
「うーん、なにを作ろうか?」

摘みたてのヨモギも良い香だ、新芽はとても柔くて甘い香りがする。
栗の甘露煮があったな。

黄色く柔らかいのを選んで粗く潰す。
花粉もまぜて練り上げる。

とって置きの餅豆(ポニュ豆)を蒸した。
茹でたヨモギをすり潰して混ぜる。

綺麗な緑色でツヤツヤもちもち、妖精のヨモギ餅が完成。

丸く丸めたのを木皿に並べ、栗あんをかける。

「もっちもちだー、何個でも食べられそう」

ヨモギの香が鼻を抜けて爽やかな甘味。
ちょっと元気になりました。

ゴチソウサマ。

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