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ホクホク顔のアンジェルは嬉しそうに言って来た、ショボクくれていた、かつての少女はここいにはいない。
「ヘルパーさんを雇う事にしました、仕事は順調ですよ。雑貨の方は文具に絞ろうと思います」
「へ、へえ良かったじゃないか」
久しぶりに店に寄ったオーバンはキラキラと眩しい顔をするアンジェルに押され気味だ。

もう大丈夫だろうと安心したオーバンは「それじゃお目付け役は要らないよな」と苦笑して出て行こうとする。だが、それは叶わない。悲しい顔をして「行ってしまうの?」とやられれば動じない方がおかしい。

「あ、や……でも一人でやっていけそうだろ?」
「嫌です~あっちでの仕入れは片言で話してます、まだまだですよ~」
「はぁ、そうか。わかったよ、やれやれ」
一時期、菓子パンを大量に買っていく見慣れない外人がいると噂になったものだ。いまでは安く仕入れる方法を手に入れてより一層と張り切っているのだ。

こんなことを言っているが、彼は満更でもない様子で頼られていることに喜んでいた。もちろん、洋食店はきちんと営業している。いまでは三日に一度様子を伺ってこうして休憩しては商売の愚痴や嬉しかったことを話していた。



***


評判は上がればおのずと旨い汁を吸いあげようと企む輩が出てくる。ギルドを介さず「俺の所で面倒をみてやろう」と言い寄ってくるのが後を絶たない。
そんな時はオーバンと護衛兵士のお出ましだ、特に護衛は厳つい顔で選んでいるので重宝している。

「ああ?何がどうだってぇ?商会の旦那よぉ」
「ひ!いや、そのウチとしては共同経営を……ねぇ、お嬢ちゃん?」
「いいえ、必要ございません。提携とかなんとか言ってますけど木戸銭などを取るおつもりでしょう?」
「なあ!?」

こんな風に狐や狸を追い立てる日々なのだ、ギルドからも注意が行っているのでそのうち落ち着くことを祈るばかりだ。


やや仕事が落ち着いてくると今度は貴族がチョッカイを掛けてくる。彼女の生家であるエイシャント侯爵家も例外ではなかった。

「なんだと、アンジェルが商売をして大儲けしているだなんて!聞き捨てならんな!」
「ええ、その通りですわ。あの子には失望しましたけど、そのような才があるのならば別の話!」
「ふむ、我らが介入して商売とやらがどのような物かしらしめてやらんとなカハハハッ」
「その通りですわ、育ててやった恩を返して貰いましょう」

相変わらず火の車と見られる侯爵家はアンジェルを食い物にせんと企てたのだ。






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