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旅を続けた先に
しおりを挟むララはあれからルデルバリの冒険者ギルドを後にして、再び旅仕度をしていた。
長居し過ぎたし、ここのギルマスには睨まれていたことで丁度良いだろうと思った。
「ギルマスに睨まれるなんてすごいな」
「まぁね、欲深なものはいくらでもいるものよ」
さて、次はどこを目指そうかと地図を広げる、するとシェイドが「ここだ」と指示した。そこは何もない未開の地だった。最果てと言えるその地に呆れかえるララだ。
「何故そこなの?」
首を傾げるララに彼は余裕そうに笑って言った。
「だって私達は人ではないのだぞ、人ならざる者が目指すなら未踏の地が相応しいと思わないか?」
「ええ?そういうものかしら」
いまいち納得できないララであるが「そこに私達の町を作ろうじゃないか」とシェイドが唆す。これにはララは豪語するわねと笑い飛ばす。
「わかったわシェイド、でも詰まらなかったらすぐ移動しちゃうから」
「ああ、つまらないなど言わせやしないさ」
***
そこは、とても雪深い町だった。
だがそこには絶え間なく笑う人々で湧きかえっていた。なぜなら雪のランタンが美しく輝き、雪で作った家はとても温かなのだ。
どうしてそうなのかと言えばこの地に根を下ろした闇精霊が、雪は冷たいものだという価値観を変えてしまったせいだ。
「どうだい、あのフワフワな雪が冷たいなどと誰が思う?」
「そういう所は面白いわね、雪が温かいなんて貴方くらいしか思わないわ」
闇精霊の夫婦は頓珍漢なことを考えたが、それは街に住むものからすれば「当たり前」になっていた。
「今年も雪まつりは楽しいのでしょうね」
「ああ、楽しみだ」
ふたりは見つめ合い軽くキスをした、それから二人は闇色に染まり宙に漂い始めた。
「ねえ、ご覧よ。闇精霊様たちが舞っておられるよ!」
「ああ、本当だ!きっと今年も良いことが起こるぞ」
完
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みんなの感想(14件)
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結局妹は虫のまま飢え死にしたんですかね
ご感想ありがとうございます。
そうですね長生きできるわけが……
完結おめでとう㊗御座います
暖かい雪、不思議でなんか良いね(*´ᵕ`*)
雪まつり以外でも二人を観たら幸せになるとか言われて観光が盛んになりそう
( *´ω`*)
お祝いコメントありがとうございます。
無事終了しました(*'▽')
なるほどそういう観点が、素敵です!
思い出したのね(*´ᵕ`*)
そしてあまりの厨二に顔面茹で蛸…
カワイ(*´ฅ`*)ププッ
ご感想ありがとうございます。
そうです可愛いのです(*'▽')