完結 妹を愛していると言った貴方、本気ですか?気持ちが悪い!

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
上 下
22 / 32

矜持など捨てちまえ

しおりを挟む



「なんてことを!恥を知りなさい!」
ララは激怒して怒りの炎を燃やす、咄嗟の事に反応が遅れた男達は「ひぃい」と情けない声を上げる。よくよく見ればその男達は騎士ではないか。護るべき者が罪なきものを襲うなどありえない。

「アンタ達!覚悟は出来ているんでしょうね!」
あまりに激高したものだから認識疎外の魔法が解けてしまった、「クラーラ様」と騎士のひとりが驚く。だが今はそんな些末なことは構っておれない。逆鱗に触れた彼らをいまにも焼き殺そうとしている。

「まあ待てララ、怒りはもっともだがこヤツらにはもっと酷い罰が良い」
「なに?焼き殺すより酷いの?」
プシューと言う感じで怒りを収めたララは「ジジッ」と炎を手の平で消した。焦げ臭い香がそこに漂う。

「まあな、男のプライドを消去してやれば良い、二度と下卑たことができないようにな」
「プライド?」
なんのことだと考えている間にシェイドは動いた、パチリと指先を跳ねさせれば瞬時にそれは行われた。「ぎゃぁあ!」という耳を劈くような大声を上げて二人の騎士達は股間を押さえて転げまわる。

「え?え?何をしたの?」
「ふふ、去勢してやったぞ!部屋を汚すのもアレだから血はでないが男どもの矜持はズタボロさ」
「ま、まぁ……去勢、それは面白いかも?」
そこでハタと気が付く半裸の女性のことだ、彼女のほうを見ると茫然として震えていた。ララは寝具にあったシーツを捲り上げてかけてやった。

「あ……あ」
「大丈夫です、アイツらはもう悪さできませんよ」
「はい、うぅ……」
怯えているのか女性は震えが止まらない、どうしたものかと眉をハチの字にしているとシェイドが再び動く。

「女、今日の事は忘れたいか?そうならば記憶を消してやろう」
シェイドは大真面目な顔をして言った、記憶を消すという言葉に反応した女性は「お願いします」とか細い声で言う。身支度を整えて部屋を出た、そこは騎士達の部屋だったようだ。

彼は手を翳すと女性の頭に魔法をかけた、すると意識が混濁したのか気を失った。ララは風魔法で彼女を介抱すると近くのベンチに座らせた。
「しばらくすれば起きるだろう、まったく下品な連中だ」
「ほんとだわ、のこりの連中に引き渡さないとね」



後に、泡を吹いて倒れている騎士達を侮蔑の視線を送り騎士達に引き渡した。ことの顛末を聞かされた者は明らかに動揺した。身に覚えがあるらしい。
「申し訳ございません、連帯責任です……」
深々と頭を下げてくる連中にララはこいつらも一役買っていると悟る。腐った連中だと軽蔑するほかない。

「あなた達は騎士を名乗る資格はないわ」
残党と言える彼らを許せないと思った彼女は騎士服を燃やして真っ裸にしてやった、ついでに去勢をシェイドに頼むことも忘れない。再び断末魔が響いたがどうでも良い事だと思った。

「憲兵隊に引き渡しましょう、反省するかはわからないけど」
「ああ、まったく腐っている!」
彼らの所業は憲兵に伝えられ一網打尽にされた、疲れたと言ったララに「お前の記憶も消そうか」と気を使われたがそんなに柔じゃないと断る。

「臭いものに蓋は良くないわ、それにああいう輩がいるという事は覚えおくべき」
「うん、そうか。ララは強いのだな」
「よして」
ララは恥ずかしいのかソッポを向いた、そんな彼女を愛しい目で見つめている。

「な、なによもう!」
「ふふ、良いじゃないかララ。認識疎外は必要なくなったのだから見つめていたいんだ」
「も~う!勝手にして」
「うん、勝手にするよララ」

元の姿に戻ったララとシェイドは仲睦まじい男女に見えなくない。時折、すれ違う女性たちがシェイドの容姿に黄色い声をあげたがそれは別の話。

しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました

紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。 ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。 ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。 貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。

王宮で虐げられた令嬢は追放され、真実の愛を知る~あなた方はもう家族ではありません~

葵 すみれ
恋愛
「お姉さま、ずるい! どうしてお姉さまばっかり!」 男爵家の庶子であるセシールは、王女付きの侍女として選ばれる。 ところが、実際には王女や他の侍女たちに虐げられ、庭園の片隅で泣く毎日。 それでも家族のためだと耐えていたのに、何故か太り出して醜くなり、豚と罵られるように。 とうとう侍女の座を妹に奪われ、嘲笑われながら城を追い出されてしまう。 あんなに尽くした家族からも捨てられ、セシールは街をさまよう。 力尽きそうになったセシールの前に現れたのは、かつて一度だけ会った生意気な少年の成長した姿だった。 そして健康と美しさを取り戻したセシールのもとに、かつての家族の変わり果てた姿が…… ※小説家になろうにも掲載しています

【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。

こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。 彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。 皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。 だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。 何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。 どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。 絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。 聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──…… ※在り来りなご都合主義設定です ※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です ※つまりは行き当たりばったり ※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください 4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!

理不尽な理由で婚約者から断罪されることを知ったので、ささやかな抵抗をしてみた結果……。

水上
恋愛
バーンズ学園に通う伯爵令嬢である私、マリア・マクベインはある日、とあるトラブルに巻き込まれた。 その際、婚約者である伯爵令息スティーヴ・バークが、理不尽な理由で私のことを断罪するつもりだということを知った。 そこで、ささやかな抵抗をすることにしたのだけれど、その結果……。

【完結】旦那様、わたくし家出します。

さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。 溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。 名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。 名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。 登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*) 第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中

二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。

当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。 しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。 最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。 それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。 婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。 だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。 これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

処理中です...