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矜持など捨てちまえ
しおりを挟む「なんてことを!恥を知りなさい!」
ララは激怒して怒りの炎を燃やす、咄嗟の事に反応が遅れた男達は「ひぃい」と情けない声を上げる。よくよく見ればその男達は騎士ではないか。護るべき者が罪なきものを襲うなどありえない。
「アンタ達!覚悟は出来ているんでしょうね!」
あまりに激高したものだから認識疎外の魔法が解けてしまった、「クラーラ様」と騎士のひとりが驚く。だが今はそんな些末なことは構っておれない。逆鱗に触れた彼らをいまにも焼き殺そうとしている。
「まあ待てララ、怒りはもっともだがこヤツらにはもっと酷い罰が良い」
「なに?焼き殺すより酷いの?」
プシューと言う感じで怒りを収めたララは「ジジッ」と炎を手の平で消した。焦げ臭い香がそこに漂う。
「まあな、男のプライドを消去してやれば良い、二度と下卑たことができないようにな」
「プライド?」
なんのことだと考えている間にシェイドは動いた、パチリと指先を跳ねさせれば瞬時にそれは行われた。「ぎゃぁあ!」という耳を劈くような大声を上げて二人の騎士達は股間を押さえて転げまわる。
「え?え?何をしたの?」
「ふふ、去勢してやったぞ!部屋を汚すのもアレだから血はでないが男どもの矜持はズタボロさ」
「ま、まぁ……去勢、それは面白いかも?」
そこでハタと気が付く半裸の女性のことだ、彼女のほうを見ると茫然として震えていた。ララは寝具にあったシーツを捲り上げてかけてやった。
「あ……あ」
「大丈夫です、アイツらはもう悪さできませんよ」
「はい、うぅ……」
怯えているのか女性は震えが止まらない、どうしたものかと眉をハチの字にしているとシェイドが再び動く。
「女、今日の事は忘れたいか?そうならば記憶を消してやろう」
シェイドは大真面目な顔をして言った、記憶を消すという言葉に反応した女性は「お願いします」とか細い声で言う。身支度を整えて部屋を出た、そこは騎士達の部屋だったようだ。
彼は手を翳すと女性の頭に魔法をかけた、すると意識が混濁したのか気を失った。ララは風魔法で彼女を介抱すると近くのベンチに座らせた。
「しばらくすれば起きるだろう、まったく下品な連中だ」
「ほんとだわ、のこりの連中に引き渡さないとね」
後に、泡を吹いて倒れている騎士達を侮蔑の視線を送り騎士達に引き渡した。ことの顛末を聞かされた者は明らかに動揺した。身に覚えがあるらしい。
「申し訳ございません、連帯責任です……」
深々と頭を下げてくる連中にララはこいつらも一役買っていると悟る。腐った連中だと軽蔑するほかない。
「あなた達は騎士を名乗る資格はないわ」
残党と言える彼らを許せないと思った彼女は騎士服を燃やして真っ裸にしてやった、ついでに去勢をシェイドに頼むことも忘れない。再び断末魔が響いたがどうでも良い事だと思った。
「憲兵隊に引き渡しましょう、反省するかはわからないけど」
「ああ、まったく腐っている!」
彼らの所業は憲兵に伝えられ一網打尽にされた、疲れたと言ったララに「お前の記憶も消そうか」と気を使われたがそんなに柔じゃないと断る。
「臭いものに蓋は良くないわ、それにああいう輩がいるという事は覚えおくべき」
「うん、そうか。ララは強いのだな」
「よして」
ララは恥ずかしいのかソッポを向いた、そんな彼女を愛しい目で見つめている。
「な、なによもう!」
「ふふ、良いじゃないかララ。認識疎外は必要なくなったのだから見つめていたいんだ」
「も~う!勝手にして」
「うん、勝手にするよララ」
元の姿に戻ったララとシェイドは仲睦まじい男女に見えなくない。時折、すれ違う女性たちがシェイドの容姿に黄色い声をあげたがそれは別の話。
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