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初めての依頼
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「お願いします、薬草取りFランクで」
「は、はい!あの差し出がましいようですが、もっと上のランクを」
ギルド員はそう訴えてきたが、彼女は首を縦にはふらない。
「いいえ、私はFランクですからこれが良いのです」
取り合えずは登録したものの、ララは破格のBランクは拒絶した。とうぜんにギルマスの申し出も断ったのだ。専属契約というものに自由を感じなかったせいである。
「リンはDランクですよね、じゃあ頑張って」
「え、うん、そうだけど……」
もじもじと何か言いたげな彼女に「どうかしたのですか?」と怪訝な顔をする。
「あのね、良ければパーティを組まないかな、なんて」
「パーティとは共闘するということですよね、でも私はこの通りFですから」
Fランクが共闘することはまずない、弱すぎるからだ。薬草取りやゴミ片付けに仲間はいらない、よしんぼ最初から強いものもいるだろうがホンの一握りだろう。
「ね!お願い、ゴブリン退治をしたいの!丁度良いパーティは出払っていないんだ」
「う~ん、それって規律違反にはならないのですか?」
ギルドの規約書をパラパラ捲るララだが、ランクが上のものが同行する分には問題ないのだとリンは言った。
「だからお願い!ララなら余裕だと思うんだ、実質はBランクなんだし」
「ええ……」
困り果てた彼女は受付のお姉さんの方を見た、すると「うんうん」と肯定の意味の頷きを返された。
「……わかりました、今回だけですよ?」
「わあ、ありがとう!助かるよ!」
てっきり世間知らずな女の子だと思っていたが、中身はとんでもない怪物と知ったリンは恐れながらも頼もしいと思った。世間知らずな所はもちろん合っているのだが、それは普通の女子だったらの話だ。
「ゴブリンは群れることが多いんだ、でも稀にハグレがでるの。それを退治するんだ」
「はぐれ?」
「うん、ハグレは年老いたり怪我などを理由に群れを追い出されるんだ。まぁ欠陥品だよね」
「欠陥品……ですか哀れです」
ララは自身のことを言われたような気がして胸がチクリと痛んだ。実の親に「用済みだ」と言われて牢獄に入れられたことを思いだす。元をただせばトマス・オルフォードの身勝手さから招いたことだが今更だと思う。
魔物の林と言われる箇所に辿り着く、この辺りは平坦な土地で比較的に弱い個体が多いらしい。
スライムといわれる最弱の魔物と何度か出くわした。
「弱いヤツしかいないけど、黄色には気を付けて滅多にでないけどね」
「黄色はなにか問題でも?」
「うん、黄色のは少し質が悪いんだ。毒と酸を吐くんだ、だから気をつけてね」
なるほどと頷いて林を歩いた、比較的に歩きやすいが隠れる場所もない。エンカウントし易いというデメリットがあるが、逃げやすい。どっちにしろ禄でもないなとララは思った。
「あ、薬草がありました。取ってきますね」
「うん、はぐれなようにしてね、ね?私が怖いから!」
「……わかりました」
ギルドで調べてからというもの一気に才能が目覚めたらしいララは、緑の魔法を使って薬草を見逃さない。そのほかに自然に特化した蔦や風魔法なども出来る。炎や水、土魔法は言わずもがなである。
薬草を採取していると「ぎぃぎぃ」と耳障りな音が聞こえた。
「なんの音かしら?」
「きゃあああ!ララ!た、助けて!」
「は、はい!あの差し出がましいようですが、もっと上のランクを」
ギルド員はそう訴えてきたが、彼女は首を縦にはふらない。
「いいえ、私はFランクですからこれが良いのです」
取り合えずは登録したものの、ララは破格のBランクは拒絶した。とうぜんにギルマスの申し出も断ったのだ。専属契約というものに自由を感じなかったせいである。
「リンはDランクですよね、じゃあ頑張って」
「え、うん、そうだけど……」
もじもじと何か言いたげな彼女に「どうかしたのですか?」と怪訝な顔をする。
「あのね、良ければパーティを組まないかな、なんて」
「パーティとは共闘するということですよね、でも私はこの通りFですから」
Fランクが共闘することはまずない、弱すぎるからだ。薬草取りやゴミ片付けに仲間はいらない、よしんぼ最初から強いものもいるだろうがホンの一握りだろう。
「ね!お願い、ゴブリン退治をしたいの!丁度良いパーティは出払っていないんだ」
「う~ん、それって規律違反にはならないのですか?」
ギルドの規約書をパラパラ捲るララだが、ランクが上のものが同行する分には問題ないのだとリンは言った。
「だからお願い!ララなら余裕だと思うんだ、実質はBランクなんだし」
「ええ……」
困り果てた彼女は受付のお姉さんの方を見た、すると「うんうん」と肯定の意味の頷きを返された。
「……わかりました、今回だけですよ?」
「わあ、ありがとう!助かるよ!」
てっきり世間知らずな女の子だと思っていたが、中身はとんでもない怪物と知ったリンは恐れながらも頼もしいと思った。世間知らずな所はもちろん合っているのだが、それは普通の女子だったらの話だ。
「ゴブリンは群れることが多いんだ、でも稀にハグレがでるの。それを退治するんだ」
「はぐれ?」
「うん、ハグレは年老いたり怪我などを理由に群れを追い出されるんだ。まぁ欠陥品だよね」
「欠陥品……ですか哀れです」
ララは自身のことを言われたような気がして胸がチクリと痛んだ。実の親に「用済みだ」と言われて牢獄に入れられたことを思いだす。元をただせばトマス・オルフォードの身勝手さから招いたことだが今更だと思う。
魔物の林と言われる箇所に辿り着く、この辺りは平坦な土地で比較的に弱い個体が多いらしい。
スライムといわれる最弱の魔物と何度か出くわした。
「弱いヤツしかいないけど、黄色には気を付けて滅多にでないけどね」
「黄色はなにか問題でも?」
「うん、黄色のは少し質が悪いんだ。毒と酸を吐くんだ、だから気をつけてね」
なるほどと頷いて林を歩いた、比較的に歩きやすいが隠れる場所もない。エンカウントし易いというデメリットがあるが、逃げやすい。どっちにしろ禄でもないなとララは思った。
「あ、薬草がありました。取ってきますね」
「うん、はぐれなようにしてね、ね?私が怖いから!」
「……わかりました」
ギルドで調べてからというもの一気に才能が目覚めたらしいララは、緑の魔法を使って薬草を見逃さない。そのほかに自然に特化した蔦や風魔法なども出来る。炎や水、土魔法は言わずもがなである。
薬草を採取していると「ぎぃぎぃ」と耳障りな音が聞こえた。
「なんの音かしら?」
「きゃあああ!ララ!た、助けて!」
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