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黑い果実
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クラーラを放逐したことがバレた王族は手酷い罰を受けた、王は右半身を蜥蜴に替えられ、王妃は上半身が蛇に変化した。そして、バカ息子ことトマス・オルフォードは下半身を大ムカデに替えられた。
王女ベリンダは身ごもったま丸いダンゴムシになった。
「似合っておるぞ、痴れ者のお前達に実に似つかわしい姿であろう。万が一にもクラーラに何かあった時はわかっておるうな?」
「ひぃぃ!わかりました……ですが無事が確認できましたら何卒、何卒以前の姿にお戻し下さい」
「ふん、その幸運を祈ることだな」
シェイドはそう言って玉座の間に黒い木を生やした、それは見る見ると大きく幹を太くしてあっと言う間に大木になった。そして、黒い果実がひとつ垂れていた。
「良いかお前達の愚行はこの木が見ている、この垂れた実はお前達の所業で変化するのだ。美味い果実になることを祈ろう」
その木を恐れ戦き見つめる王族を余所にシェイドは一人旅立った。
「ああ、愛しいわが姫よ、どうか健やかにいてくれ」
闇の精霊は端から王族の事を信用していなかった、自ら花嫁になるクラーラの足跡を追う事にしたのだ。人間の姿に化けた彼は王都をひた走った。
***
一方で、精霊神が追っていることなど微塵にも思っていないクラーラことララは、ガウドの街に着いて呑気そうに伸びをしていた。
「うう~ん、お尻がガビガビになってしまったわ、あらやだ下品」
頬を赤らめて身形を整えた彼女は、リンという子に連れられてギルドを目指していた。なにもかもが初めての彼女はキョロキョロと目が忙しい。
「ちょっとララ、あまりにもお上りさん過ぎるよぉ、もう少し落ちつこうよ?」
「あ、ごめんなさい。街中を歩くのはあまり慣れていなくて」
「もう~、仕方ないな。はい」
「ん?」
「手を繋ぐんだよ、こうすればはぐれないし迷わないよ」
「そうなんですね、わかりました!」
にっこりと微笑み手を繋いだ彼女はひとなつっこい、これは目が離せないと知ったリンは「ふんす」と鼻息を荒くしてこっちだよと言った。
手のかかる末っ子を思い出した彼女はちょっぴりお姉さん気分だ。
「思い出すわぁ、うちの末っ子を」
「ん、なあに?」
「うふふ、なんでもないよ。さぁ、こっちよ、ここのカウンターで登録してね」
「うん?」
言われるままにギルドカウンターへ行く、名前と何が目的かを聞かれた。よくわからないので「生活のため」と返事をした。
「では、登録しますね。この石に手を翳してください」
「は、はい!」
ギルド受付のお姉さんに言われるままに手を翳す、なんの儀式なのだろうと訝しい目をした。数秒後に白く眩い光がパァッと輝いた。それから4色の光が現れて明滅して消えた。
「な、なんてことかしら!お嬢さんは全属性とでましたよ!」
「ぜんぞくせい?」
なんのことかさっぱりな事だ、キョトリとしているララはあれよ、あれよと言う間にギルドマスターと言われる御仁の前に連れ出された。
「お嬢さん、ララと言ったね。その、他のギルドに登録はしてないのだろう?」
「え、はい。初めてこちらにお世話になったので」
「ふーむ」
ララはリンの手をぎゅっと離さずにそこにいた、リンは引き攣った笑みを浮かべてギルマスを見ている。どうしてこうなったと混乱していた。
それから、属性の他に魔力量を測られた。
これもずば抜けていた数値をはじき出す、とんでもないことになったとギルマスは興奮していた。登録してくれたお姉さんも小躍りしている。
「是非、うちと専属契約をしないか?もちろんランクも破格のBからで良いぞ」
「はあ……?」
王女ベリンダは身ごもったま丸いダンゴムシになった。
「似合っておるぞ、痴れ者のお前達に実に似つかわしい姿であろう。万が一にもクラーラに何かあった時はわかっておるうな?」
「ひぃぃ!わかりました……ですが無事が確認できましたら何卒、何卒以前の姿にお戻し下さい」
「ふん、その幸運を祈ることだな」
シェイドはそう言って玉座の間に黒い木を生やした、それは見る見ると大きく幹を太くしてあっと言う間に大木になった。そして、黒い果実がひとつ垂れていた。
「良いかお前達の愚行はこの木が見ている、この垂れた実はお前達の所業で変化するのだ。美味い果実になることを祈ろう」
その木を恐れ戦き見つめる王族を余所にシェイドは一人旅立った。
「ああ、愛しいわが姫よ、どうか健やかにいてくれ」
闇の精霊は端から王族の事を信用していなかった、自ら花嫁になるクラーラの足跡を追う事にしたのだ。人間の姿に化けた彼は王都をひた走った。
***
一方で、精霊神が追っていることなど微塵にも思っていないクラーラことララは、ガウドの街に着いて呑気そうに伸びをしていた。
「うう~ん、お尻がガビガビになってしまったわ、あらやだ下品」
頬を赤らめて身形を整えた彼女は、リンという子に連れられてギルドを目指していた。なにもかもが初めての彼女はキョロキョロと目が忙しい。
「ちょっとララ、あまりにもお上りさん過ぎるよぉ、もう少し落ちつこうよ?」
「あ、ごめんなさい。街中を歩くのはあまり慣れていなくて」
「もう~、仕方ないな。はい」
「ん?」
「手を繋ぐんだよ、こうすればはぐれないし迷わないよ」
「そうなんですね、わかりました!」
にっこりと微笑み手を繋いだ彼女はひとなつっこい、これは目が離せないと知ったリンは「ふんす」と鼻息を荒くしてこっちだよと言った。
手のかかる末っ子を思い出した彼女はちょっぴりお姉さん気分だ。
「思い出すわぁ、うちの末っ子を」
「ん、なあに?」
「うふふ、なんでもないよ。さぁ、こっちよ、ここのカウンターで登録してね」
「うん?」
言われるままにギルドカウンターへ行く、名前と何が目的かを聞かれた。よくわからないので「生活のため」と返事をした。
「では、登録しますね。この石に手を翳してください」
「は、はい!」
ギルド受付のお姉さんに言われるままに手を翳す、なんの儀式なのだろうと訝しい目をした。数秒後に白く眩い光がパァッと輝いた。それから4色の光が現れて明滅して消えた。
「な、なんてことかしら!お嬢さんは全属性とでましたよ!」
「ぜんぞくせい?」
なんのことかさっぱりな事だ、キョトリとしているララはあれよ、あれよと言う間にギルドマスターと言われる御仁の前に連れ出された。
「お嬢さん、ララと言ったね。その、他のギルドに登録はしてないのだろう?」
「え、はい。初めてこちらにお世話になったので」
「ふーむ」
ララはリンの手をぎゅっと離さずにそこにいた、リンは引き攣った笑みを浮かべてギルマスを見ている。どうしてこうなったと混乱していた。
それから、属性の他に魔力量を測られた。
これもずば抜けていた数値をはじき出す、とんでもないことになったとギルマスは興奮していた。登録してくれたお姉さんも小躍りしている。
「是非、うちと専属契約をしないか?もちろんランクも破格のBからで良いぞ」
「はあ……?」
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