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聞きたくなかった真実

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さらに年月は流れクラーラ・ウィンチカム公爵令嬢は15歳になっていた。
とはいえ、やはり10歳差は埋まるわけもなく、25歳のトマス・オルフォードから見ればただの子供だ。
彼はいつもの茶会に出席してチラリとクラーラの様子をみた。そして、盛大に溜息を吐く。

「はっ!15にもなったというのにツルペタのままか、つまらん!実につまらん」
「はあ、それはすみません。我が家系の者は成長が遅いようです」
「ふん、どうだかな」

両陛下は茶会に参加しておらず二人きりだ、侍女とメイドは控えているがなんとも寒々しい茶会だった。ほとんど義務化されているその催しはさして面白いものではない。
「私はな出るところは出ている娘が好きなのだ、ツルペタなど言語道断だ食指が動かん」
「はあ」

食指などと言われたクラーラは気色が悪いと思った。
この男は色事でしか女を見ていないのだと呆れるばかりだ。それを証拠に先ほどから彼の興味を引いているのは見目の良い侍女たちだ。
ニタリと嗤うその色呆けな様相は見られたものではない。侍女たちは彼の御手付きなのか満更でもない様子だ。

「勘違いする前に言っておこう、今後のためにもな」
「はい?それはどういうことでしょう」
彼女は頬に手を当てて空とぼけて見せた、とても嫌な予感がした。

「私はベリンダを愛している」
「え、はい、妹君を愛しておられる。良いことだと思います」
兄妹愛と思ったクラーラはそう言って微笑む、なんだかんだと兄妹思いなところがあるのかと感心した。
だが、それはとんだ勘違いだった。

「違う、ほんとうに愛しているのだ!これは情ではない、心から一人の女性として愛していると言っている」
「は……はぁ!?」
「故にお前を正妃に迎えたとしてそれは義務的に子を成すだけだ、それ以外は私に愛を求めるでない!」
「な、なにをおっしゃっているの?」

頭がガンガンと痛い、まるで後頭部をいきなり殴られて更に蹴りを入れらているようだった。
「き、気持ち悪い……」
「なんだと?」
「気持ち悪いといいました!なんですか兄妹で愛し合っているなどと!巫山戯ないでいただきたいわ、それに王女様の御気持ちを考えてください!」

当たり前のことを言っているのにも関わらず、トマスは「なんだそんな些末な事か」と宣った。
彼は不敵に笑いこう言った。

「ベリンダは私を愛しているぞ、あれの腹には子がいるのだからな!アハハハッ!」
「なんですって!」
衝撃的な告白をされたクラーラは目の前が真っ暗になった、兄妹で愛し合い尚且つ子を孕んだという。酸っぱいものが上がってきて嘔吐しそうになった。

「うっ、なんてことなの気持ち悪いどころではないわ」
「まだ、言うか!黙れ私達は愛し合っているのだ!真実の愛を愚弄するか!」
テーブルをダァン!と叩き呻き声をあげる目の前の男は獣に見えて仕方がない。彼女はすっくと立ちあがりこう述べた。

「破廉恥な、恥を知りなさいませ!この事は両陛下の御耳に入れたいと思います」
「な、なんだと!?」
てっきりお飾り妻になるであろうと侮っていた女が反旗を翻した、さすがに王達に知られるのは拙いと思った彼は彼女の手首を握りしめて押し倒した。

「このまま好き勝手にさせてたまるか!護衛兵はいるか!」
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